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第五章

14.歴史に名を残す者~ランside

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人のが集まるのは二通りの人間が存在する。


それは――。


「野心を持つ者と野心を持たない者」

「ええ」


シェリア様の言いたいことは直ぐに解った。
私の祖国でも革命を起こした人物や、大きな改革をした人物は野心を持つ者が多かった。

その中で歴史から抹殺された人物で野心を持たず心を持って国を変えようとした人物もいた。


人が集まるのは優れたカリスマ性。
生半可な思いだけでは人は集まらないのだから。


「野心家のマリアンヌにも人は集まったわ。ただし使えない連中ばかり。対するエリーゼは野心はなく心を心を繋いでいた…少し前まではあの子を侮辱し馬鹿にしていた貴族はいるけど」

「今は違います」

「そうよ」


かつては平民の科学者や哲学者と親しくなり、その後に高齢の貴族と懇意になり。
彼等の為にあらゆる便利な道具を開発して、少しずつエリーゼ様の交流の輪が広がって行った。


「夏休みに開発した銀食器…あれを好んだ王族もそうよ」

「お嬢様は既に外交をなさっていたのですね」

「本人はその気はないでしょうけど。そうなれば陛下も黙っていられないわね?」


お茶を一口口に含みながら冷ややかな表情をする。

「散々利用して捨てたエリーゼが、黄金を産む存在だったのだから」

「シェリア様…」

「あの馬鹿陛下は昔から気に入らないのよ。考え方もね…」


不敬罪になるので公の場で言うのは許されないけど、二年前の事件も陛下はちゃんと調査をしてくださらず。

真実が明らかになっても隠したのだ。

まるで臭い物には蓋をするかのように。
エリーゼ様の性格を解って利用し、怪我が好都合だったかのように婚約を解消したけど。

陛下自身から何もお言葉もなかった。
手紙が来た程度だけど、あんなもの代筆をさせて書かせた手紙だと丸わかりだった。


「王妃陛下は良い方よ?だけど、あの馬鹿殿は考えが浅はかだわ。今頃後悔しているのではなくて?」


大国の上皇陛下、上皇后陛下に気に入られているエリーゼ様を見す見す手放したとあれば笑い者だろう。


「だけど、今さらエリーゼが欲しいと言っても許さないわ」

「当然です」


ロベルト殿下は既に新たな婚約者を決めておられるし、今さら王室に閉じ込める気はない。

だからこそ早い段階でスザンナ様との婚約発表をしたのだろう。


「…というよりもね?」

「ええ、ロベルト殿下が大人しくしているとは思えません」

あの方の事だから、脅迫まがいな事をしている可能性が高いわ。


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