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033 どや
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「それじゃあ、さっそく行きましょ!」
「待って、待って」
今にもスキップしそうなほどご機嫌なルイーゼ。これに待ったをかけないといけないのかと思うと、ちょっと心苦しい。
「何よ? 何か問題でもある?」
せっかくのご機嫌に水を差されたルイーゼは、ちょっと不満そうだ。でも、僕が言わないといけないことがある。
「問題は無いけど、ご飯はどうかな? そろそろお昼だよ」
ご飯と聞いてか、かわいらしく「く~」とお腹の鳴る音が聞こえた。誰のだろう? ラインハルトがお腹を摩っているのはお腹が鳴ったからだろうか? それとも女の子に恥をかかせまいとしての行動かな?
「下層に降りると、今度はいつご飯が食べられるか分からないよ。時間に余裕のあるうちに食べちゃおう」
「それもそうね。あたしもお腹減ったわ。今食べちゃいましょ」
そういうことでご飯の時間になった。皆の視線が僕に集まる。そうだね。ご飯を準備するのは僕の仕事だね。
「そういえば、今日はなんだかスッキリしてるわね」
「それ、あーしも思ったー。なんでだろ?」
「あの大きな鞄を背負ってないからではないですか」
「あの! 荷物、は…?」
「あなた荷物はどうしたのよ? まさか、忘れてきたわけじゃないでしょうね?」
たしかに、今の僕は大きな鞄も背負ってないし、なにか手荷物を持ってるようには見えないだろう。
「ふっふっふ」
僕は不敵に笑って腰に巻かれた黒い革のポシェットを叩いてみせる。
「その中に入ってるの?」
ルイーゼが不思議そうな顔で訊いてくる。そうだね。どう見ても全員分の食事が入ってるとは思えない小さなポシェットだ。
「まさか…!」
ラインハルトは思い当たったらしい。
「まさかとは思いますが、マジックバッグですか?」
「そうだよ」
僕はラインハルトの問いに頷いてみせる。
マジックバッグとは、見た目以上に物が入る鞄型宝具の総称だ。全ポーターの、いや、全冒険者、全商人、全人類憧れの宝具と言ってもいいだろう。マジックバッグの中には、物がたくさん入る他に重量軽減の嬉しい効果を持つ物もある。中には時の流れに干渉する物すらあるほどだ。
僕の買ったマジックバッグは、最高ランクの物に近い。大きな屋敷を丸ごと飲み込んでもまだ空きがあるほどの容量を誇り、当然のように重量軽減や、中に入れた物の時間の流れを止める時間停止の効果も付いている。それでいてコンパクトなポシェットタイプで邪魔にならない。まぁ、その分いいお値段がしたけどね……たしかミスリル貨18枚だったかな。手に入れたミスリル貨の半分どころか大半がマジックバッグに消えていることになるね。
「あれがマジックバッグ? なんか普通ね」
「やばっ!? ほんとにマジックバッグ? 初めて見たー」
「意外と普通の見た目なのね」
「すご、い…!?」
ルイーゼたちの視線が、僕の腰にあるマジックバッグへと集まるのが分かった。僕は彼女たちの期待に応えるために、腰のマジックバッグから次々と荷物を取り出して昼食の準備をしていく。まずはレジャーシートを敷いて、座った時お尻が痛くないようにクッションも出しておこう。
「「「「「おぉー!」」」」」
明らかにポシェットの見た目以上の物量が出てきて、皆が感心したような声を上げる。ちょっと気持ちいい。でも、本番はまだまだこれからだ。
「よっと」
次に僕がマジックバッグから取り出したのは、屋台で買った熱々のフリカデルだ。拳程の大きさの丸めた挽き肉を焼いた料理でパンに挟まれている。
「まだ湯気が出ていますよ!」
「ほんとだ!」
パーティメンバーには女の子も多いからと買ったサラダも出して、忘れてはいけない主役のヴルストにマスタード。まるでピクニックにでも来たかのような光景だね。
「サラダもみずみずしいですし、まさか時間停止付きのマジックバッグですか?」
「そだよー。重量軽減も付いてるよー」
「めちゃくちゃ高性能じゃないですか!?」
ラインハルトが目を剥いて驚愕する。すごいな。こんなに顔が崩れているのにイケメンのままだ。
「まぁね」
僕は意味も無くドヤる。ドヤれる時には全力でドヤるのが僕のモットーなんだ。
「それってそんなにすごいの?」
「いやまー、すっごいのは分かるんだけどさー」
「あまりピンとこないわ」
「こ、ない……」
ルイーゼたち女の子4人は、このマジックバッグの価値を計りかねているようだ。まぁ、マジックバッグ自体希少な物だし、身近な物じゃないから分からなくて当然だけどね。
「すごいですよ! 最低でも大金貨何百枚もします!」
本当は大金貨2000枚以上するんだけどね。
「だい!?」
「きん!?」
「かっ!?」
「ひゃ、ひゃひゃひゃ…!?」
ルイーゼたちの驚き様はすごかった。皆、目を丸くしてマジックバッグを見ている。かわいらしい顔だ。この僕の着ているローブも大金貨100枚以上する宝具だって知ったらもっと驚くかな? いや、ローブだけじゃない。ブーツやズボン、ベルト、剣、イヤリングや指輪の装飾品に至るまで全て宝具。今の僕は全身宝具塗れだ。いや、その、セットで買うとお得だって言われちゃって、つい……ね。
「待って、待って」
今にもスキップしそうなほどご機嫌なルイーゼ。これに待ったをかけないといけないのかと思うと、ちょっと心苦しい。
「何よ? 何か問題でもある?」
せっかくのご機嫌に水を差されたルイーゼは、ちょっと不満そうだ。でも、僕が言わないといけないことがある。
「問題は無いけど、ご飯はどうかな? そろそろお昼だよ」
ご飯と聞いてか、かわいらしく「く~」とお腹の鳴る音が聞こえた。誰のだろう? ラインハルトがお腹を摩っているのはお腹が鳴ったからだろうか? それとも女の子に恥をかかせまいとしての行動かな?
