婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

文字の大きさ
35 / 115
第二章

4大公夫妻

しおりを挟む

完全に暴走しかけているセラフィーヌに二人は慌てる中。


「母上」


二人の男女が現れた。
まるで絵になるような二人だった。



「レオンハルト、アレーシャ」

「遅くなって申し訳ありません。王太后陛下」


綺麗な所作で挨拶をする女性はカナリアを見て微笑む。


「貴女がカナリア嬢ですね。初めまして、兄のレオンハルトと申します」

「お会いできて光栄でございます。妻のアレーシャと申します」


「カナリア・ウィスターと申します」


直ぐにお辞儀をして挨拶を交わすも、レオンハルトは驚く。


「随分と流暢だな」

「ええ、エステリア王国の言葉を急いで勉強したのですが」


恥ずかしそうにするアレーシャはこっそり本を見せる。


「何せいきなりでしたので」

「私もだ」

「お気遣いをいただいて」


カナリアからすれば他国に行くからその国の母国語を話すのは当然だった。
他国の語学は話せても出発する直前までできる限り流暢に話せるように方言もマスターしていたのだ。


「兄上、義姉上。カナリア嬢はエリセア王国では女官を勤め、他国の貴賓の通訳もされていたんです」

「まぁ、そうでしたの」

「それは頼もしいな」


王族として他国の貴賓を招く事も多い。
通常は文官や女官が通訳をするが、語学が堪能な通訳を用意するのは困難だった。


「通訳を用意せず王族が他国の方と外交するのが一番です」

通訳を任せた女官や文官が万一裏切り者だった時も考えられるので、通訳を置かない方が都合が良かった。

何より大事な同盟国との絆を深める為にも必要だった。


「私はお恥ずかしい事に社交界に出て一年です。ですから色々お教えください」

「光栄でございます」

アレーシャは社交界に出たのが遅く、外交に関しても執務に関してもまだまだ未熟だった。
その為にも優秀な傍仕えの侍女はいるが、侍女では足りない部分が多すぎる。


「貴女のような優秀な女性が弟の婚約者とは心強いです。どうか弟をお願いします」

「はい、大公殿下」

「他人行儀な呼び方は止めてくれ、レオンハルトと呼んで欲しい」

「はい」


レオンハルトは気さくに話しかけ、恐れ多いと感じながらも嬉しく思うカナリアだった。


「本来なら兄と甥と姪もこの場にいるべきなんだが」

「いいえ、急でしたので」


二人だけ急いで帰国したが国王と王太子と王女はまだ帰国できずにいた。


「折角ですから女子会をしましょう」

「母上本気だったんですか」

「私は何時も本気ですわ」


女子会を諦めていなかったセラフィーヌにより、男二人は追い出される事になるのだった。



しおりを挟む
感想 136

あなたにおすすめの小説

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜

早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

あなたが見放されたのは私のせいではありませんよ?

しゃーりん
恋愛
アヴリルは2年前、王太子殿下から婚約破棄を命じられた。 そして今日、第一王子殿下から離婚を命じられた。 第一王子殿下は、2年前に婚約破棄を命じた男でもある。そしてアヴリルの夫ではない。 周りは呆れて失笑。理由を聞いて爆笑。巻き込まれたアヴリルはため息といったお話です。

〖完結〗残念ですが、お義姉様はこの侯爵家を継ぐことは出来ません。

藍川みいな
恋愛
五年間婚約していたジョゼフ様に、学園の中庭に呼び出され婚約破棄を告げられた。その隣でなぜか私に怯える義姉のバーバラの姿があった。 バーバラは私にいじめられたと嘘をつき、婚約者を奪った。 五年も婚約していたのに、私ではなく、バーバラの嘘を信じた婚約者。学園の生徒達も彼女の嘘を信じ、親友だと思っていた人にまで裏切られた。 バーバラの目的は、ワイヤット侯爵家を継ぐことのようだ。 だが、彼女には絶対に継ぐことは出来ない。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 感想の返信が出来ず、申し訳ありません。

二人の妻に愛されていたはずだった

ぽんちゃん
恋愛
 傾いていた伯爵家を復興すべく尽力するジェフリーには、第一夫人のアナスタシアと第二夫人のクララ。そして、クララとの愛の結晶であるジェイクと共に幸せな日々を過ごしていた。  二人の妻に愛され、クララに似た可愛い跡継ぎに囲まれて、幸せの絶頂にいたジェフリー。  アナスタシアとの結婚記念日に会いにいくのだが、離縁が成立した書類が残されていた。    アナスタシアのことは愛しているし、もちろん彼女も自分を愛していたはずだ。  何かの間違いだと調べるうちに、真実に辿り着く。  全二十八話。  十六話あたりまで苦しい内容ですが、堪えて頂けたら幸いです(><)

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

幼馴染が熱を出した? どうせいつもの仮病でしょう?【完結】

小平ニコ
恋愛
「パメラが熱を出したから、今日は約束の場所に行けなくなった。今度埋め合わせするから許してくれ」 ジョセフはそう言って、婚約者である私とのデートをキャンセルした。……いったいこれで、何度目のドタキャンだろう。彼はいつも、体の弱い幼馴染――パメラを優先し、私をないがしろにする。『埋め合わせするから』というのも、口だけだ。 きっと私のことを、適当に謝っておけば何でも許してくれる、甘い女だと思っているのだろう。 いい加減うんざりした私は、ジョセフとの婚約関係を終わらせることにした。パメラは嬉しそうに笑っていたが、ジョセフは大いにショックを受けている。……それはそうでしょうね。私のお父様からの援助がなければ、ジョセフの家は、貴族らしい、ぜいたくな暮らしを続けることはできないのだから。

処理中です...