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6.契約の意味
しおりを挟む太古の昔、まだ精霊と人間が共存した時代があった。
当時は召喚士とは重宝されていた。
何故なら、彼等は魔獣を召喚するだけの存在ではなく、魔獣を落としくさせることができる存在だったからだ。
魔獣を使役するのに現在では魔力で無理矢理従わせたり、首輪を使う方法を使われていたが、昔は真の契約をして使い魔と人間が血の契約を結んでいた。
血の契約とはたった一人の主に未来永劫忠誠誓う神聖なる制約だった。
誠の信頼がなければ結べないが、その契約を結ぶことにお寄り低級魔獣は守護獣になる事が叶う。
魔獣からしても誉れ高い物だったが、今では魔獣を奴隷か消耗品として使っている者が多いので、真の契約をしている人間は殆どいない。
「真の契約、それは契約する人間側の器も必要になる」
「ほへー…」
「悪しき心をでは知性のある魔獣は従わん。特に竜等は誇り高いからな」
魔獣には種類があり神格のある聖獣等は気位が高く、魔力が強く、ランクもあっても従わせるのは困難だった。
「でも、僕は魔獣と仲良くしたいな。できたらどつちが上なんて考えたくないし」
「お主な…」
呆れるドクターは困り果てる。
根っから魔獣が大好きなようで、使役するというよりも友達感覚だった。
「お爺さん、僕の友達をなんとか解放してあげたいんです。どうしたらいいですか?」
「取り戻さなくていいのか?」
「せめて自由にしてあげたいんです。もし、彼等がまだ僕を選んでもらえたら…」
普通は逆だろうと思うが、言っても無駄だと判断した。
「とりあえず、しばらくここにいるがいい」
「いいんですか?」
「一人ぐらい増えても問題ないだろう」
一応は恩人でもあるので、野垂れ死にされては目覚めが悪いと思ったドクターだった。
そして真夜中。
「ドク、寝たか」
「ああ、ぐっすり眠っておる」
ドワーフ達は酒を飲みながら、火の回りを囲んでいた。
「まったく非道な事をするもんじゃ」
「まだ子供ではないか…体を見たが酷いもんだ」
「しばらく真面な食事をしておらんかったろうに」
アルトを介抱した時に見たのは全身傷だらけで切り傷や火傷の痕も残っていた。
ずっとパーティーメンバーに暴力を振るわれていたのだと知り、彼等はさらに怒りを覚えた。
「恐らく、そいつらに搾取され続けていたのだろう」
「だろうな…不憫だ」
「なのに、小僧は清い心の持ち主じゃな?ドワーフの里の結界に入れたからな」
ドワーフの里に限らず、精霊や妖精の住処には人間が足を踏み入れるのは難しい。
結界が敷かれているからだ。
特に悪しき心持つ人間は結界に入る事は叶わないからだった。
「して、どうするのだ?」
「心配しなくともどうせ、すぐに逃げ出すだろう…なんせこの森でな魔獣が凶暴化するからな」
「フッ、そうだな」
ニヤリと笑みを浮かべる。
この森は、人間が自力で抜け出すのは困難だった。
道案内をしてくれる魔獣がいることが攻略の条件だったが、そんなことを人間が知るはずもない。
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