装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

523 スーパーしまっちゃうおじさん

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「報告どうぞ」

「潜伏していた者たちは全て制圧、そして順次この森へと運び込んでいる」

「オッケー」

 そんな訳で、さっそく今日の夜から行動開始となった。
 首都と港町を結ぶ森の中に、気絶した敵勢力が順々に運ばれて来る。

 ロイ様が本気を出せば、王室諸君を大量稼働できる。
 普通のスライムキングから、何となくレアっぽいのまで……。

 ぶっちゃけ、ブロンズとカッパーの違いが俺にはわからない。
 スライム一つにしても、これだけ種類が多いのだ。
 サモンカードフルコンプなんて、夢のまた夢なのかもしれん。

「じゃ、仲良し諸君はこっちのスロープにみーんなまとめて収容しちゃってー」

『承知』

 運び込まれた敵勢力はまとめてダンジョンの入り口に放り込まれる。
 そこからはスロープとなっており、最下層の牢獄へと一人ずつ収監される仕組みだ。

 名付けて、全自動個別振り分けダンジョン収容所。
 ロイ様たちが1日使って敵勢力を調べ抜いている間、ジュノーと作った。

『こいつはC.Bからの研究者、身元確認済み』

『次は、デプリからの暗殺者だと思われる人物』

『こいつはその辺を嗅ぎ回る第三勢力だったぞ』

 A、B、Cと額にペンで印をつけられた奴らを、キングスたちが投げ入れていく。
 Aは研究職、Bは暗殺者、Cはよくわからんマフィアみたいな奴。
 このマークに追加して、男女という形でフロア分けして個別収容なのだ。

 え?
 嗅ぎ回る研究者と暗殺者だけじゃないのかって?

 実は、ロイ様と本格的に網を貼ったら、他の勢力も引っかかっていた。
 この際、ギリス首都にのさばる裏社会の奴らも不審な動きを見せたら収容。
 出して欲しかったら身代金を払っていただくことにした。

 こうやって収容し、人が一気にいなくなったらパニックが起こるかもしれない。
 しかし、そんなの俺の知ったこっちゃないよ。

 一部の人たちはそういったグレーな奴らが必要だって思うかもしれんが……。
 知らん知らん、悪は敵だ、敵は悪だ。
 正義が俺にあるとは思っちゃいないが、危険そうなのは全部閉まっちゃおうね。
 臭いものはみんなまとめて蓋をしちゃうのが日本文化だぞ。

 ダンジョンを味方につけたおかげで、アイテムのみならず。
 人までも閉まっちゃえるおじさんへと、俺は進化を果たしていた。

「トウジ……眠たいし……」

「はい、ミントパンケーキ」

「わーい!」

 時折、寝ぼけ眼を擦るジュノーを物で釣って起こしながら収容していく。

『こいつは夜中研究所の周りを彷徨いていた、怪しいが多分浮浪者である』

「身元の確認は?」

『取れていないからこそ、浮浪者に化けた暗殺者の可能性がある』

 が、とボロボロの服を着た小汚い男を見て一体の王種は言葉を続ける。

『暗殺者と比べて魔力も基準値以下。よって浮浪者の可能性が高い』

「ちょっとレベルを確認するね……25か、浮浪者だな。他の情報は?」

『選別用に敢えて仕掛けていた研究所のゴミ箱を漁って食べていた』

「よし、浮浪者だ。ってことは、D収容所だな!」

 暗殺者はゴミ箱を漁るかもしれないけど、流石に食べない。
 よってこのボロボロの男は浮浪者と断定。

「体を浄水で強制洗浄した後、適当な服を着せて、求人誌持たせて、こっそり広場に送り返せ」

『承知、では社会復帰コースに回しておこう』

「たのんだ」

 時折、怪しさ満点でもガチで住所不定無職の奴もいる。
 そういう奴は、体を洗って服を着せて、求人誌を持たせて放流。
 その受け皿として廃品回収業者的なのをすでに作ってあった。

 この間、いらない魔導機器を回収してもう一度売ろうって話が上がっただろう?
 そんなリサイクル業者を始めていたから、その回収屋として起用する名采配。

 ちなみにこっちから声をかけないのは、浮浪者がしたくてしてる奴もいるからだ。
 生粋の乞食って奴だな、そういうのは雇っても無意味そうなので放置である。

 求人誌を見て、本当に社会復帰したそうな奴を起用するのだ。
 そんでもって首都のみならず、ギリス中の魔導機器を集める。

 一石二鳥、いや三鳥。
 俺は必要なもんをかき集めるだけで、あとのマイヤー任せは変わらない。

「……ある意味これって人さらいに近いわよね……拉致よ、拉致」

 指揮を執る俺の後ろから、黙って見ていたイグニールが呟く。

「飯持たせて、綺麗にして放流してるんだから慈善事業って言ってくれ」

「そうね」

「恩を受けども、恨みを買う言われはない。恨み買われたら山に捨てる」

「トウジって割と事なかれ主義かと思ってたけど……」

「けど?」

「こうしようって決めた時は、意外とえげつないことも平気よね」

「全然えげつなくないぞ。慈善事業だって言ってるだろ」

「はいはい」

 まあ、無理やりとんでもないことをしているのは自覚している。
 しかしこれを慈善事業だと、良いことだと思うことで納得した。
 そんな体裁を整えるまで、基本的に事なかれなのは否定しない。

「罪悪感っていうのは、できる限り無くした方が身のためなんだよ」

「まあ、そうね」

「いろんな重荷が積み重なっていくと、身動き取れなくなるからな」

 だから、本来ならば何もしないという結果に落ち着く。
 何もしなければ、何も生まない。
 共にその罪悪感を背負ってくれる仲間がいたとしても。
 絶対拭い去れないものに悩まされる結果となる。

 簡単に忘れてしまえるほど、面の皮が厚かったらどんなにいいか。
 サイコパス以外、そんなことは不可能。
 で、あるからこそ、何かと理由をつけて正当化するのが大人ね。
 いろんな意味で、しまっちゃうおじさんね。

「トウジ、はむはむ、この大量の研究者と暗殺者はどうするし、はむはむ」
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