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本編
672 らいでんのひみつどうぐ
しおりを挟む「トウジさん、おはようございます!」
「おはようライデン」
「アォ……」
リビングのソファで欠伸をしつつ、ポチをもふもふしながら座る。
そんな俺に、ライデンが興奮冷めやらぬ顔で言った。
「清々しい朝ですね!」
「朝だね、うん」
朝だけど、何時だと思ってんだ。
時間にしては午前5時前後。
清々しいと言うか、少し肌寒いんじゃないだろうか。
寒さ感じないけどさ……。
「こんな朝っぱらからどうしたの?」
「トウジさんが帰ってきたって聞いたもんで、つい……」
「あ~、でもなんでこんな朝っぱらから?」
ついつい来ちゃった、で済まされる時間ではない気がする。
俺は日課をこなす関係上、割と早起きタイプだ。
しかし、その早起きを凌駕するほどの早起きがライデン。
「……目、血走ってない? 大丈夫?」
「アォン?」
心配する俺とポチに、ライデンは言う。
「実は昨日から徹夜で色々と作業をしていたもので!」
「なるほどね」
ライデンにとってはおはようではなく、おやすみって感じか。
それで、完徹のライデンくんはいったい何の用だろう。
「実は、オスロー先輩から色々習って設計図を書いて見ました!」
「おお!」
ライデンが設計図を書いてきた、それだけで目がさめる。
朝のとんでもない贈り物だな。
彼は世界で唯一、俺が製作できるレシピをかける人物だ。
絶対に手元に置いといて、良い子良い子してあげないと。
「お前がレシピを書いてくるってだけで、俺は嬉しいよ」
「そうですか? いくらでも書きますよ僕!」
ライデンは続ける。
「C.Bファクトリーの元代表、そして天才と呼ばれた先輩がいる場所で勉強させてもらえてるんですから!」
「うんうん、費用はこっちで持つから自由にやってね」
最終的にはTAFの最重要幹部にまで仕立て上げるつもりだ。
こいつの両親は確かギリスの軍人の頂点にいる人物でもある。
装備とか、諸々、国に売りつける重要なつながりとも言えた。
もっとも、俺はそこまでするつもりはあまりない。
ただ、売って欲しいと言われたらその限りではないけどな、ってテンションである。
頼まれたらやる、カルマがたまらない手法としては正解だ。
基本受け身でいることによって、全てのカルマは俺ではなく頼んだ相手に向かう。
そしてその余分なカルマ的リソースを駆使して、俺は好き放題やるのだ!
なんとなく、先日のマイヤーの話とかを聞いて、ふと思いついたことである。
エリナにも、良さそうな依頼があったら持ってきてくださいとだけ伝えた。
もう少し後あたりに、一番の冒険者を決める催し事もある。
それまでは、こう言った趣味ごとに時間を費やすのだ。
みんな、おもいおもいの時間を過ごし、ことが始まれば動き出す。
「十分、自由にさせてもらってますよ!」
「それなら良いけど、ちゃんと寝てる?」
「今は色々とわくわくしすぎてなかなか眠れてないです」
「ダメじゃん」
「オスロー先輩たちが帰ってきてから、みんなまた寝なくなりました」
「おいおい……」
まーたワーカーホリック症候群が蔓延してるのか。
なんかほんわかした人材とかを確保する必要がある。
ほんわかした人材でほんわかさせて緩和だ。
そして、再び強制的に休日を設ける必要があるな。
なんか適当にポチの飯がうまい記念日として毎月1日は追加休日。
あとパンケーキ師匠記念日としてもう1日追加。
ピーちゃんかわいい休日、ゴレオのメイド休日、週休三日くらいにしよう。
ちょっとマイヤーあたりに進言してみるか。
「とりあえず設計図見せてよ」
「はい! 10個くらいあるんですけど」
「多いな……」
「色んなアイデアを用いた、便利武器ですよね?」
……そんなこと言ってたっけ?
とりあえず飛空船を武装したもの、は考えてたけど。
便利武器とは一言も言ってない。
「あんまり危険なものを作るのはまだダメだとオカロさんに言われたので、多少の攻撃機能を追加した便利魔道具です!」
「ほうほう」
そんなわけで、ライデンのオリジナルレシピを見せてもらうことにした。
作れる範囲ならば、実際に作って評価していこう。
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