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6章
13 罪の告白
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あれから1年--------
平穏に四季がうつろう中、2度魔獣が出たとの報告があり、俺が向かい幻魔獣に戻した以外は平和な日々だった。
クウガ族もクテニ族も冬眠はしないので、雪が積もっても変わらずこの白い建物ばかりの街で日常生活を送っていた。
誰も冬眠しない中、千早だけは自分の部屋に冬眠用の物資を運び込み一人で冬眠したが
「ひとり、かあいちょ」
たまに永遠が覗きに行っては頭を撫でてやると言う行為をしていたがグッスリ眠り込んでいる千早に伝わってるかどうかはわからない。
そのうち永遠は、リウアン族に似た布人形を作れないかと老いた女官にねだり作ってもらって、眠っている千早に抱かせた。
--------そして春が来た
永遠と出会ったあの日から2ウユーだ。
それまでの俺の生活からしたら、まさに激動の2ウユーだったのは間違いない。
厳冬の山頂にいた見たこともない真っ白な幼体の子供
うちとけ、いさかいもあったが楽しく、色んな場所へも行った。
独りぼっちで死んでいくだけだった俺に神さまがくれた宝物。
俺の油断が原因で、攫われ……
そこまで考えた時、俺の胸はツキリと傷んだ。
交易の女のことだ。
嫌われ者の俺に何かとよくしてくれた蛇族の獣人。
それがある日俺の隙をついて永遠を攫い、獣化した俺が追い付くと…
そのあとの記憶は抜け落ちていて、気が付くと目の前で蛇族の女が自分で自分の首を絞めて死んでいた。
呼吸も確認したが完全に死んでいた、あれがもし俺の力がやったことだとしたら、俺は人殺しだ。
自室の寝所でまだ眠る永遠の隣で自分の両手をじっと見つめる。
人殺しは死罪だ。
直接でなくとも黒の王の力とやらで殺したのかもしれない。
だとしたら俺は--------
モゾモゾと永遠が動き出し俺の体に抱き着いてくる。
そろそろ目覚める頃だ。
なぜなら隣の部屋から朝食のいい香りが漂ってきている。
「…ん~」
「おはよう、永遠」
目をパシパシしながら掛け布から顔を出しヘニャリと笑う永遠。
「おはよ、くおん。おなかちゅいた」
俺の唇に口づけた後タタッと走り出し「おなかちゅいたー」と言いながら隣の部屋へと駆けていった。
後日、宰相を呼び出し俺は蛇族の女のことを告白し懺悔した。
「そのようなことがございましたか」
驚きもせず、淡々と受け入れる宰相にとまどう。
「俺は人殺しかもしれない」
「はい」
「はい、じゃなくて人殺しは死罪だ」
「リウアン族ではそうなのですか?」
リウアン族では……?ということは
「クウガ族ではそうじゃないのか?」
「人を殺した理由にもよりますので一概には言えませんが、今の久遠様のお話を聞きますと、その女は誘拐という重罪を犯しております」
「だからといって俺の罪が許されるわけじゃないと思うのだが」
黒の王だからといって罪人は罪人だ。
驚かせ困らせてしまうだろうと覚悟を決めて話をしたのに、宰相の態度は何時も通り冷静沈着で
「殺人であれクウガ族には審判というものがございます。問題の起こった理由、経過、結果に基づき、誰か悪いのかどちらがより悪かったのかを決め、それにより対処が決まります。久遠様の場合ですと……」
宰相が立ち上がり膝をつき服従の礼を取り
「調査いたしますので、しばし時間をいただきます」と部屋を出て行った。
--------とうとう俺は罪を告白してしまった
一生胸の内に秘めておくことも考えたが、このままでは永遠に触れる資格がないと悩み吐露してしまった。
それ以来この屋敷で宰相を見かけることがなくなった。
平穏に四季がうつろう中、2度魔獣が出たとの報告があり、俺が向かい幻魔獣に戻した以外は平和な日々だった。
クウガ族もクテニ族も冬眠はしないので、雪が積もっても変わらずこの白い建物ばかりの街で日常生活を送っていた。
誰も冬眠しない中、千早だけは自分の部屋に冬眠用の物資を運び込み一人で冬眠したが
「ひとり、かあいちょ」
たまに永遠が覗きに行っては頭を撫でてやると言う行為をしていたがグッスリ眠り込んでいる千早に伝わってるかどうかはわからない。
そのうち永遠は、リウアン族に似た布人形を作れないかと老いた女官にねだり作ってもらって、眠っている千早に抱かせた。
--------そして春が来た
永遠と出会ったあの日から2ウユーだ。
それまでの俺の生活からしたら、まさに激動の2ウユーだったのは間違いない。
厳冬の山頂にいた見たこともない真っ白な幼体の子供
うちとけ、いさかいもあったが楽しく、色んな場所へも行った。
独りぼっちで死んでいくだけだった俺に神さまがくれた宝物。
俺の油断が原因で、攫われ……
そこまで考えた時、俺の胸はツキリと傷んだ。
交易の女のことだ。
嫌われ者の俺に何かとよくしてくれた蛇族の獣人。
それがある日俺の隙をついて永遠を攫い、獣化した俺が追い付くと…
そのあとの記憶は抜け落ちていて、気が付くと目の前で蛇族の女が自分で自分の首を絞めて死んでいた。
呼吸も確認したが完全に死んでいた、あれがもし俺の力がやったことだとしたら、俺は人殺しだ。
自室の寝所でまだ眠る永遠の隣で自分の両手をじっと見つめる。
人殺しは死罪だ。
直接でなくとも黒の王の力とやらで殺したのかもしれない。
だとしたら俺は--------
モゾモゾと永遠が動き出し俺の体に抱き着いてくる。
そろそろ目覚める頃だ。
なぜなら隣の部屋から朝食のいい香りが漂ってきている。
「…ん~」
「おはよう、永遠」
目をパシパシしながら掛け布から顔を出しヘニャリと笑う永遠。
「おはよ、くおん。おなかちゅいた」
俺の唇に口づけた後タタッと走り出し「おなかちゅいたー」と言いながら隣の部屋へと駆けていった。
後日、宰相を呼び出し俺は蛇族の女のことを告白し懺悔した。
「そのようなことがございましたか」
驚きもせず、淡々と受け入れる宰相にとまどう。
「俺は人殺しかもしれない」
「はい」
「はい、じゃなくて人殺しは死罪だ」
「リウアン族ではそうなのですか?」
リウアン族では……?ということは
「クウガ族ではそうじゃないのか?」
「人を殺した理由にもよりますので一概には言えませんが、今の久遠様のお話を聞きますと、その女は誘拐という重罪を犯しております」
「だからといって俺の罪が許されるわけじゃないと思うのだが」
黒の王だからといって罪人は罪人だ。
驚かせ困らせてしまうだろうと覚悟を決めて話をしたのに、宰相の態度は何時も通り冷静沈着で
「殺人であれクウガ族には審判というものがございます。問題の起こった理由、経過、結果に基づき、誰か悪いのかどちらがより悪かったのかを決め、それにより対処が決まります。久遠様の場合ですと……」
宰相が立ち上がり膝をつき服従の礼を取り
「調査いたしますので、しばし時間をいただきます」と部屋を出て行った。
--------とうとう俺は罪を告白してしまった
一生胸の内に秘めておくことも考えたが、このままでは永遠に触れる資格がないと悩み吐露してしまった。
それ以来この屋敷で宰相を見かけることがなくなった。
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