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第四章

50.祝福の妖精

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多くの希望を抱きながら、私はこの学園祭にすべてをかけることにした。


二年の一度しかない学園祭はただの行事ではない。
学生にとっては将来を左右し、ある意味政治を行える場所とも言えるのかもしれない。


活躍する場に恵まれない生徒にとっては唯一の手段だ。


「この学園を守る妖精さん、どうかお願いします」


学園に飾られている妖精の像。
かつて女神の使いでもあり、大賢者様のパートナーでもあった妖精は後の大賢者様が誰もが平等に学ぶ場を望み、この学園に祝福を望み、妖精はこの学園に加護を与えたと聞いている。


もし、この学園に祝福を与えてくれるなら。


「妖精さん、どうかお願いします」


妖精の像は選ばれた者や、相応しい者には祝福を与えると言われているらしい。

私は妖精の姿を見ることもなければ妖精の像に言葉は届かないだろう。


天から魔力を授からなかったのだから。


でも、何処かで私の声を聞いているなら。


「もうすぐ学園祭があります。お祭りです」

妖精は賑やかな場所が大好きだと聞く。

「貴方達の祝福をどうか彼等に与えてください。貴方の大切なお友達は、多くの人に学ぶ場を与えたいと言ったのは、皆自由に生きて欲しいと願ったからだと思います」

身分差別は未だに酷く、同じ人間なのに扱いが余りにも酷い。


「私は、もっと自由に生きられる世になって欲しい。血筋や生まれだけで判断されるのではなく平等と自由を得て、評価されるべき人、真っ当に生きている人、守られるべき人が生きやすい時代になって欲しい」

今での、苦しみもがき続けている人が多くいる。
私も魔力がない事で苦しんだ時期もあったけど、学園に来て多くを学んだ。

そして今なら解る。


「この世に必要ない物はない。妖精さん、大賢者様はすべてを愛していらしたはずです。だからこそこの学園は希望になったはず」


平民だから評価されない。
貴族だから優遇されて当然なんてあっていいはずがない。


「せめて学園祭が良いきっかけになりますように」


妖精の像に向かって祈るも、何の起きない。


「まぁ、私には魔力がほとんどないものね!昔にマリアンヌが妖精の加護を得た事はあったけど、私はからっきしだったもんね」


やっぱり、私じゃ無理よね。


「サーシャだったら、妖精が見えたりしないかな」


もし見えたら素敵なのに。


そう思いながらその場を去って行った時だった。



「うわぁ!」


急に風が吹き、何処からか花が飛んで来た。

「何所から飛んで来たんだろう?」

可愛らしい花は私の頭に落ちる。


「まぁいっか!」

その花を髪飾りにしてその場を去って行つたのだった。


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