私、この人タイプです!!

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12 本編⑨

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「…はっ。そうでしたわ。ラナンは、送り主を知っている、と。」

「あ…あぁ。だが、知ったところで、
き…キィラとは不釣り合いな男の名前が挙がるだけのことです。」

今の発言にはキィラも怒りたくなった。キィラは前世、
逆の立場で不釣り合いだと言われていたからだ。

「…ラナン?不釣り合いというのは、だれが決めるものなのですか?
ラナンとはいえど、あなた基準で私の知り合える人の幅を狭めることは許しませんよ?
そもそも、私はこの隊の中に知り合い少ないんですから。
今から戻ってその人のところへ行かないとっ。」

「…どうしてあなたはそんなにも…。」
自分たちに対して優しいんだ。
その言葉は最後までは紡げなかった。
そして、その代わりにラナンは本当のことを告げた。

「キィラ。あなたが探している人物は目の前にいます。
これで、不釣り合いだと言った意味わかっていただけました…?
私は…。いや…俺は、獣人の中でも醜い部類に入ると分かっている。
むしろ、自分より醜い奴には他の全ての種族合わせても会ったことはない。
だが、キィラは、俺が会った誰よりも美しい。
だから、俺にとっては、自分の出した手紙を読んでもらい、
あなたと会えて、ラナンと呼んでもらい、キィラと呼ばせてもらった、
その全てが奇跡すらも超えた出来事なんだ。
キィラは俺たちのことは忘れていい人を見つけるといい。
手紙もたくさんもらっているだろう?キィラなら絶対いい人見つけるよ。
だって俺が初めて好きになった人だから。
もしここから先何か困ったときがあって、
自分の大切な人には頼めないようなことが起きたら、
その時はまた俺たちのこと思い出してまたここに来い。
そしたら全力を尽くして助けてやるから。」

敬語を取り払ったそれは、ラナンの紛れもない本音だった。

そして二人は玄関にたどり着いてしまった。

「あー…。こんな語る予定じゃなかったのにな…。」

その話を聞いたキィラは、
…泣いていた。

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