28 / 77
028 告白
しおりを挟む
意外に思うかもしれないが、冒険者の朝は早い。まだ完全に日も出ていない薄暗い中、武装した冒険者たちが、続々と冒険者ギルドへと集まっていく。きっと今頃、割りの良いクエストの奪い合いでもしている頃だろう。
冒険者と云っても、ダンジョンへの冒険ばかりが仕事ではなかったりする。護衛や狩猟、探査などなど、冒険者ギルドに寄せられる依頼は意外にも多い。それらクエストを受注するのも冒険者のお仕事の1つだ。その中にはダンジョンに潜るよりもよっぽど割りの良いクエストもけっこうある。というか、そうじゃないと冒険者たちもクエストを受けない。
じゃあ、ダンジョンに潜るよりクエストを受けた方が良いじゃんとなるんだけど、クエストを受けるにはパーティの認定レベルを上げる必要がある。クエストごとに、受注に必要な認定レベルが決まっているのだ。
このパーティの認定レベルは、冒険者ギルドがパーティの実力や実績、信頼度などを表した値だ。これを上げるにはダンジョンに潜るのが手っ取り早い。多少の前後はあるけど、パーティの認定レベルは、攻略できるダンジョンのレベルと等しいと云われている。レベル3のダンジョンを攻略できれば、パーティの認定レベルはレベル3といった感じだ。
まぁダンジョンを攻略して上げられるのはレベル5までで、そこから先はパーティメンバーの人柄なんかも重要になってくる。冒険者というのは暴力を生業としているからか、乱暴で横暴な奴が多いからね。レベル5止まりの冒険者パーティが多い。レベル6以上に上がれるのはその中でも比較的温厚な冒険者パーティか、そんなことが些事になるくらい実力が卓越している冒険者パーティだけだ。
ややこしいことに、冒険者ギルドが定める認定レベルは、パーティだけではなく、個人にもある。『極致の魔剣』を例にすると、パーティの認定レベルは7、【勇者】だったアンナはレベル8、アレクサンダー、ルドルフ、フィリップ、そして僕がレベル5だった。僕でもレベル5まで上がれたのだから、レベル5までは俗に云うパワーレベリングが可能だ。でも、個人認定レベルの6以上は、厳正なる審査があるらしい。アレクサンダー、ルドルフ、フィリップの誰も突破できていないのだから、冒険者ギルドには【勇者】におんぶに抱っこだったのがバレバレだったね。グッジョブ冒険者ギルド!
「あぁ」
心の中で冒険者ギルドを称えていると、冒険者ギルドに近づく1つのパーティを見つけた。金髪長身のイケメンと、それぞれ個性の違う美少女4人のパーティだ。なんか見てるだけで華のあるパーティだね。近寄るのがちょっと畏れ多いよ。それでも近寄るんだけどさ。だって、僕もそのパーティの一員だし。
「おはよう、皆」
「え?」
「はい?」
声をかけたら、まるで不審者を見るような目で見られた。あれ…?
「って! よく見たらクルトじゃない! なんでフードなんて被ってるのよ? 一瞬誰かと思ったわ」
「ああ、クルトさんですか。急に現れたのでビックリしました」
「ほんとそれなー。んでんで、クルクル、なんか前と恰好違くない?」
「おはよう、クルト。なんだか今日の格好はいいわね」
「おは…! ょうございます…」
良かった。忘れられたわけじゃないみたいだ。そういえば、効果の程が知りたくてフードを被りっぱなしだったな。僕はフードを取ると話を続ける。
「臨時収入があってね。装備を一新してみたんだ」
「黒い髪に黒い目、おまけに黒いローブって、なんだかイザベルと兄妹みたいね」
ちょっと不満そうに頬を膨らませてルイーゼが言う。たしかに同じ黒髪黒目だし、同じ黒い恰好をしているから、そう見えるかもしれない。
「誰も取らないから安心なさいな」
「そんなんじゃないわよ!」
イザベルの言葉にルイーゼが頬を染めて叫ぶ。何のことだろう?
