[R18] 異世界は突然に……

あみにあ

文字の大きさ
138 / 358
第三章

※旅の終焉⑥

しおりを挟む
何か割れる音が部屋に響きわたると、激しく床が揺れ始める。
振動のせいなのだろうか……パリンと窓が割れると、部屋の中へ外から風が吹き込んできた。
風でカーテンが激しく舞う中、部屋に光が差し込むと、薄暗い部屋が明るく照らされていく。
私は魔導士の姿を確認しようと体を動かしたその刹那……強く髪を引っ張られ引き寄せられると、イーサンの腕の中に囚われた。
激しい痛みに顔を顰めていると、冷たいナイフが首へ触れる。

横目に映るナイフに畏怖する中、私は必死に震える手を持ち上げた。
逃げなきゃ……。
ここで逃げなきゃ……また……いや……!!!
何とかナイフを奪おうと、彼の逞しい腕へ強く爪を立ててみると、彼の舌が私の耳裏を舐める。

「あぁっ、ひぃっ、あぁぁん」

「大人しくしてろ。後でじっくり可愛がってやるからよ」

耳元で囁かれた低い声に、ゾクゾクとした感覚が全身に走ると、足の力が抜け、今にも倒れそうになる。
するとイーサンは私の体を支えるように、容赦なく髪を引き上げると、痛みに体が強張っていった。

「体には触れねぇ。今のあんたじゃすぐにいっちまうからなぁ~。ちゃんと話すまで、絶頂イカせてやらねぇよ」

魔導師は徐に杖を構えると、腕に刺さっていたナイフを引き抜き、床へと投げ捨てる。
腕から真っ赤な血が流れ、伝っていく様に私は泣きそうになると、必死に抵抗をみせた。

「いたっ、あぁ……いやぁっ、離して……っっ」

「おぃ、魔導師止まれ!!杖を捨てろ。……それ以上動くと、この女がどうなってもいいのか?」

イーサンはドスのきいた声でそう言い放つと、キラリッと光るナイフが視界を掠める。
すると私の抵抗を押さえつけるかのように、刃先を私へと向けた。
彼の言葉に魔導師はその場でピタリと動きを止めると、ゆっくりとこちらへ顔を向ける。

外の光が差し込み、明るくなった部屋の中には、エメラルド瞳に、プラチナの髪を長く伸ばした……よく知るエヴァンの姿があった。
どうして……、どうしてエヴァンがここにいるの?
あの時……彼をあの魔法には、巻き込んでいないはず。
ならまさか……私を追って……?

ここに居るはずのない彼の姿に呆然とする中、エメラルドの瞳がじっと私を見据えていた。
彼の瞳が光に反射し、キラキラと幻想的に輝いている。

「俺は殺しのプロだ。お前が妙な動きを見せれば、すぐにこの女の首をかっきってやる」

その言葉にエヴァンはゆっくりと手を離すと、杖がカランッと床へ転がっていった。

「これでよろしいでしょうか?」

エヴァンはそっと両手を上げると、静かにイーサンへと顔を向けた。
イーサンは私を連れたままに転がった杖の元へ向かうと、その杖を蹴り上げ窓の外へと蹴り飛ばす。

「動くなよ」

イーサンはエヴァンから一切視線を反らせる事無く、警戒するようにじっと見据える中、エヴァンは無表情で佇んでいる。

「どうして……、なんで!!」

私はエヴァンへ向けてそう叫ぶと、イーサンはニヤリと笑った。

「ふ~ん、この魔導師はお前の男のなのか?残念だなぁ~せっかく助けに来てくれたのに。この男はここで死ぬ。そしてお前は俺の女になるんだ」

「いやよ!!なるわけ……っっ、いたぁっ、あぁ、ヒィッ、やめてぇ……あぁ、あぁぁぁん」

イーサンは私の首筋へかみつくと、ピリピリとした強い痛みに体が震える。
そのまま彼の舌が首筋をつたっていくと、体が激しく疼き始めた。
痛いと快楽に力が抜け、グッタリと彼へ身を預ける中、イーサンは私をまた強く引き寄せると、扉の方へと歩き始める。

「もうすぐ仲間がやってくる。あんたはもう終わりだ」

仲間……。
このままじゃ……エヴァンが捕まってしまう。
私のせいで……どうしよう……どうすれば……。
目の前にナイフが何度もチラつく中、私は必死に身をよじらせてみるが……回された彼の腕外れる気配はない。

「こらっ、また噛まれたいのか?」

放たれた彼の言葉に私は大きく肩を跳ねさせると、自然と体が硬直していく。
そんな私の様子にイーサンはニヤリと口角を上げると、エヴァンを見据えたまま、ナイフの柄を胸元の突起へグリグリと押し当てた。

「あっ、ふぅっ、あぁぁん」

「そうやって可愛くないておけ。あんたの肌に傷はつけたくねぇんだ」

強い刺激に脚がガタガタと震え始めると、太ももに愛蜜が流れおちていく。
私は彼の腕の中でグッタリと体を預けていると、ふと体に廻る魔力を感じられることに気が付いた。
魔力が……戻っているわ。
でもどうして……。
あっ、もしかして……さっきの割れる音は……エヴァンが魔法を封じている何かを壊した音……?
私はチラリッと目線を上げると、ニヤニヤと笑みを浮かべるイーサンと視線が絡む。

「妙な真似はするなよ。お前は大人しく俺の傍に居ればいい」

イーサンは何かを察してたのか……そう私へ釘をさすと、捕らえる力がより強くなった。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...