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第二章

45知人

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日記とオルゴールを大事に保管して私はポンチョのレシピノートを探す事にした。


そのノートは捨てられていた。
まるでかまどを燃やす燃料代わりのように紙の束と一緒に。



「酷い…」


「グレーテル様、毒物の小瓶が見つかりました」


ポンチョのノート以外に、食の祭典当日に薬を購入した証拠を見つけてくれた。
闇市場で販売されている毒には瓶に何時購入したか書かれている。


「契約書も捨てられていました」


「これを証拠にしましょう」


毒を購入した事だけでは証拠として甘いと思ったけど。


「当日に父の懇意にしている職人さんがいるんです。食の祭典で櫓を立てていた大工さんがポンチョさんとアルミナ様と話しているのを見た目撃情報を得ました」

「え…」

「記者の方に声をかけられたんですが…写真を見せられて」


その記者の人に会ってみたいかもしれない。
シーナにお願いしてその人と会えるように伝えてもらい、会う事にした。



けれどその人物は。



「グレーテル嬢か!」

「カイトさん!」


その記者は、私達の知人だった。
ハワードの友人でポートナム家と親しい間柄だった。


「お知り合いだったんですか」

「ええ…新聞記者になられたんですね」

男爵家の三男で侍従補佐として勤めていたのに、どうして。


「貴女の姉君に私の婚約者が暴行を加えられた。その所為で社交界にもいれなくなったんだ」

「そんな事を…」

「妹である貴女の前では言いたくないが、以前からあの女の本性には気づいていた。だから要注意していたんだ。だがあの馬鹿は」


オークレ家の何処にもいないハワードの安否は気になってはいた。
だけど邸にハワードが暮らしていた形跡はない。



「気になっていたんですが、彼と姉は」

「早々に邸から追い出された。アイツも馬鹿だ…仕事も首になって借金だけ背負わされて王都を出ることになった」

「今は…」

「幸いにもあの馬鹿を引き取ってくれた商人がいる。アイツも反省して必死に働いている」


口では悪く言うけど、カイトさんはきっと助けてくれたんだ。


「しかし何故今さら実家に?」

「私はある事を調べる為に使用人の姿をして潜入しています。食の祭典で暴行を受けた料理人は私の大切な友達なんです」


「何だと」

「お願いします。知っている事があればお教えください。既にオークレ一家は大罪を犯しています」


私は毒のは言った小瓶を差し出す。


「なるほど、では情報交換をしよう」

「ええ」


思わぬ所で協力者を得た私達は互いに情報を交換する事にした。




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