僕の顔に疑問が浮かんでいることに気が付いたのか、マルギットがニンマリとした笑みを浮かべて僕に耳打ちする。
「ルイルイったらねー、クルクルと別れてから、クルクルのことばっかり話しててねー……」
マルギットの顔がすぐ横に来てドキリとするのと同時に、話の内容にもドキドキする。それって……。
「もしかしたらルイルイはクルクルのこと……」
マルギットの吐息が耳にかかってムズムズする。なぜか分からないけど、頭が痺れるような心地良さがあった。これヤバイかも……。
「こら! そこ! 何やってるのよ!」
ルイーゼの言葉に僕はハッと正気に戻った。危なかった。何が危なかったかは分からないけど、とにかく危なかった。例えるなら、蟻地獄から生還した気分がした。
「ごめんじゃん、取らないってばー」
「もー! そんなんじゃないったら! ただ、クルトが傍に居ると調子が良いってだけで……」
「それってもーそういうことっしょ」
「そうよね」
「あの…! 認めたら、楽に……」
「もー! 違うったら!」
ルイーゼが顔を真っ赤にして叫んでいる。そんなルイーゼもかわいい。
ルイーゼの言ってることは、事実だ。彼女は【勇者】なのだから、僕の傍に居るとバフがかかる。それを「調子が良い」と感じ取っているんだ。
「皆、ちょっと聞いてほしいことがある」
ルイーゼが【勇者】になったこと、そして僕の【勇者の友人】について、彼らは知る権利があると思う。いつまでも正体不明の謎の力では、ラインハルトじゃないけど気持ちが悪いだろう。
「なになに? 告る? 告る?」
「え? えー!?」
「急ね」
「わくわく…!」
女の子4人の視線が僕に集まる。ルイーゼは恥ずかしそうに頬を染めて僕をチラチラと見て、他の3人は目をキラキラさせて何かを期待している表情だ。
「……期待を裏切るようで申し訳ないけど……」
僕は自分のギフト【勇者の友人】について話し出した。ルイーゼへの告白? いや……まだ、早くない…?
冒険者と云っても、ダンジョンへの冒険ばかりが仕事ではなかったりする。護衛や狩猟、探査などなど、冒険者ギルドに寄せられる依頼は意外にも多い。それらクエストを受注するのも冒険者のお仕事の1つだ。その中にはダンジョンに潜るよりもよっぽど割りの良いクエストもけっこうある。というか、そうじゃないと冒険者たちもクエストを受けない。
じゃあ、ダンジョンに潜るよりクエストを受けた方が良いじゃんとなるんだけど、クエストを受けるにはパーティの認定レベルを上げる必要がある。クエストごとに、受注に必要な認定レベルが決まっているのだ。
このパーティの認定レベルは、冒険者ギルドがパーティの実力や実績、信頼度などを表した値だ。これを上げるにはダンジョンに潜るのが手っ取り早い。多少の前後はあるけど、パーティの認定レベルは、攻略できるダンジョンのレベルと等しいと云われている。レベル3のダンジョンを攻略できれば、パーティの認定レベルはレベル3といった感じだ。
まぁダンジョンを攻略して上げられるのはレベル5までで、そこから先はパーティメンバーの人柄なんかも重要になってくる。冒険者というのは暴力を生業としているからか、乱暴で横暴な奴が多いからね。レベル5止まりの冒険者パーティが多い。レベル6以上に上がれるのはその中でも比較的温厚な冒険者パーティか、そんなことが些事になるくらい実力が卓越している冒険者パーティだけだ。
ややこしいことに、冒険者ギルドが定める認定レベルは、パーティだけではなく、個人にもある。『極致の魔剣』を例にすると、パーティの認定レベルは7、【勇者】だったアンナはレベル8、アレクサンダー、ルドルフ、フィリップ、そして僕がレベル5だった。僕でもレベル5まで上がれたのだから、レベル5までは俗に云うパワーレベリングが可能だ。でも、個人認定レベルの6以上は、厳正なる審査があるらしい。アレクサンダー、ルドルフ、フィリップの誰も突破できていないのだから、冒険者ギルドには【勇者】におんぶに抱っこだったのがバレバレだったね。グッジョブ冒険者ギルド!
