美獣と眠る

光月海愛(こうつきみあ)

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後悔

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   「しょ、……」

 ″ 処女 ″ とか、何でそこまで分かっちゃうの?!
  しかも、手で?

  月山さんは、じっと、私の手を掴んだまま見つめて、

「処女の女は、大概、普段は眉毛も体毛もあんまり処理しないんだよ」

 デリカシーのない言葉で、私を羞恥の窮地に追い込んだ。

 「体毛……」

  もう、だめ。

  もう、無理。


「男を知ってる奴は、手の産毛までちゃんと処理するからな。知らない奴は見られてる意識がないから、生やしっぱなしなんだよ。恐らく脛毛も、脇毛も、下も……」
 
  ―――パン!!!

 皮膚を叩く渇いた音が響く。
 
  「……って」


 そこまで言われて、たまらず、部長の月山の頬に平手打ち。

 あれ以上、屈辱の言葉を聞きたくなかったから。

  何でたった1日仕事した人にそこまで言われなきゃいけないの?

  顔が良けりゃ何を言ってもいいと思ってるの?

  そんな傲り高い人とは、一緒にいたくない。

「どんだけやり手で ″ 経常利益 ″ 産み出してる人か知りませんけど、私はセクハラの甚だしい貴方みたいな人と仕事なんかできません!だけど、身をもって教えてくださってありがとうございます!」

「……なにを、?」

「顔が良くても中身最悪の人がいるってこと!」
 
 月山さんは、音の割にはたいして痛くもないだろう頬に手を当てて、溢れそうな私の目元を、ジッと見ていた。

 「たった1日でしたけど、お世話になりました!!さようなら!」

 つい、衝動的な事を言い放って、現実を突きつける中年男から逃げるように会社を飛び出した。

 モーホーが、偉そうに語ってんじゃないわよ!

 偏見甚だしい事を心で叫んで、そして、後悔していた。

 

 なぜなら、【Virtue】のライヴのチケット、九州公演の分まで取っていたからだ。

 今、会社を辞めたら、その出費の捻出がとても大変になる。

 ゲイ?のセクハラに負けてしまったことが、とても悔やまれた。
















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