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第四章 浩司と転機
岡田のルーツ
しおりを挟む「 i love you, and... you don't pay me
i really wanna kiss you」
直訳
( 私はあなたを愛し、…あなたは私に支払わない
私は本当にあなたにキスしたい)
これは、俺が一番好きな映画、【マイ・プライベート・アイダホ】のあるシーンのセリフ。
マイク( 男 )が、母親探しの旅の途中で、スコット( 男 )に報われない想いを打ち明ける、ファンの間では鉄板の名場面だ。
あらすじ等は割愛するが、男娼のホモセクシャルであるマイクと、バイセクシャルであるスコットの、やや歪んだ青春と別れを描いた1991年の映画。
さきに言っておく。
これが好きだからと言って、俺がゲイであるということではない。
ただ単に、この映画公開の二年後に早世した、美しいハリウッド俳優、リバーフェニックスに憧れていただけの話。
中学の頃に、このリバーフェニックスが出ていた、【スタンド・バイ・ミー】をテレビで観てからファンになった。
が、その時既に彼は亡くなっていると知り、余計にその儚い人生と永遠になった美しさに感銘を受けた。
それからは、リバー出演の、多くはない過去の映画を観まくった。
部屋にもポスターやカレンダーを貼り尽くし、写真集や、DVDも手にいれていた。
思春期なので、普通に女の子とも付き合ってたが、
「浩司くん、ちょっと変だよ? まだAVやグラビアの方が健全だよ」
部屋へ遊びに来た彼女に引かれてしまうくらい 、リバーフェニックスと、彼の映画の話に夢中になっていた。
その中でも好きだったのが 先に述べた【マイ・プライベート・アイダホ】だ。
オープニングとエンディングに流れる、アイダホの広大な田舎情景と、どこまでも続く一本道。
それを観ていると無性に旅をしたくなり、 誰かと何かを探しに遠出したくなったものだ。
俺が旅行会社に就職したのも、ひょっとしたらその映画の影響かもしれない。
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