「あぁ」
心の中で冒険者ギルドを称えていると、冒険者ギルドに近づく1つのパーティを見つけた。金髪長身のイケメンと、それぞれ個性の違う美少女4人のパーティだ。なんか見てるだけで華のあるパーティだね。近寄るのがちょっと畏れ多いよ。それでも近寄るんだけどさ。だって、僕もそのパーティの一員だし。
「おはよう、皆」
「え?」
「はい?」
声をかけたら、まるで不審者を見るような目で見られた。あれ…?
「って! よく見たらクルトじゃない! なんでフードなんて被ってるのよ? 一瞬誰かと思ったわ」
「ああ、クルトさんですか。急に現れたのでビックリしました」
「ほんとそれなー。んでんで、クルクル、なんか前と恰好違くない?」
「おはよう、クルト。なんだか今日の格好はいいわね」
「おは…! ょうございます…」
良かった。忘れられたわけじゃないみたいだ。そういえば、効果の程が知りたくてフードを被りっぱなしだったな。僕はフードを取ると話を続ける。
「臨時収入があってね。装備を一新してみたんだ」
「黒い髪に黒い目、おまけに黒いローブって、なんだかイザベルと兄妹みたいね」
ちょっと不満そうに頬を膨らませてルイーゼが言う。たしかに同じ黒髪黒目だし、同じ黒い恰好をしているから、そう見えるかもしれない。
「誰も取らないから安心なさいな」
「そんなんじゃないわよ!」
イザベルの言葉にルイーゼが頬を染めて叫ぶ。何のことだろう?
僕の顔に疑問が浮かんでいることに気が付いたのか、マルギットがニンマリとした笑みを浮かべて僕に耳打ちする。
「ルイルイったらねー、クルクルと別れてから、クルクルのことばっかり話しててねー……」
マルギットの顔がすぐ横に来てドキリとするのと同時に、話の内容にもドキドキする。それって……。
「もしかしたらルイルイはクルクルのこと……」
マルギットの吐息が耳にかかってムズムズする。なぜか分からないけど、頭が痺れるような心地良さがあった。これヤバイかも……。
「こら! そこ! 何やってるのよ!」
ルイーゼの言葉に僕はハッと正気に戻った。危なかった。何が危なかったかは分からないけど、とにかく危なかった。例えるなら、蟻地獄から生還した気分がした。
「ごめんじゃん、取らないってばー」
「もー! そんなんじゃないったら! ただ、クルトが傍に居ると調子が良いってだけで……」
「それってもーそういうことっしょ」
「そうよね」
「あの…! 認めたら、楽に……」
「もー! 違うったら!」
ルイーゼが顔を真っ赤にして叫んでいる。そんなルイーゼもかわいい。
ルイーゼの言ってることは、事実だ。彼女は【勇者】なのだから、僕の傍に居るとバフがかかる。それを「調子が良い」と感じ取っているんだ。
「皆、ちょっと聞いてほしいことがある」
ルイーゼが【勇者】になったこと、そして僕の【勇者の友人】について、彼らは知る権利があると思う。いつまでも正体不明の謎の力では、ラインハルトじゃないけど気持ちが悪いだろう。
「なになに? 告る? 告る?」
「え? えー!?」
「急ね」
「わくわく…!」
女の子4人の視線が僕に集まる。ルイーゼは恥ずかしそうに頬を染めて僕をチラチラと見て、他の3人は目をキラキラさせて何かを期待している表情だ。
「……期待を裏切るようで申し訳ないけど……」
僕は自分のギフト【勇者の友人】について話し出した。ルイーゼへの告白? いや……まだ、早くない…?
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる