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第三章
エヴァンと過ごす日々:中編2
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翌朝目が覚めると、私は偏頭痛に頭を抱えていた。
なにこれ……頭がズキズキと痛いし……それに気持ち悪い。
頭を押さえながらも、ゆっくりと顔を持ち上げてみると……部屋の景色がいつもとは違っていた。
あれ……ここは……?
ふと何かが触れた感触に視線をおとすと、そこにはエヴァンがスヤスヤと寝息を立てている。
えっ……どうしてエヴァンが……ここにいるの?
驚きのあまり声を失っていると、私は大きく目を見開いたまま氷のように固まった。
恐る恐る視線を落とし自分姿を確認してみると、昨日着用していたワンピース姿だ。
服に乱れた様子はない……けれどネグリジェじゃないわ……、昨日……私は……。
ズキズキとする頭痛に耐えながらも、必死に昨日《さくじつ》の事を思い起こしていく。
えーと……昨日は魔法を練習していて……それでエヴァンがなぜか不機嫌になって……。
そうだ……私、理由を聞こうと思って、エヴァンの部屋に行って……そこでワインを飲んだんだわ。
ならこの頭痛の原因は……二日酔い……?
あぁ……ワインを一杯飲んだところまでは思い出せるんだけれど……。
私、酔っぱらってここで寝てしまったのかしら……。
ガサガサと布団の擦れる音に視線を向けると、いつの間に目覚めたのだろうか……不機嫌な様子をしたエヴァンと視線が絡む。
「ごっ、ごめんなさい!!!」
開口一番に頭を下げると、私は慌ててベッドから飛び退いた。
するとエヴァンはそれを引き留めるように、私の腕を強く引き寄せる。
「きゃっ、エヴァン……あの、その……本当にごめんなさい……」
そう必死に謝ると、エヴァンは大きなため息を吐いた。
「はぁ……、昨日の事は覚えていますか?」
私は首を横に振ると、ワインを一杯飲んでから記憶がないと正直に答える。
するとエヴァンは徐に体を起こすと、私の顔を覗き込んだ。
「あなたは今後一切……男性の前でアルコールを口にしない事。それと夜中にむやみやたらに、男の部屋には行かない事。……次はありませんよ」
低く言い聞かせるように話すエヴァンに、私はコクコクと何度も頷くと、すみませんと改めて頭を下げたのだった。
そうしてエヴァンと魔法の訓練を続けていると、あっという間に一週間ほど経過していた。
ようやくコツもつかめ、防御魔法の数値を測れるようになってくると、私はこれからの事を考え始めていた。
ずっとここに居るわけにはいかないわ。
居心地がよくて長いしていたけれど……そろそろ過去の世界へ行くことを考えないとね。
えーと……そうねぇ……時空移転魔法を使うには、300ほどの魔力が必要になるわ。
これはエヴァンに魔法を教えてもらい、魔力量を自分自身で測れるようになったことで、今まで使ってきた魔法や、自分自身の魔力を数値化できるようになった。
私の魔力のキャパは約310程度、エヴァンは私より少なく250程度。
エヴァン曰く、一般人の魔力は50程度で、城に在住する魔導師は100~150程度と言っていたわ。
私ほどの魔力を持っている人間はそうそう居ない……。
でも水晶玉の中で見たあの壁は、軽く見積もっても200以上の力があると思う。
それにタクミも時空移転魔法を使う事が出来たという事は、私と同じ……いえそれ以上の魔力を持っているわよね。
彼の両親なら……もっと持っている可能性もあるわ。
あっ、それと……あの時代はいつなのかしら。
私は彼らの姿を見たけれど、いつの時代にあの魔法が使われたのかわからない。
覚えているのは……荒れた荒野と、真っ赤な月。
あの荒野はどこなのかしら……?
後ろにお城が見えた気がするから、この街で間違いないとは思うんだけれど……。
これは一度、エヴァンに聞いてみましょう。
窓から太陽の光が差し込む中、ベッドの上でゴロゴロと転がっていると、トントントンと部屋にノック音が響いた。
「エヴァン?」
むくっと起き上がり扉を開けてみると、そこにはいつものローブ姿ではなく、ラフな服装したエヴァンの姿があった。
ローブで体形はあまり見たことがなかったが……、広い肩幅に、胸元から除く鎖骨に、自然と目がいってしまう。
何だか知らない男性みたい……。
今の彼の姿は、すれ違う女性、男性共に振り返るほどに美しかった。
「……その格好……、どうしたの?」
「魔法の訓練も落ち着いたようですし、一度街へ行きますよ。あなたもこれに着替えてください。先日買った食糧が尽きたのです。後……あなたも何か必要な物があればおっしゃってください」
エヴァンは白いワンピースとガウン、ベルジェール・ハットを私へ押し付けると、スタスタと去っていく。
彼の姿を見送る中、私は慌てて部屋へ戻ると、魔法で体を洗い、髪を整え、ワンピースを被る。
ワンピースはノースリーブで、踝ほどまであるヒラヒラとしたスカートは、歩くたびに足へと絡んだ。
う~ん、動きずらいわねぇ。
でもこの世界は中世的だし、女性が脚を出す事はダメなのかしら。
はぁ……それならズボンの方がいいんだけれどね。
でもせっかく用意してくれたのだから、我慢しないと。
鏡がない為、水魔法で自分の姿を映し出すと、身なりを簡単に整えていく。
そうして最後に帽子を被ると、私は急いで部屋を出て行った。
なにこれ……頭がズキズキと痛いし……それに気持ち悪い。
頭を押さえながらも、ゆっくりと顔を持ち上げてみると……部屋の景色がいつもとは違っていた。
あれ……ここは……?
ふと何かが触れた感触に視線をおとすと、そこにはエヴァンがスヤスヤと寝息を立てている。
えっ……どうしてエヴァンが……ここにいるの?
驚きのあまり声を失っていると、私は大きく目を見開いたまま氷のように固まった。
恐る恐る視線を落とし自分姿を確認してみると、昨日着用していたワンピース姿だ。
服に乱れた様子はない……けれどネグリジェじゃないわ……、昨日……私は……。
ズキズキとする頭痛に耐えながらも、必死に昨日《さくじつ》の事を思い起こしていく。
えーと……昨日は魔法を練習していて……それでエヴァンがなぜか不機嫌になって……。
そうだ……私、理由を聞こうと思って、エヴァンの部屋に行って……そこでワインを飲んだんだわ。
ならこの頭痛の原因は……二日酔い……?
あぁ……ワインを一杯飲んだところまでは思い出せるんだけれど……。
私、酔っぱらってここで寝てしまったのかしら……。
ガサガサと布団の擦れる音に視線を向けると、いつの間に目覚めたのだろうか……不機嫌な様子をしたエヴァンと視線が絡む。
「ごっ、ごめんなさい!!!」
開口一番に頭を下げると、私は慌ててベッドから飛び退いた。
するとエヴァンはそれを引き留めるように、私の腕を強く引き寄せる。
「きゃっ、エヴァン……あの、その……本当にごめんなさい……」
そう必死に謝ると、エヴァンは大きなため息を吐いた。
「はぁ……、昨日の事は覚えていますか?」
私は首を横に振ると、ワインを一杯飲んでから記憶がないと正直に答える。
するとエヴァンは徐に体を起こすと、私の顔を覗き込んだ。
「あなたは今後一切……男性の前でアルコールを口にしない事。それと夜中にむやみやたらに、男の部屋には行かない事。……次はありませんよ」
低く言い聞かせるように話すエヴァンに、私はコクコクと何度も頷くと、すみませんと改めて頭を下げたのだった。
そうしてエヴァンと魔法の訓練を続けていると、あっという間に一週間ほど経過していた。
ようやくコツもつかめ、防御魔法の数値を測れるようになってくると、私はこれからの事を考え始めていた。
ずっとここに居るわけにはいかないわ。
居心地がよくて長いしていたけれど……そろそろ過去の世界へ行くことを考えないとね。
えーと……そうねぇ……時空移転魔法を使うには、300ほどの魔力が必要になるわ。
これはエヴァンに魔法を教えてもらい、魔力量を自分自身で測れるようになったことで、今まで使ってきた魔法や、自分自身の魔力を数値化できるようになった。
私の魔力のキャパは約310程度、エヴァンは私より少なく250程度。
エヴァン曰く、一般人の魔力は50程度で、城に在住する魔導師は100~150程度と言っていたわ。
私ほどの魔力を持っている人間はそうそう居ない……。
でも水晶玉の中で見たあの壁は、軽く見積もっても200以上の力があると思う。
それにタクミも時空移転魔法を使う事が出来たという事は、私と同じ……いえそれ以上の魔力を持っているわよね。
彼の両親なら……もっと持っている可能性もあるわ。
あっ、それと……あの時代はいつなのかしら。
私は彼らの姿を見たけれど、いつの時代にあの魔法が使われたのかわからない。
覚えているのは……荒れた荒野と、真っ赤な月。
あの荒野はどこなのかしら……?
後ろにお城が見えた気がするから、この街で間違いないとは思うんだけれど……。
これは一度、エヴァンに聞いてみましょう。
窓から太陽の光が差し込む中、ベッドの上でゴロゴロと転がっていると、トントントンと部屋にノック音が響いた。
「エヴァン?」
むくっと起き上がり扉を開けてみると、そこにはいつものローブ姿ではなく、ラフな服装したエヴァンの姿があった。
ローブで体形はあまり見たことがなかったが……、広い肩幅に、胸元から除く鎖骨に、自然と目がいってしまう。
何だか知らない男性みたい……。
今の彼の姿は、すれ違う女性、男性共に振り返るほどに美しかった。
「……その格好……、どうしたの?」
「魔法の訓練も落ち着いたようですし、一度街へ行きますよ。あなたもこれに着替えてください。先日買った食糧が尽きたのです。後……あなたも何か必要な物があればおっしゃってください」
エヴァンは白いワンピースとガウン、ベルジェール・ハットを私へ押し付けると、スタスタと去っていく。
彼の姿を見送る中、私は慌てて部屋へ戻ると、魔法で体を洗い、髪を整え、ワンピースを被る。
ワンピースはノースリーブで、踝ほどまであるヒラヒラとしたスカートは、歩くたびに足へと絡んだ。
う~ん、動きずらいわねぇ。
でもこの世界は中世的だし、女性が脚を出す事はダメなのかしら。
はぁ……それならズボンの方がいいんだけれどね。
でもせっかく用意してくれたのだから、我慢しないと。
鏡がない為、水魔法で自分の姿を映し出すと、身なりを簡単に整えていく。
そうして最後に帽子を被ると、私は急いで部屋を出て行った。
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