婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

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第三章

51二つの違い

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幸福も不幸も少しの選択により変わる。
エスターは決して他人を傷つける行為をせずに真面目に堅実に生きて来た。


その結果が今だった。


「貴方と私は既に違う道を選んだ。最後ぐらい自分の始末は自分でつけてください」

「母親になんて事を」

「私との縁を切ると言ったのは誰です?その上我が子まで奪い、愛する妻の悪口を吹聴して、その時点で私にとって悪しき存在です」

「エスター…」


「そんな、じゃあこれからどうなるんですか。私はこんな…」

「君も自分の不始末は自分でつけたらどうだ?誰かにぶら下がるのではなく己の足で立つべきだ」

エスターの言葉は正しいが今のエミリーに通じる事はなかった。


「私はこんははずじゃなかった。ただ幸せになりたかった」


「エミリー…」

「ランドルフと結婚してから何もかもおかしくなったわ。私は人並みの幸福を欲しただけなのに…不幸の連続で」


「本当にそう思っているの?愚かね」

「は?」

ずっと黙って見守っていたミリアが声を上げた。


「成人していながら心が成長していないのね。まるで子供だわ」

「なんですって?」

「だってそうでしょう?自分で幸せになるように歩こうとしないの?未来は自分でつかみ取らないと…少なくとも私は辛くても夫と共に歩み続けたわ」

「でも!」

「でも、だってばかりね!貴女は自分の幸福の為に多くの人を傷つけたわ。でもその後は?一人で何かした?誰かに縋って生きているだけじゃない。ふざけないで」

「何もかも持っている貴女に…」

「解ってないのは貴女よ。私はずっとライアン夫人に世継ぎを産めない役立たずと責められ、ずっと日陰にいたわ」

「え…」

この時初めてミリアはこれまでの苦しみを吐き捨てた。
心の奥底で耐えて来た過去を吐いたのだ。


「世継ぎができず常に毎日馬鹿にされ家族も馬鹿にされ、陰口をたたかれ…ランドルフは真面な嫁を迎えろ。貴族の娘を迎えろ…世継ぎを産める女性を迎えろとこれ見よがしに言われたわ」

「ミリア!今はそんな話は…」

「私は子ができず辛い不妊治療をしても今度は女として欠陥品だと言われ。妻として役目を果しても認められなかった」


「ならどうしてて…何で耐えられたの」


「私には彼がいた」


ミリアはエスターを見つめた。


「夫が常に私を守ってくれたわ。そしてカナリア様も私を庇ってくださった。子供ができないのは私の所為じゃないと言ってくださった」


「そんなの…」

エミリーは納得できなかった。
ミリア自身も今さら解ってもらおうとも思っていなかったが同じく姑に苦しめられた者として最後の言葉をかけたのだった。


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