【R18】 義理の弟は私を偏愛する

あみにあ

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13 (義弟視点)

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ある日父さんから姉が出来ると聞かされた。
どんな子なんだろうと、ドキドキして待っていたんだ。
そして現れたのが、ねぇさんだった。

可愛らしい顔立ちで、触れたくなるような真っすぐな長い黒髪に、吸い込まれそうな漆黒の瞳。
潤んだ瞳に桃色の唇、不安げな表情でこちらを見る彼女に見惚れた。
なんて綺麗なんだろうって。
子供の頃には気が付かなかったけれど、あれは一目ぼれだったのかもしれない。

緊張していた彼女の手を取り、僕たちはすぐに仲良くなった。
ニッコリと笑った姿は花のように美しくて可愛くて、どんな時も彼女と過ごしていた。
彼女は他の令嬢と違って、奥ゆかしくて全てを包み込むほど優しい。
それになんにでもひたむきで真面目な彼女。
少しおっとりしたところもあって、どこか抜けていて目が離せない。
視界からいなくなると不安で、泣きながら探したこともある。

少しずつ成長して、これが恋情だと気が付くと、僕はすぐに行動に移した。
両親に自分の気持ちを話し、彼女と婚約したいと申し出たんだ。
早くしておかなければ、これから先彼女に婚約の申し入れがたくさんあるだろうから。
それでなくても僕は彼女より年下で、彼女が結婚できる頃には、僕はまだ結婚できない年齢だ。
だから早く彼女が僕の物になると証明が欲しかった。

姉弟だろうが、どうでもいい。
血のつながりなどないのだから。
だけど二人は頷いてくれなかった。
家族だということもあるが、彼女の気持ちが何よりも優先だと。
もし彼女が僕を選ぶというのなら、婚約してもいい、と言ってくれた。

成長していくと、彼女は僕の想像を遥かに超え美しくなっていった。
だけど自覚がないから困ったものだ。
ねぇさんの姿に魅了される令息を追い払うのに大変な毎日。
夜会に出るたびに寄って来る男を牽制して、僕のパートナーだと知らしめる。
彼女は僕の婚約者になるのだと、変な虫がついたら大変だからね。

貴族界隈では彼女の婚約者は僕だと皆が知るようになった。
知らないのはねぇさん一人。
僕が立派に跡取りとして成長してから、彼女へ正式に婚約を申し入れるつもりだった。
幸いなことに、彼女は令息に全く興味を示さなかった。
異性として一番傍にいるは僕。
僕の事を好きだというのもわかっている。

どんな時でも僕を優先してくれるし、他の令息には見せない笑顔を見せてくれる。
大人になってもそれは変わらなかった。
だから安心していた。

父の仕事も引き継ぎ、新しい事業を始め、出資してくれる貴族も見つけた。
何もかもが順調だった。
ようやく想いを伝えよう、そう考えていた時に、両親からねぇさんが僕以外の男を選ぶと報告された。

信じられなかった。
彼女は今まで婚約や結婚に全く興味を示さなかったはず。
いつも僕を優先して……ありえない。
ずっと一緒にいると約束したはずだったのに、どうして僕から離れようとするのか。
頭が真っ白になり暫くすると、悲しみと醜い嫉妬心が込み上げた。
彼女を奪われたくないという強い感情。
僕はその感情に身を任せ、彼女を問い詰めにいった。

僕以外の男へ嫁ぐ準備をする、彼女の姿が許せなかった。
悲哀の感情は消え去り、怒りが胸の中にドロドロ渦巻き始める。
身支度をする彼女を無理やりベッドへ運ぶと、僕は本能のまま彼女を求めた。

嫌だ、絶対に渡したくない。
彼女の気持ちが一番だとわかってはいるが、許せるはずなんてなかった。
嫌がる彼女を強引に抱くと、少しだけ楽になった気がしたんだ。

翌日ウェインがやってきた。
真面目なねぇさんは、僕に抱かれたことで、断るものだと思っていた。
なのに楽しそうに庭で話す姿を見て、目の前が真っ赤に染まった。
断っていない事実に、あれだけ僕の腕の中で鳴いていた彼女が、別の男と笑っている姿に耐えられなかった。

一人になった彼女を部屋に連れ込んで、嫉妬のまま無理やりに抱いた。
本当はもっと優しく抱きたいのに……。
悔しさと己の未熟さに呆れてしまうが、彼女が欲しいという欲望は大きくなるばかりだった。
泣きながら絨毯に座り込む彼女の姿に、罪悪感で押しつぶされそうになる。
僕は彼女を残し、逃げるように部屋を出て行ったんだ。

だけどやっぱり彼女を誰にも渡したくない。
僕はウェインを見送る彼女を追いかけた。
ウェインに笑顔を向ける彼女を見て、また感情が溢れ出す。
声をかけると、彼女は顔を真っ青に怯えた様子で振り返った。

それほどまでに彼を思っているの?今までそいつに興味を示したこともないじゃないか。
夜会で何度もねぇさんに、ちょっかいを出そうとしていたのは知っている。
そのたびに邪魔をし、ねぇさんの記憶にも残っていない男。
なのになんで?
先ほど抑えたはずの怒りがふつふつと湧いてくる。
僕は姉を下がらせ前へ出ると、ウェインと外へ向かった。

「ねぇ、ウェイン殿。ねぇさんはあなたを好きじゃない。わかっているでしょ?」

僕は馬車へ乗ろうとする彼へ笑みを向ける。
ウェインはおもむろにこちらへ振り返ると、僕の目を真っすぐに見つめた。

「あぁ、もちろんわかっているさ。けれどそれでもいい。弱った彼女に付け込んだ自覚はある。君もそろそろ姉離れをするべきなんじゃないか?彼女は私を選んでくれたんだ」

余裕の笑みを見せる姿に、僕は笑みを消すと、彼を睨みつける。

「選んでなんていない。ねぇさんのことを何も知らないくせに、横入りするな」

嫉妬心丸出しの子供じみた言葉。
そんな僕をあざ笑うように、ウェインは笑みを浮かべた。

「君がどれだけ牽制しようとも、決めるのは私でも君でもない、彼女だ」

大人な対応をするウェインに、何も言い返せない。
クソっ、ねぇさんは絶対に渡さない。
僕は拳を強く握ると、壁にたたきつけたのだった。
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