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夢のあとは
しおりを挟むずっと追いかけてきた推しのプライベートの姿を見れたのに、深酒したせいか、その夜見た夢は何だか怖かった。
ヨシは、ちゃんと夢に出てきた。
――――だけど、人間の姿じゃなくて、頭に角がひとつある、あれ、なんだっけ?
そう、ユニコーン。
それになってて、めっちゃ私を追いかけてくるのよ。
パカパカパカパカ!って馬走りで。
凄い目をギラギラ光らせるから、もう怖くて。
私は逃げて逃げて逃げまくっていた、あんなに大好きなヨシなのに。
追いかけて来るユニコーンを振り向くこともせずに、逃げて逃げて――
そして、何故か、深い海に飛び込んじゃう。
息ができなくて、苦しくて、必死にもがいてる夢を見てしまっていた。
「……う、く、くる……し」
――――その悪夢から目が覚めた時。
私は、太い腕に喉を覆われて窒息寸前だった。
私の喉に乗せてあった太い腕を退かして、「ハァ……!」と、やっと酸素を取り入れた。
な、なに? 誰の腕?
真っ暗だけど、自分の部屋だということはわかる。
いつも寝ている自分のベッドの上にいるということも。
問題は……。
私を腕枕し、更にもう一方の腕を私の首に乗せて、寝ている太い腕の持ち主が誰なのかってこと。
おまけに、私の上半身は下着だけのあられもない姿だ。隣にうつ伏せで寝ている男も、上半身裸……。
暗闇に慣れてきた目で、よーく凝らして見ると、短めの黒髪が、どうやら、″ あの人″ だと認識できた。
「月山さん……」
一体、昨夜、何があった?
そばにある髪に恐る恐る、チョンと触れてみる。
それだけで、サラサラした細い髪質なんだとわかる。
布団からはみ出した肩と首は、ちゃんと筋肉が自己主張してて、中年の身体とは思えない。
私、これと、何かした?
「月山さん」
ドキドキしながらその男らしい肩を揺さぶった。
うつ伏せで枕を占領していた顔が、「……ん」と、ゆっくりと、こちらを振り向く。
うわ、このしかめっ面。
昨日の不機嫌そうなヨシに似てる。
この人は嫌われてはいても、あのヨシの父親なんだよ。
本当に凄いことがあるものだ。
……で、
私は、この人と、……?
肝心な事が思い出せない。
過程不明の今の状況から不安になっていると、
「あー……あのまま寝ちまったか」
うっすらと目を開けた月山さんが、私を見て、
「お前、風呂入った方がいいぞ」
意味深な忠告をしてきた……。
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