「下層に降りると、今度はいつご飯が食べられるか分からないよ。時間に余裕のあるうちに食べちゃおう」
「それもそうね。あたしもお腹減ったわ。今食べちゃいましょ」
そういうことでご飯の時間になった。皆の視線が僕に集まる。そうだね。ご飯を準備するのは僕の仕事だね。
「そういえば、今日はなんだかスッキリしてるわね」
「それ、あーしも思ったー。なんでだろ?」
「あの大きな鞄を背負ってないからではないですか」
「あの! 荷物、は…?」
「あなた荷物はどうしたのよ? まさか、忘れてきたわけじゃないでしょうね?」
たしかに、今の僕は大きな鞄も背負ってないし、なにか手荷物を持ってるようには見えないだろう。
「ふっふっふ」
僕は不敵に笑って腰に巻かれた黒い革のポシェットを叩いてみせる。
「その中に入ってるの?」
ルイーゼが不思議そうな顔で訊いてくる。そうだね。どう見ても全員分の食事が入ってるとは思えない小さなポシェットだ。
「まさか…!」
ラインハルトは思い当たったらしい。
「まさかとは思いますが、マジックバッグですか?」
「そうだよ」
僕はラインハルトの問いに頷いてみせる。
マジックバッグとは、見た目以上に物が入る鞄型宝具の総称だ。全ポーターの、いや、全冒険者、全商人、全人類憧れの宝具と言ってもいいだろう。マジックバッグの中には、物がたくさん入る他に重量軽減の嬉しい効果を持つ物もある。中には時の流れに干渉する物すらあるほどだ。
僕の買ったマジックバッグは、最高ランクの物に近い。大きな屋敷を丸ごと飲み込んでもまだ空きがあるほどの容量を誇り、当然のように重量軽減や、中に入れた物の時間の流れを止める時間停止の効果も付いている。それでいてコンパクトなポシェットタイプで邪魔にならない。まぁ、その分いいお値段がしたけどね……たしかミスリル貨18枚だったかな。手に入れたミスリル貨の半分どころか大半がマジックバッグに消えていることになるね。
「あれがマジックバッグ? なんか普通ね」
「やばっ!? ほんとにマジックバッグ? 初めて見たー」
「意外と普通の見た目なのね」
「すご、い…!?」
ルイーゼたちの視線が、僕の腰にあるマジックバッグへと集まるのが分かった。僕は彼女たちの期待に応えるために、腰のマジックバッグから次々と荷物を取り出して昼食の準備をしていく。まずはレジャーシートを敷いて、座った時お尻が痛くないようにクッションも出しておこう。
「「「「「おぉー!」」」」」
明らかにポシェットの見た目以上の物量が出てきて、皆が感心したような声を上げる。ちょっと気持ちいい。でも、本番はまだまだこれからだ。
「よっと」
次に僕がマジックバッグから取り出したのは、屋台で買った熱々のフリカデルだ。拳程の大きさの丸めた挽き肉を焼いた料理でパンに挟まれている。
「まだ湯気が出ていますよ!」
「ほんとだ!」
パーティメンバーには女の子も多いからと買ったサラダも出して、忘れてはいけない主役のヴルストにマスタード。まるでピクニックにでも来たかのような光景だね。
「サラダもみずみずしいですし、まさか時間停止付きのマジックバッグですか?」
「そだよー。重量軽減も付いてるよー」
「めちゃくちゃ高性能じゃないですか!?」
ラインハルトが目を剥いて驚愕する。すごいな。こんなに顔が崩れているのにイケメンのままだ。
「まぁね」
僕は意味も無くドヤる。ドヤれる時には全力でドヤるのが僕のモットーなんだ。
「それってそんなにすごいの?」
「いやまー、すっごいのは分かるんだけどさー」
「あまりピンとこないわ」
「こ、ない……」
ルイーゼたち女の子4人は、このマジックバッグの価値を計りかねているようだ。まぁ、マジックバッグ自体希少な物だし、身近な物じゃないから分からなくて当然だけどね。
「すごいですよ! 最低でも大金貨何百枚もします!」
本当は大金貨2000枚以上するんだけどね。
「だい!?」
「きん!?」
「かっ!?」
「ひゃ、ひゃひゃひゃ…!?」
ルイーゼたちの驚き様はすごかった。皆、目を丸くしてマジックバッグを見ている。かわいらしい顔だ。この僕の着ているローブも大金貨100枚以上する宝具だって知ったらもっと驚くかな? いや、ローブだけじゃない。ブーツやズボン、ベルト、剣、イヤリングや指輪の装飾品に至るまで全て宝具。今の僕は全身宝具塗れだ。いや、その、セットで買うとお得だって言われちゃって、つい……ね。
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