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本編
646 ジュニア
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「……なんでその姿の時に登録しちゃうかなー」
召喚された俺が、やれやれと言った面持ちでため息をついていた。
姿形は、ペナルティが小さくなっている俺と同じものである。
「えっと、どなた?」
「ジュニア」
「あっ」
サモニング図鑑には、しっかりとジュニアがセットされていた。
うむ、やはり目の前に現れた俺と同じ姿の奴はジュニアである。
「元のダンジョンコアの要素が一つもないんだけど」
「当たり前だろー、俺らの本体は丸い玉なんだから」
「じゃ、なんで俺と瓜二つなんだ?」
「そんなのお前と魂で繋がってるからに決まってるじゃん」
ジュニアが言うには、図鑑の持ち主である俺の影響を受けたことによってこうなったそうだ。
ダンジョンコアは、外部からの要因によって姿を形作る。
もしくは、もともとの原型を持っていて、その姿のままダンジョンコアとなる。
「真っさらなキャンパスに絵の具はお前だけ。さてどうなる?」
「俺になる」
「正解」
そんなこといったってなあ、こんなこと予想つかないだろうに。
それをわかっているのか、ジュニアも仕方ないと受け止めていた。
「できることなら大人状態がよかったよ」
「それだと色々とややこしいから、今の方が良い」
うむ、替え玉作戦とかあったとして。
別に俺が自分に変身する秘薬を作って渡せばいいだけだからな。
「そんなことより、何か服をあげた方が良いんじゃない?」
「あっ」
呼び出されたジュニアは、素っ裸だった。
本人は別に気にしてない様子だが、大人状態だったらヤバかったぞ。
公衆の面前に俺の全裸を晒す羽目になっていた。
こ、子供状態の時に登録召喚してよかった……。
「なんか前見た時と違うし?」
「子供と大人は違うもんさ、ジュノー」
ジュニアの股間を凝視しながら首をかしげるジュノー。
公開処刑やめてくれ。
「とりあえず、装備だ装備! とりあえず身につけとけ!」
「はいよ。でも黒ばっかりじゃなくて、暖色系とか欲しい」
「文句言うなよ!」
「文句の一つもつけたくなるだろ、金装飾とか派手なのくれよ」
何なんだこいつ。
俺そっくりでも、その性格は俺とは真逆で派手さを好むようだった。
少しだけ元の貴族みたいなダンジョンコアの影響を受けてるっぽい。
「心なしか、今のトウジよりも目が死んでないわね」
「うん、なんかキリッとした目をしてるし」
「クエッ」
「ガルルッ」
イグニールの一言に、全員が頷いている。
目が死んでないわねって、どういうことだイグニール。
生きてるよ。
割と必死に生きてるよ、この世界では!
「とりあえず、贅沢そうなもの持たせて図鑑に戻してくれよ、引きこもりたい」
「その辺は普通のダンジョンコアと同じ様な思考回路なんだな」
「当然。だってダンジョンコアだもん。お前だって同じ様なもんだろうに……」
「確かに」
クソ生意気だな、ジュニア。
子供の姿でよかったぜ。
まだこっちの方が愛嬌がある様に思えなくもない。
その前に一つだけ聞いておくか。
「ジュニア、一応召喚してたらダンジョン作り出せる?」
「できる。リソースはお前のインベントリ」
「俺の? ってことは、実質無限に近いじゃん」
ダンジョンコアが持つストレージが、俺のインベントリになっているらしい。
「他には、なんかある?」
「図鑑の中にダンジョン作れば、本体である俺が超強くなるよ」
「え、どういうこと?」
「だから、お前のリソースを使ってダンジョン作れば強くなる」
現実世界のダンジョンとは別個で図鑑の中にも作れるそうだ。
図鑑の中、相変わらずどうなんてんだろうな?
