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第二章.婚約者は悪役令嬢

7.親友は天然誑し

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今日、エリオルが学園に編入して来た。
朝一番で生徒会の仕事があった俺は同じ生徒会役員のラナリア嬢に案内役を頼んだのだが、その道中で問題児の二人に遭遇したようだ。


まぁ、それまでは良かった。


良かったんだが――。



「あの、私はミツバ・カートリッジと申します。本当にありがとうございました」


あの馬鹿は場所を考えずまた一人誑し込んでいるな。
自覚がないから止めようもないし質が悪い、後でレイラに嫌味を言われるのは俺なんだが。


生徒会室で散々文句を言われたと言うのに。


「ベルンハルト様」

「何だ?」

「後ろ…後ろをご覧くださいませ」


真っ青な表情をしながら後ろの席を見ると優雅に本を読みながらも二人を見て背後から炎が見える。


「ベルン…」

「怒るなよ。別にあれぐらいいいだろ」

過度にボディタッチをしているわけじゃない。
エリオルだって弁えているし、気にし過ぎだと思うんだが。


「いくらお前の一方通行でも、やりすぎと嫌われるぞ」

「なっ…何を言ってますの?私は嫉妬などしてませんわ」

「誰もそこまで言っていないが」

「なんて腹黒ですの!」


淑女の鑑として社交界の令嬢に尊敬の眼差しを受けるも、これのどこが淑女の鑑だ?

ヒステリックだし、気が強すぎる。
時折暴走して自滅しそうになる癖に、エリオルも気が長いな。


「そうだぞ、所詮は政略結婚だからな」

「殿下まで…へ?婚約者?」

「何だ、今更だろ?養子縁組とは婿養子のことだ‥ラナリア嬢は領地いたから知らなかったんだな」

「はい、お恥ずかしながら」


あの成人式での騒動が色々尾ひれがついているが、知らない者もいる。


正確に言えば間違った情報の方が流れているだけだ。



「見て、なんて物腰柔らかいのかしら」

「醜いだなんてとんでもないわね」

「それに、謙虚でお優しくて素敵」


既にクラスメイトの大半はエリオルに釘付けだった。
無理もない、外見だけでも整っているし、マナーレッスンは徹底的にうけ、王子が受ける教育と同じものを受けさせた。


紳士としての振る舞いにつけ加え、貴族令息としての学問も短期間で叩きこんだのだから当然だ。


「ベルンの所為ですわ」

「何?」

「エリオル様はその辺の似非紳士と違いますのよ…あげく容姿も美しいのに。磨けばさらに際立つに決まってますわ」

最初が肝心だから俺はアンジェリカ様とマダムロゼに頼んでヘアーサロンにて依頼をした。

元が悪くないが、顔がはっきり見える様に髪を整え、身なりも完璧にしてだ。
そのお陰でさらに男前は上がったがレイラは面白くなかったようだ。


「私だけの王子様が…」

「くくっ…#現実____リアル#で王子様は存在しないぞ」

「くっ、この似非王子が」


目の前に性悪王子がいるからな。
俺のお世辞にも性格がいいとは言わないからある意味女子の理想の王子かもしれないが。


「ラナリア嬢?」

「はー…」


こっちもか!


なんて危険な奴なんだ。
既にラナリア嬢も誑し込んでいるとは!
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