美獣と眠る

光月海愛(こうつきみあ)

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追いかけたいの

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 「″ 美しき背徳のライン ″ か…。あと、もうちょいだなぁ」

 CM制作の人が、メモを取りながらも首を傾げている。

「ですよね、あ、あとはもうプロの方にお任せします」

 ふぅ。
 何とか自分の持つイメージは伝えた。
 席に着くと背中は汗だくになっていて、とても気持ちが悪かった。

 いろんなイメージの意見が飛び交う中、早く決まらないかな、と思っていると、

「″ 美しき ″ じゃなくて、″ その美しさは ″ の方が良くね?」


 隣のヨシが、突如、キャッチコピーの話に逆戻り。

「え」

 無言だったメインキャラクターが発した言葉に、皆が一斉に耳を傾けた。

「″ その美しさは背徳 ″  。雪か何だか知らないけど、 白く神聖なものをバック中に、俺が悪魔的な存在で映し出されてたらいいと思う 」
 
 それだけ言うと、

「レコーディングに戻ります、あとは後藤に任せた」

 打ち合わせの部屋をさっさと出ていってしまった。

 え、え、またこの中座パターン?
 しかも、私に任せるって、

 私はただの広告代理店のアシスタントなんだって。

 
「ヨシは噂通り、難しい男だな」

「最後まで話し合いに参加するということを教育しないと……」

「でも、まぁ、本人のイメージも頂いたことだし……」

 ヨシが出ていったあとのその場の空気は悪かった。


――″ 美しきじゃなくて、その美しさは、が良くね? ″

 それでも、私のイメージしたものを、訂正しつつ肯定してくれた発言は正直、嬉しかった。

 彼だけが認めてくれたような気がした。

 ふと、空いた椅子に視線を落とすと、

 『あ……れ?  ヨシ、帽子忘れてる』

 ヨシが良くかぶっているベレー帽が置いたままである事に気づく。

「ちょっと、失礼します」




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