婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

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第二章

27自称悲劇のヒロイン

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何時まで経っても悲劇のヒロインぶるエミリーが不愉快だった。
エミリーと同じぐらい、ランドルフにも苛立ちを感じていたライアンは冷たく言い放つ。


「いい加減、現実を見なさい」

「何を言っているんですか」

「何時まで経っても夢を見ているだけで何もしない寄生虫」

「寄生虫だなんて!」


実際エミリーは何もしていない。
オイシス家の財産を食いつぶしているのは否めないのだ。


「そんな言い方あんまりではありませんか!」

「ではそれは何をしているの?オイシス商会の為に何かした?客とトラブルを起こすわ、無駄な事業をしてできなければランドルフに全て責任を取って貰うだけ」

「エミリーは頑張って…」

「頑張って何をしたの?他所で働きに出たの?お客様に頭をさげることもした?未だに妻としての役目も果たせず子供もできないわね…何一つ役に立たないわ」

ライアンは既にエミリーに何の価値もない。
金食い虫としか思っていない。

「何もできないなら口を開かないでくれるかしら?馬鹿は黙ってなさい。いるだけで不愉快よ。同じ空気を吸うも虫唾が走るのに、私は我慢して置いてあげているのよ。食費も家賃も無償で」

「エミリーは家族ですよ」

「私にとっては害を成す以外何物でもないわ」


二人の会話は堂々巡りだった。
意味のない口論を繰り返すばかりでしかない。


「オイシス家はもう終わりだわ。こんな事ならばエスターを無理にでも引き止めるべきだったわ。ミリアを許してやれば良かった」

「許す?」

「ええ、ミリアと一緒に住んでやってお良かったわかもしれない」


ライアンは自分が悪いなんて全く考えていなかった。
エスターが起こったのも家を出るきっかけを作ったのもミリアが冷遇されていたのが原因なのにライアンはミリアが悪いと決めつけていた。


「離縁をするなら早い方がいいわ。貴方はまだ若いし…この際貴族でなくとも」

「母上!何故そんな酷い事を…」

「それが貴方の為よ。このままでは本当に路頭に迷うわ。オイシス家を守る為にも必要よ」


どれだけ言っても理解しようとしないランドルフにライアンは口で言っても無駄だと思っていた。


(最悪の場合を考えないと)


家を存続させるためには二人を離縁させて新たな妻を娶る必要がある。
その為に強硬手段にでようと暗躍していた事を、二人は知るはずもなかった。



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