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処女の証
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″見た目がキレイなヤツが、心もキレイだとは限らない″
独身中年男に、さもわかった風な事を言われて正直、ムッときた私は、
「……それ、月山さんのこと言ってます?」
事務所を出ながら、誉めてるようでそうでない言葉を突き返した。
そう、この人。
見た目こそイケテるけれど、言葉の端々にトゲがある。
「はぁ? 馬鹿か。あのバンドのボーカルのことだよ」
おまけに、一番言っちゃいけないことを言い出し始めた。
「ヨシの性格が悪いとでも言いたいんですか?」
ヨシ様しか見えてない熱いファンに、真水をかけるような事を言い放った。
「そう、中身には問題あるみたいだよ?」
「中身?何でそんなこと、ただの一ファンの月山さんが分かるんですか?」
不快さを表に出して上司に突っかかった私。
浅はか? ううん、当然の反応だよ。
「……怒るなよ。同性だから分かる事だってある」
「怒りますよ!だって【Virtue】はミステリアスさが売りで、プライベートは全く公表してないバンドなんですよ?皆そうだけど、特にヨシ様は段違い!
ツチノコレベルで普段の姿は全く見ることが出来ないカリスマボーカリストなんです!なのに、自分だけは分かってるみたいな言い方されたらそりゃファンは怒ります!」
怒りに任せて機関銃のように反論していると、
「……分かったよ」
座って聞いていた月山さんが、ガタッ!と立ち上がって、入り口付近の私のそばに近寄ってきた。
「え」
わ、分かったって、なにが?
二人きりの事務所で、恐らくゲイとはいえ、イケてる中年男がグイグイと近寄ってきて、おまけに、
「え、ちょっ?!」
ドアにかけていた私の手を掴み、鋭い猫のような目で迫ってくるのだから、心臓はドキドキバクバクで……
「後藤は、そうやって理想と現実の区別がつかないから恋愛出来ないんだ」
本人が、よーく分かってる事をまたサクッと言って、
「だからなんで、さっきから私が恋愛してないって分かるんですか?」
「分かるよ、処女の手してるから」
「はっ……?」
私の顔を真っ赤にさせる。
「……処女の手?」
なんてこと言うんだ? この人。
独身中年男に、さもわかった風な事を言われて正直、ムッときた私は、
「……それ、月山さんのこと言ってます?」
事務所を出ながら、誉めてるようでそうでない言葉を突き返した。
そう、この人。
見た目こそイケテるけれど、言葉の端々にトゲがある。
「はぁ? 馬鹿か。あのバンドのボーカルのことだよ」
おまけに、一番言っちゃいけないことを言い出し始めた。
「ヨシの性格が悪いとでも言いたいんですか?」
ヨシ様しか見えてない熱いファンに、真水をかけるような事を言い放った。
「そう、中身には問題あるみたいだよ?」
「中身?何でそんなこと、ただの一ファンの月山さんが分かるんですか?」
不快さを表に出して上司に突っかかった私。
浅はか? ううん、当然の反応だよ。
「……怒るなよ。同性だから分かる事だってある」
「怒りますよ!だって【Virtue】はミステリアスさが売りで、プライベートは全く公表してないバンドなんですよ?皆そうだけど、特にヨシ様は段違い!
ツチノコレベルで普段の姿は全く見ることが出来ないカリスマボーカリストなんです!なのに、自分だけは分かってるみたいな言い方されたらそりゃファンは怒ります!」
怒りに任せて機関銃のように反論していると、
「……分かったよ」
座って聞いていた月山さんが、ガタッ!と立ち上がって、入り口付近の私のそばに近寄ってきた。
「え」
わ、分かったって、なにが?
二人きりの事務所で、恐らくゲイとはいえ、イケてる中年男がグイグイと近寄ってきて、おまけに、
「え、ちょっ?!」
ドアにかけていた私の手を掴み、鋭い猫のような目で迫ってくるのだから、心臓はドキドキバクバクで……
「後藤は、そうやって理想と現実の区別がつかないから恋愛出来ないんだ」
本人が、よーく分かってる事をまたサクッと言って、
「だからなんで、さっきから私が恋愛してないって分かるんですか?」
「分かるよ、処女の手してるから」
「はっ……?」
私の顔を真っ赤にさせる。
「……処女の手?」
なんてこと言うんだ? この人。
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