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第一章 出会い
3日目 「水の魔法」
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それからマリーちゃんとの生活が始まった。
夜には、私が元いた世界の話を昔読んだ小説の話だと言って聞かせてあげると、彼女はとても喜んで話を聞いてくれた。
また、この世界には魔法があるらしいが別の世界からきた私にそんな適性があるわけもなく、私の世界でのいわゆる科学というやつを見せてあげることにした。
「私ね! ちょっとだけ魔法が使えるのよ!」
そう言ってマリーが見せてくれたのは水属性の魔法みたいだった。
「えい! スプラッシュボム!」
彼女の手からボーリングの玉くらい大きさの水の玉が出てきて、それが宙を舞い一気にはじけ飛んだ。私にもほんの少し水が降りかかった。
「もーマリーちゃん! 水がかかるんだったらいってよね!」
「えへへ、ごめんなさい。」
(でも、これなんかに使えそう.....そうだ!)
「マリーちゃんって他の属性の魔法も使えるの?」
「ううん、使えないみたい。魔法適性って言うのは生まれながらのもので、大抵一属性だけなのよ。」
「え? じゃあこの国の人みんな魔法が使えるの?」
「みんなってわけじゃないけど、適性が高い人は多いかしらね。大体2割くらいの人に適正があるのだけれど、私の国では3割くらいって教わったわ!」
「ねえ、マリーちゃんちょっと手伝ってもらってもいい?」
突然のお願いにマリーは少し戸惑ったようだが、すぐに彼女は返事をしてくれた。
「もちろん、みよのお願いならなんでもきくわ!」
そういうと、よしきた! と言わんばかりの表情でみよは辺りを見回した。
(うーん。どうしよう。.....あっ)
使用人が箒ではいたあとなのか、屋敷の端の方に小さな落ち葉の山が見えた。
「ねえ、あの落ち葉が山になっているところに一緒にきて!」
「いいけど、何をするの?」
「いいからいいから!」
私はマリーの手を引き移動した。
「それじゃあスプラッシュボムを弾けないままの状態にしてもらってもいい?」
マリーはこくりとうなずいて水の玉を宙に浮かせた。浮かび上がった水の玉は水面で光が反射し、きらきらと輝いている。
「そうしたらその玉を太陽に向けてみて!」
地面には屈折した光が映し出されていた。
「うんうん! 次は地面の光がなるべく小さくなるように距離を調整してみて!」
マリーはそんな細かい調整をしたことは無いので、少し苦労していたが、みよにかっこ悪い所を見せたくなかったのか、一生懸命に水の玉に意識を集中させていた。
そうするとじわじわと、落ち葉はちりちりと音を立て、煙も出始めた。
「ええっ! すごいわ! どうして? 水属性魔法なのに火が.....」
そう誰もが知っている虫眼鏡の原理を応用したものだった。屈折して集まった光は熱を帯び、落ち葉をゆっくりと燃やしてゆく。
「えっへん!」
みよは自慢げに胸を張っていた。満足気な顔をして。
「みよも魔法がつかえたのね!」
「あ、違うの。これは私のもといた国の科学ってやつで.....」
「かがく? なんだかわからないけど面白そうね! 私、もっと知りたいわ!」
気がつくとあたりはオレンジ色に染まり、日が沈み始めていた。そう、この世界にも夕陽がある。
「うーん、今日はもう遅いから明日にしよっか?」
「遅くなるとお父様に怒られてしまうものね! わかったわ」
(これは、色々面白いことができそう......)
そして、マリーとみよは夕焼けに染まる空を背に手を繋いで屋敷へと帰ってゆくのだった。
夜には、私が元いた世界の話を昔読んだ小説の話だと言って聞かせてあげると、彼女はとても喜んで話を聞いてくれた。
また、この世界には魔法があるらしいが別の世界からきた私にそんな適性があるわけもなく、私の世界でのいわゆる科学というやつを見せてあげることにした。
「私ね! ちょっとだけ魔法が使えるのよ!」
そう言ってマリーが見せてくれたのは水属性の魔法みたいだった。
「えい! スプラッシュボム!」
彼女の手からボーリングの玉くらい大きさの水の玉が出てきて、それが宙を舞い一気にはじけ飛んだ。私にもほんの少し水が降りかかった。
「もーマリーちゃん! 水がかかるんだったらいってよね!」
「えへへ、ごめんなさい。」
(でも、これなんかに使えそう.....そうだ!)
「マリーちゃんって他の属性の魔法も使えるの?」
「ううん、使えないみたい。魔法適性って言うのは生まれながらのもので、大抵一属性だけなのよ。」
「え? じゃあこの国の人みんな魔法が使えるの?」
「みんなってわけじゃないけど、適性が高い人は多いかしらね。大体2割くらいの人に適正があるのだけれど、私の国では3割くらいって教わったわ!」
「ねえ、マリーちゃんちょっと手伝ってもらってもいい?」
突然のお願いにマリーは少し戸惑ったようだが、すぐに彼女は返事をしてくれた。
「もちろん、みよのお願いならなんでもきくわ!」
そういうと、よしきた! と言わんばかりの表情でみよは辺りを見回した。
(うーん。どうしよう。.....あっ)
使用人が箒ではいたあとなのか、屋敷の端の方に小さな落ち葉の山が見えた。
「ねえ、あの落ち葉が山になっているところに一緒にきて!」
「いいけど、何をするの?」
「いいからいいから!」
私はマリーの手を引き移動した。
「それじゃあスプラッシュボムを弾けないままの状態にしてもらってもいい?」
マリーはこくりとうなずいて水の玉を宙に浮かせた。浮かび上がった水の玉は水面で光が反射し、きらきらと輝いている。
「そうしたらその玉を太陽に向けてみて!」
地面には屈折した光が映し出されていた。
「うんうん! 次は地面の光がなるべく小さくなるように距離を調整してみて!」
マリーはそんな細かい調整をしたことは無いので、少し苦労していたが、みよにかっこ悪い所を見せたくなかったのか、一生懸命に水の玉に意識を集中させていた。
そうするとじわじわと、落ち葉はちりちりと音を立て、煙も出始めた。
「ええっ! すごいわ! どうして? 水属性魔法なのに火が.....」
そう誰もが知っている虫眼鏡の原理を応用したものだった。屈折して集まった光は熱を帯び、落ち葉をゆっくりと燃やしてゆく。
「えっへん!」
みよは自慢げに胸を張っていた。満足気な顔をして。
「みよも魔法がつかえたのね!」
「あ、違うの。これは私のもといた国の科学ってやつで.....」
「かがく? なんだかわからないけど面白そうね! 私、もっと知りたいわ!」
気がつくとあたりはオレンジ色に染まり、日が沈み始めていた。そう、この世界にも夕陽がある。
「うーん、今日はもう遅いから明日にしよっか?」
「遅くなるとお父様に怒られてしまうものね! わかったわ」
(これは、色々面白いことができそう......)
そして、マリーとみよは夕焼けに染まる空を背に手を繋いで屋敷へと帰ってゆくのだった。
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