装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

683 ブーメラン


 俺たちの乗った飛空船は、何日も飛び続けられるワシタカくんの本気ですぐに目的地へ。
 基本的な生活空間は作り込んであるため、足元につながっていた状態よりも、楽に早く。

 たどり着いた先は、デプリ王都より東に進んだ先にある大都市タブー。
 すぐ側に大迷宮、奈落墓標を構える迷宮都市とも言えた。

 もっとも、死人が多数存在するその場所に。
 アドラーが期待するような、迷宮資源はない。

 あるのは過去の金銀財宝や宝石の類。
 デプリ上層部の虚栄心を満たすかのような、そんな迷宮だ。
 現に、死人の財宝をせしめてこいと貴族は冒険者に命ずる。

「……ダンジョンコアは、虚飾のバニティ」

 なんと言えば良いのやら、デプリにあって然るべき迷宮。
 俺は、そう感じた。

 最終守護は悪意と呼ばれる存在ビシャス。
 裏で色々と企んでいるみたいだから、気を引き締めよう。

「トウジ、大丈夫?」

 飛空船から降り、グリフィーに乗って移動する最中。
 イグニールが俺の顔を肩越しに覗き込みながらそう聞く。

 表情に出ていたのだろうか。
 全ての根源たる王国。
 好きではない、いや普通に嫌いだからな……。

 でも、召喚されなければ俺はポチたち。
 そしてイグニールやマイヤー、ジュノーに巡り逢う事もなかった。

「大丈夫大丈夫」

 むしろ感謝している。
 無理矢理にでも、そう思うことにしていた。
 いちいちムカついてもハゲるだけだしね。
 人生を楽しく生きる上で重要なのは、慈しみだ。

「トウジ、ここに全ての冒険者が集まってるし?」

「そうだな」

 各国から選りすぐりの冒険者が集う。
 そこそこの人数が集うし、誰が来るかもその場で分かる。
 しかし、他の冒険者と絡むことなんてもうほぼない。

 今回も同じく、飛空船での移動メインだから絡むことないだろう。
 さっさと依頼品を捜索し、ぶっちぎりで一位を獲得だ。







「パーティーリーダーのトウジ・アキノです」

「ああ、はい。ええと……」

 タブーに作られたこの催し事専用の大きな建物に向かい、名前を告げる。
 パーティー名とリーダーは先に登録されているのだ。
 今更ながら、この催し事の正式名称は“未踏挑戦”と言うものである。

 全冒険者を集えば、何か必ず新たな発見があるかもしれない。
 冒険者の存在を世界に知らしめるセレモニーだ。

「お、〈美味しいご飯で元気パワー〉の皆さんですね?」

「はい」

 パーティーネームに思うところがあるのか、なんとも微妙な表情の受付の人。
 まあ、それは仕方ないさ。
 だが一つだけ言っておく。
 これから轟くぞ、美味しいご飯で元気パワー。

「ぶっは、なんだその名前! フザすぎだろ!」

 後ろから声が響いてきた。
 振り返ると、体格の良い荒くれ者って感じ男が腹を抱えて笑っている。
 つま先からスキンヘッドにした頭部にまで。
 左半身の露出している部分にはなんとも凶悪な蛇の入れ墨が彫ってあった。

「ヒュドラの入れ墨……あいつ、ハウザーね」

「ハウザー?」

「対盗賊狩り専門クラン〈百頭蛇〉のマスターだったかしら」

「盗賊専門ねえ」

 ゲーム的に言えば、PVP専門のプレイヤーみたいな感じなのだろうか。
 まあ怪訝に思う気持ちも、笑う気持ちもわかるから放っておこう。

「なんだ、俺のこと知ってんのか? 良い女じゃねえか」

 と、思ったらあっちから近づいてきたぞ。
 地獄耳かよ。

「知らなかったんですけど、たった今知りました」

「なにぃ? どこから来た」

「ギリスです」

「私は元々トガルにいて、それなりにやってたから知ってただけね」

 ハウザーはイグニールに目を向けて言う。

「その髪……前にトガル限定でSランクに駆け上がった豪炎か……」

「あら知ってるの? 見かけによらず、情報通ね」

「はっ、図体と顔だけ見て勘違いする奴は、所詮その程度だ」

「そうね、言えてる」

 ……すいません、俺所詮その程度でした。
 単純なパワーバカとばかり思っちゃった。

「トウジ、大丈夫。情報は私は調べてるから」

「あっはい」

 ズーンとしていると、イグニールがフォローを入れてくれる。
 表情で察せられたようだ。

「なんだ、お前ともあろう奴が、そこの優男のお守りでもしてんのか?」

「悪い? 私は楽しみながらやってるわよ」

「ほー、ギリスにいるのなら、今話題の名無しのSランクに入れば良いのにな?」

 それだけ言って、ハウザーは踵を返す。

「じゃ、もう行くわ。お守りやってるお前は、俺のライバルにはならなそうだからな」

 手を振りながらさっさと自分のパーティーの元へと戻っていった。
 侮られている。
 だが、別に侮られたところで俺の勝利は揺るがないから、何も感じなかった。

「名無しのSランク? もう入ってるわよ」

 後ろ姿を見ながら、イグニールは呟く。

「風貌だけ見て勘違いする奴はなんだったかしらね?」

「所詮その程度だって、自分で言ってたな」

 特大ブーメランである。
 なんか怖そうだな、なんて思ったけど。
 会話ひとつで化けの皮が剥がれたみたいだった。

「はい、会場に来たみんな~! ここでたむろってないで中に入って~!」

 ギルドの職員からそんな声が響く。
 人数が多いから別所に移動させるつもりのようだ。

「ほら早く移動移動! ここじゃ邪魔よ! ……って」

 不意に、みんなを急かしていた職員と目が合う。
 やや癖っ毛が混ざった燻んだ赤い髪の女性だった。
 ……見覚えがある。
 イグニールではない赤い髪は俺があった中で一人だけ。

「トウジじゃないの! 久しぶりね!」

「エリーサ、さん」
感想 9,840

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