俺、マジで気になります。
「なあ、図鑑の中につながるドアとか、現実のダンジョンに作れたりするの?」
「完全に別物だからそれは無理」
サラッと言い返しつつ、ジュニアは続ける。
「でも、俺が向こうで強くなる分、最初からコア分けた守護者作れるぞ」
「ほうほう」
「ロイやキングよりも強いかもな? 大迷宮クラスになってしまえば」
「お前、殺されるぞ。今この時も聞いてるんだぞキングさんたち」
「図鑑の主が誰かを今一度俺が教えてやるしかないな、むふふ」
ジュニアはそう言いながらニヒルに表情を歪ませていた。
キングさん、ロイ様、聞きましたか今の。
こいつは俺とそっくりですけど、その中身は全く別物ですよ。
俺とは違うので、その辺よろしくお願いします。
つーか、図鑑の主は俺だ。
「まっ、インベントリ繋がってるから勝手に良さげなもの貰っとくからな?」
「許可なく取ったらマジで許さんぞジュニア」
「でも見返りは大きいぞ? 俺のダンジョンでも潜在装備作れるんだから」
「……好きにしてどうぞ」
それならば事情は変わってくる。
俺のインベントリと繋がってるのならば、他の出すこともない適当ネームたちに仕事させろ。
インベントリ内にある、まだ瓶詰めしてない分のポーションが大量にあるからな。
図鑑の中で全てこなして、そして図鑑の中から俺のインベントリに納品。
「わかった。結局お前の意思は尊重したいから、その辺はやっておくよ」
「頼むね」
「俺は贅沢させてくれるなら何も言わないし、無類の貢献をしてやるぞ」
「白金貨なら大量にあるから、それをベッドにでもしてろ」
「そうさせてもらう! うん、戻ったら真っ先にそれするぞ!」
なんだかものすごいカルマを持ってそうな奴だな。
これも俺の影響の何かしら受けているというのだから……。
俺がいったい前世で何したって言うんだ。
「ま、まあいいや……とりあえずバイバイ、また何かあったら呼ぶから」
「本当にどうしようもない時以外は呼ばなくていいよ」
「いや、製作する時は無条件でお前呼ぶことになるんだけど。特殊能力考えて?」
「……だったら俺個人の平和と自由の保証をしてもらうぞ!」
「ぐっ、わかった」
「よし契約成立ね! じゃ、本当にバイバイ!」
そんな会話を最後に、俺はジュニアを図鑑の中に戻した。
なんだかとんでもない奴を仲間にしてしまったかもしれない。
だが、図鑑の中での労働力確保はかなり大きい。
大掛かりな建築物とか、インベントリに全部入れたらあっちでやってくれそう。
例えば、飛空船とかな?
予備で新しいものを作る際は、図鑑の中でも作らせるなんてことができるのでは?
うーむ、なんとも常識はずれなサモンモンスターだろうか……。
「一見似てない様に思えたけど、思ったより似てるわね、あんた達」
「はあ? 絶対似てない!」
イグニールのつぶやきを否定しておく。
俺は贅沢とかしません、倹約家です。
「あたしも違うかなって思ってたけど、ジュニアはトウジのジュニアだったし」
「どういう意味だよ」
「そのまんまの意味だし!」
だから、どういう意味!
ちなみに、今まで黙っていた骨は「ショタコンになりましたぞ~」とくねくねしている。
ケープの方は、とりあえず話題についていけないから静かにしている様だった。
敵のダンジョンコアを問答無用で破壊してから、俺のこと少し怖がってるみたいだしね。
まあ、秘密を喋らない様に言い聞かせやすくなったし、それについては良しとする。
召喚された俺が、やれやれと言った面持ちでため息をついていた。
姿形は、ペナルティが小さくなっている俺と同じものである。
「えっと、どなた?」
「ジュニア」
「あっ」
サモニング図鑑には、しっかりとジュニアがセットされていた。
うむ、やはり目の前に現れた俺と同じ姿の奴はジュニアである。
「元のダンジョンコアの要素が一つもないんだけど」
「当たり前だろー、俺らの本体は丸い玉なんだから」
「じゃ、なんで俺と瓜二つなんだ?」
「そんなのお前と魂で繋がってるからに決まってるじゃん」
ジュニアが言うには、図鑑の持ち主である俺の影響を受けたことによってこうなったそうだ。
ダンジョンコアは、外部からの要因によって姿を形作る。
もしくは、もともとの原型を持っていて、その姿のままダンジョンコアとなる。
「真っさらなキャンパスに絵の具はお前だけ。さてどうなる?」
「俺になる」
「正解」
そんなこといったってなあ、こんなこと予想つかないだろうに。
それをわかっているのか、ジュニアも仕方ないと受け止めていた。
「できることなら大人状態がよかったよ」
「それだと色々とややこしいから、今の方が良い」
うむ、替え玉作戦とかあったとして。
別に俺が自分に変身する秘薬を作って渡せばいいだけだからな。
「そんなことより、何か服をあげた方が良いんじゃない?」
「あっ」
呼び出されたジュニアは、素っ裸だった。
本人は別に気にしてない様子だが、大人状態だったらヤバかったぞ。
公衆の面前に俺の全裸を晒す羽目になっていた。
こ、子供状態の時に登録召喚してよかった……。
「なんか前見た時と違うし?」
「子供と大人は違うもんさ、ジュノー」
ジュニアの股間を凝視しながら首をかしげるジュノー。
公開処刑やめてくれ。
「とりあえず、装備だ装備! とりあえず身につけとけ!」
「はいよ。でも黒ばっかりじゃなくて、暖色系とか欲しい」
「文句言うなよ!」
「文句の一つもつけたくなるだろ、金装飾とか派手なのくれよ」
何なんだこいつ。
俺そっくりでも、その性格は俺とは真逆で派手さを好むようだった。
少しだけ元の貴族みたいなダンジョンコアの影響を受けてるっぽい。
「心なしか、今のトウジよりも目が死んでないわね」
「うん、なんかキリッとした目をしてるし」
「クエッ」
「ガルルッ」
イグニールの一言に、全員が頷いている。
目が死んでないわねって、どういうことだイグニール。
生きてるよ。
割と必死に生きてるよ、この世界では!
