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第一章

27.夫婦の形

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サブリナ様の体調は完全に回復した。
そのおかげもあってか社交界復帰ができて、ユアン様は嬉しそうだった。

それ以降食事は三食は難しくても夕食は必ず家族の団欒を守るようになり、そのおかげで社交界では以前に増して愛妻家お噂が強くなった。


貴族の間では政略結婚で結ばれた夫婦は仮面夫婦が多いので仲睦まじい夫婦は珍しいので羨ましがる者も多く、中には甲斐性無しだと罵倒する者も多かったらしいのだが。


「私は妻以上の美しい花を知りませんので、申し訳ありません」

等というのだから、ユアン様に近づくご夫人は何も言えなくなる。
遠回しに妻以外興味がないと言っているようで、屈辱だっただろうが、小さな国や宗教を重んじる国ではユアン様の態度は評価されるも批難されることはなかったそうだ。


「新聞にも載ってるわ。オシドリ夫婦の歩みだって」

「社交界でも噂ですわ。元からお二人は恋愛結婚で仲睦まじいご様子でしたが、今は更に噂が」

「まぁ仲良きことは良い事よね?公爵家もそうだし」

私の両親も仲睦まじかったし。
まぁ一時は誤解があったけど、言いたいことを言って誤解が解けた後は円満だった。

「基本、お父様はお母様大好きだし」

「ええ…そうですね」

「やっぱり奥様を大事にしない男はアウトだわ」

世間では男尊女卑が強く、女は人権もない国が多い。
我が国でも女性の立場はそこまで強くないけど、他の国に比べればマシなのかもしれない。


「伯爵家の悪い噂も着実に消えているし、後はシルビアの噂をなんとかできればいいんだけど」

「しかし難しいのでは」

「根本的に、伯爵家の不幸をシルビアの所為にするのが間違いなのよ。シルビアはあんなに美人で優しくて慎ましやかで聡明なのに」

「お嬢様…」


殆どが嫉妬心だと思う。
銀髪のような髪は絹のように美しく白磁のような肌は白磁のように透き通り瞳の色も神秘的だ。


「私がシルビアだったら自慢して回るわ」

「それもどうかと」

前世でも現世でもパッとしない容姿だから解る。
あんな絶世の美女に生まれているんだから、世の男は見る目がないわ。


「私も美人に生まれたかった」

「お嬢様、ご自分を卑下するような真似はお止めくださいな」

「卑下じゃない、事実よ。ランには解らないわよ」

清の国出身であるランはアジアンビューティーそのもので長身で肌が美しく漆黒の髪は艶やかで美しい。

もし前世で日本に生まれたらまずモテモテだったろうに。

「私なんて肌が少し綺麗で髪の毛は…まぁ普通。後は頑丈な体ぐらいだわ」

お世辞にも美人とは言い難い平凡だし。
背は同年代よりも高いかもしれないけどすらりとしているわけでもなく指だってこの通りだ。

女性にしては大きめの手だけど指は太い。

「なんていうか職人の手見たいな気がする」

「お嬢様」

別に職人の手を嫌だってわけじゃないけど、私は貴族令嬢として褒められるものがない気がする。

「これでデビュウタントなんてしたら笑い者じゃない?婚約解消されたら商業ギルドにでも入ろうかな」

「なりません!そもそも、何で婚約解消に行きつくんです!」

将来の事を考えるとやっぱそうなる気がする。
未来は誰にも解らないし、ロミオ様の私に対する思いは妹に近い者だろうし。

自惚れては行けないのだから。

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