美獣と眠る

光月海愛(こうつきみあ)

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どっち?

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 ―――
 
「朝の検温が6時半、先生の回診が八時半ですので。はじめのうちは包帯の交換は先生が行われます」


入院中の説明を大まかにして看護師が出ていくと、月山さんは、ベッドの上で、フゥ……と溜め息をついた。
 やっぱり、傷は痛むようだ。
 
 居たたまれない。

「……月山さん、ゴメンナサイ」

「何で後藤が謝る?」

「だって、私がヨシと一緒にいたせいでファンが怒ったんですよ。Twitterで結婚の噂が広がってるって、友達に聞いてたのに、注意してなくて……」

 自分のことでいっぱいいっぱいだった。
 仕事を成功させたくて仕方なかったし、何よりも、月山さんとの別れで、誰かが傷付くことなんて、他人の痛みなんて考えていられなかった。

「結婚……話が飛んでるな。それにしてもバンドマンと付き合うって大変だ」

 他人事のように、月山さんがそう言うから、怪我もしていないのに、身体にズキンと痛みが走る。

「……私は、ヨシとは付き合ってませんよ、これからも、付き合わないです」

 わかって欲しい。
 私の心を癒すのは、ヨシの音楽と、

「月山さんしかいません」

 貴方だけーーー。

 22才にして、生まれて初めての告白。
 後先何も考えずに、ただ、月山さんに気持ちを聞いてほしかった。

  私の気持ちを聞いたところで、私と月山さんの状況が変わるわけじゃないのはわかっている。

 今回の転落事故で、二人とも仕事に支障が出ることは間違いないし、遠距離で会えるゆとりは、ますます無くなったと言っても過言じゃない。

 「……後藤……」

 私の告白を聞いて、戸惑った表情を見せる月山さんは、父親の顔をしていた。

「今さらだけど、息子の好きな女とは付き合える気がしない」

「え」

 ほら。
 本当に、今さらだと思うことを言い出した。私にキスやら何やら色んなことしておいてか?

「つい、この間までは、そんなこと思わなかったのに……」

 うつむき加減に申し訳無さそうにそんなこと言わないで。
 わかってるから。


「だけど」

 月山さんが父親らしい感情を持ち始めたこと、ちゃんと、感じてますから。


「やっぱり、お前にプロボーズしてもいいか?」


「え」

 プロポーズ?

 ……私。
 関東の人間ですけど、言ってもいいですか?
 突っ込んでもいいですか?

 ーーー″ どっちやねん!″



















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