「とりあえず、贅沢そうなもの持たせて図鑑に戻してくれよ、引きこもりたい」
「その辺は普通のダンジョンコアと同じ様な思考回路なんだな」
「当然。だってダンジョンコアだもん。お前だって同じ様なもんだろうに……」
「確かに」
クソ生意気だな、ジュニア。
子供の姿でよかったぜ。
まだこっちの方が愛嬌がある様に思えなくもない。
その前に一つだけ聞いておくか。
「ジュニア、一応召喚してたらダンジョン作り出せる?」
「できる。リソースはお前のインベントリ」
「俺の? ってことは、実質無限に近いじゃん」
ダンジョンコアが持つストレージが、俺のインベントリになっているらしい。
「他には、なんかある?」
「図鑑の中にダンジョン作れば、本体である俺が超強くなるよ」
「え、どういうこと?」
「だから、お前のリソースを使ってダンジョン作れば強くなる」
現実世界のダンジョンとは別個で図鑑の中にも作れるそうだ。
図鑑の中、相変わらずどうなんてんだろうな?
俺、マジで気になります。
「なあ、図鑑の中につながるドアとか、現実のダンジョンに作れたりするの?」
「完全に別物だからそれは無理」
サラッと言い返しつつ、ジュニアは続ける。
「でも、俺が向こうで強くなる分、最初からコア分けた守護者作れるぞ」
「ほうほう」
「ロイやキングよりも強いかもな? 大迷宮クラスになってしまえば」
「お前、殺されるぞ。今この時も聞いてるんだぞキングさんたち」
「図鑑の主が誰かを今一度俺が教えてやるしかないな、むふふ」
ジュニアはそう言いながらニヒルに表情を歪ませていた。
キングさん、ロイ様、聞きましたか今の。
こいつは俺とそっくりですけど、その中身は全く別物ですよ。
俺とは違うので、その辺よろしくお願いします。
つーか、図鑑の主は俺だ。
「まっ、インベントリ繋がってるから勝手に良さげなもの貰っとくからな?」
「許可なく取ったらマジで許さんぞジュニア」
「でも見返りは大きいぞ? 俺のダンジョンでも潜在装備作れるんだから」
「……好きにしてどうぞ」
それならば事情は変わってくる。
俺のインベントリと繋がってるのならば、他の出すこともない適当ネームたちに仕事させろ。
インベントリ内にある、まだ瓶詰めしてない分のポーションが大量にあるからな。
図鑑の中で全てこなして、そして図鑑の中から俺のインベントリに納品。
「わかった。結局お前の意思は尊重したいから、その辺はやっておくよ」
「頼むね」
「俺は贅沢させてくれるなら何も言わないし、無類の貢献をしてやるぞ」
「白金貨なら大量にあるから、それをベッドにでもしてろ」
「そうさせてもらう! うん、戻ったら真っ先にそれするぞ!」
なんだかものすごいカルマを持ってそうな奴だな。
これも俺の影響の何かしら受けているというのだから……。
俺がいったい前世で何したって言うんだ。
「ま、まあいいや……とりあえずバイバイ、また何かあったら呼ぶから」
「本当にどうしようもない時以外は呼ばなくていいよ」
「いや、製作する時は無条件でお前呼ぶことになるんだけど。特殊能力考えて?」
「……だったら俺個人の平和と自由の保証をしてもらうぞ!」
「ぐっ、わかった」
「よし契約成立ね! じゃ、本当にバイバイ!」
そんな会話を最後に、俺はジュニアを図鑑の中に戻した。
なんだかとんでもない奴を仲間にしてしまったかもしれない。
だが、図鑑の中での労働力確保はかなり大きい。
大掛かりな建築物とか、インベントリに全部入れたらあっちでやってくれそう。
例えば、飛空船とかな?
予備で新しいものを作る際は、図鑑の中でも作らせるなんてことができるのでは?
うーむ、なんとも常識はずれなサモンモンスターだろうか……。
「一見似てない様に思えたけど、思ったより似てるわね、あんた達」
「はあ? 絶対似てない!」
イグニールのつぶやきを否定しておく。
俺は贅沢とかしません、倹約家です。
「あたしも違うかなって思ってたけど、ジュニアはトウジのジュニアだったし」
「どういう意味だよ」
「そのまんまの意味だし!」
だから、どういう意味!
ちなみに、今まで黙っていた骨は「ショタコンになりましたぞ~」とくねくねしている。
ケープの方は、とりあえず話題についていけないから静かにしている様だった。
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