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家族
しおりを挟む私は力が抜けて床にへたり込んだ……。
嘘でしょ?
信じられない……。
人ってこんなにあっさり死んでしまうものなの?
「……晶……」
私よりもショックなはずのヨシが、私を抱え上げて立たせてくれた。
「ご家族の方に死亡確認をしていただいて、こちらで遺体の処置をします。一度、中へ」
「……」
――遺体……
コクン……と頷いたヨシが私を置いて手術室の中へ入ろうとした時だった。
「おい、二人とも、どこに行くんだ?」
聞き覚えのある、ヨシの声に似た声が、二人の動きを止めた。
「え」
「はっ?」
「そこ、誰か知り合いが亡くなったのか?」
車イスに乗せられ、頭に包帯をぐるぐる巻いた月山さんが、私たちを見ていた。
看護師に車イスを押されて現れた月山さんは、包帯は痛々しいけれど、命に別状は無さそうだ。
「お、お前、……何で生きてる?」
ヨシの声が震えていた。
「生きてて悪いか、助けてやったのに酷いこと言うよな?」
「え、じゃぁ、こっちの、血が足らなくて亡くなった39才の男性って?……」
わたし、確かに、看護師にそう聞いたけど……。
車イスを押す看護師が答える。
「さっき手術を終えた患者さんは、ガンの摘出をされた方ですよ。同じく39才男性。身寄りのない方でした」
それ自体が、勘違い……。
全くの別人だった。
「あれだけ出血してたのに、なんでこんなに元気なんですか?」
思わず私も聞いてしまった。
だって、すごい量だったよ?
「後藤も酷いな……。元々、頭からの出血は多く見えるそうなんだ。それに、俺は血の気が多いみたいだから少々の出血じゃ……」
「月山さん、それでも安静しなきゃいけない身ですよ! とりあえず入院になりますので、病室へ移動しますからね」
看護師が、方向転換して月山さんを連れていく。
「……なんちゅう身体してんだ、アイツ……」
まだ呆然としているヨシに、
「月山さんのご家族の方ですか? 入院の手続きをお願いしたいので、こちらの書類に署名を……」
看護師が書類と″ 入院のしおり ″ を手渡していた。
「めんどくせーな」
と、舌打ちしつつも、ヨシの顔色が良くなっていく。
「晶、俺ちょっと説明受けてくるから、お前、アイツの病室確認しといて」
私を置いて、ナースステーションへと入って行った。
「わ!やっぱりVirtueのヨシさんですよねっ!」
「あのKanedoのCM大好きですっ!」
ナースステーションからは、ライヴにも似た黄色い悲鳴が聞こえてきていた。
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