美獣と眠る

光月海愛(こうつきみあ)

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リア充

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 ヴィジュアル系の勝ち組とまで言われるようになったVirtue。
 その人気を象徴するように、横浜アリーナのチケットはソウルドアウトだった。


「Virtueの五周年のお祝いに来てくれた皆ありがとう!!!御礼に今夜も暴れまくるぜ!」

キャァーーー……!


 ライヴの開幕直後から、ハイテンションなMCをするヨシの登場。

 おまけに投げキッスなんてするから、会場は大いに盛り上がる。

 効果音、セットやライティングもVirtueらしい毒々しさでゴシックな美しさも健在。


「ヨシーーー!」

「ヨシノリーーー!!」

 会場に響き渡る、圧倒的人気を集めるヨシへの声援 。
 それを私の横で聞いていた月山さんは、やっぱり嬉しそうで……、


「ライヴ終わったらカラオケで歌いまくりたくなるな」

 二年前より確実に上手くなったヨシの歌声に酔いしれながら、昔の自分を思い出しているみたいだった。



  数年前は、ファンを煽るようなMCが多かった。
 だけど、寧々が言うには、今は、歌の合間にファンと対話するような喋りをすることが多くなったらしい。

 ライヴ終盤。

汗だくになって、以前、私に聴かせてくれた、ヨシ作詞作曲のLOVEソングを披露したあと、ちょっと恥ずかしそうに観客を見渡す顔も印象的だった。

 ヨシの視線が、センターの三列目に向けられた時だった。


「あ……」

 ヨシと目が合う。

 昔なら気のせいかな? と思ったかもしれないけれど、今のは間違いなく私を見て、十数秒、動きが止まっていた。

 見て、どう思ったのかは分からない。


 ……義理の息子になってしまった、憧れのアーティスト。

 結婚式にも彼は来なかった。


「……おい、なに見つめあってんだよ?」

 ヨシの視線を感じた月山さんが、私の横腹をつつく。

「いーじゃない、親子なんだから」

 そして、次の曲のイントロが始まるとともに、ヨシがマイクを持って、会場に一言、言い放たった。


「リア充  滅びろ」


 会場が一瞬でシン……となり、でも直ぐに、


「嘘です。幸せになってください」



微笑んでそう言うから、凍てついた会場に、あっという間に笑いの渦が巻き起こった。














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