485 / 650
本編
785 ちちだんぎ
しおりを挟む「イグ姉、見ないうちにちょっと大っきなったんちゃう?」
「そう? 前と変わらないともうけど……」
「うちは誤魔化されへんで! なんなん、なんなんもう!」
「きゃっ! ちょっと、いきなり鷲掴みにしないの!」
「むぐわー! 世の中不平等やねん! なんでうちだけ!」
風呂に入って何を話すのかと思えば、乳談義か。
イグニールのを、マイヤーが怒りのままに揉みしだいている。
ちなみに体を洗っている最中なので、大事な部分は見えない。
(お、おおお、お姉様、私がお背中をお流しながしなし)
(落ち着け、ちょっと落ち着け)
霊体だってのに、鼻血を流しながら興奮するローディ。
本当にこいつ大丈夫か、主に頭の方とか。
「ぐぬぬぬ、何があかんのやろ……」
「酒ばっか飲んでるからよ」
「ぐっ」
イグニールの無慈悲な返答に、返す言葉が出ないマイヤー。
そうだよな、不健康は発育に影響するだろうし。
しかしながら、マイヤーはしっかり20歳になってからお酒を始めた。
故に、今更酒をやめたところで……うん、まあどんまい。
「マイヤー、女は胸じゃないわよ、胸じゃ」
うむ、少なくとも俺は胸で決めたりなんかしない。
恋愛ってのは、フィーリングが大事なんだぜ?
嫁さんゲットした勝ち組として、その説を提唱しよう。
「そうやねんけど……なんやみんなデカいやんけ……」
「周りに比べたら、私も小ぶりの範疇よねえ」
「骨もなんや昔は巨乳やったっぽいやん?」
「そうね、でもノーカンでしょ?」
「せやねんけど、骨抜きでも地味にジュノーが一番大きいってのが!」
「あー、確かに。でもそれは比率的にはって感じでしょ?」
「むぐぐ」
「それなら、私とマイヤーでワンツーフィニッシュよ」
さすがに無理やり過ぎる乳番付だった。
ワンツーフィニッシュて。
生活を共にするメンツの中で、人間の女性はイグニールとマイヤーしかいないから当たり前である。
「それもそうやね。うちがナンバーツーや!」
「何がナンバーツーだし?」
そんな他愛もない話をしている最中、浴室にジュノーも飛び入りした。
「ねえねえ、なんの話だし? なんの話だし?」
「胸の大きさのことよ」
「ははーん、だったらバランス的にはあたしがナンバーワァーン!」
すっぽんぽんで高らかに腕を上げて宣言するジュノー。
話は再び振り出しに戻るのであった。
(私はお姉様オンリーワンです! ハァハァ、ハァハァ……ッ)
(もうどうしようもねえな……)
なんだこの空間、はたから見ていて辟易としてきた。
男の夢である桃色空間なんだが、ローディの存在。
これが全てを台無しにしている。
まあ、良いんだけどさ……。
「それで、話ってなんなん?」
体を綺麗にした後、みんな湯船に浸かり始めた中で、マイヤーがポツリと話を戻した。
「ああ……忙しくて言うの遅くなったんだけど……」
「うん」
「私、トウジと結婚したのよ」
さらっと告げられたイグニールの言葉。
一瞬だけ、時が止まったような感覚がした。
「…………え?」
しばらくの時間をおいて、ようやく思考が元に戻ったように言葉が溢れた。
なんとなく話の内容は予測できていたのだが、まさかこんなにあっさりだとは……。
俺とイグニールが結婚しましたって報告を聞いたマイヤーがいささか心配になる。
別に自慢するわけではないが、彼女の好意には薄々気づいていることもあった。
一緒に暮らすだなんて、本当はあっちゃいけないことだと思うけど。
なし崩し的にそういう状況になってしまった現状をどうするべきか。
激しく思い悩むこともあった。
だが結論として、俺はイグニールが好きである。
マイヤーは、ビジネスパートナー的な存在なのだ。
……求めすぎだろうか?
俺の選択は間違っていたのだろうか。
結果、関係性が変わってしまうのがすごく怖い。
30歳にして、異世界でできた縁が切れてしまう。
心が締め付けられるような感じだった。
「お、おめでとう、イグ姉」
凝り固まっていた表情筋を無理やり動かしたような笑顔を作るマイヤー。
それを見つめるイグニールも、なんだか難しい顔をしている。
一方ジュノーは、泡でお馬鹿な遊びを……していなかった。
珍しく、イグニールたちの話に真剣な顔で耳を傾けている。
(はあ? イグ姉が、結婚……?)
対する俺は、ローディの首が180度回転する姿をまじまじと見据えていた。
キリキリと歯切りしが聞こえて来なくもない。
こ、怖い。
(ご説明していただけますか?)
(えっと……デブリのイグニールの実家で結婚した……かな?)
(かな? ってなんですか。殺しますよ?)
(いや、もう死んでます。だから勘弁してください)
真剣な話をしてるんで、落ち着いてください。
もうなんだよこの状況。
とりあえず鬼の形相で追いかけてくるから、この場からエスケープすることにした。
=====
ここから数話ほど、登場人物はトウジ以外全裸です。
それだけで十分でしょう、ふんどしぱいん。
71
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。