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第五章
30.無関心
しおりを挟む貴族の親子関係は良好なのが少ないと聞いたことがある。
政略結婚だったので、なんらかの因果関係もあるらしいのだけど。
「俺はあの馬鹿親父が嫌いではない、好きでもないがな」
「それは…」
「ある意味、嫌いというよりも酷いだろ」
関心が一切ないとの事だ。
「母上に関しては尊敬の念を抱いている。だがあの馬鹿親父は偏った考えで多くの人をどれだけ傷つけて来たか解らない。特に俺の可愛い、可愛い、べらぼうに可愛いロニーを悲しませて来たんだ」
可愛いを三回言ったわ。
それに方言スキルを身に着けている!
「ロベルト、今度は何処に視察へ」
「バルムート地方だ」
卒業してから視察と言って、スザンナ様と一緒に各地を回っている。
今後ロニー様が正式に立太子した後に動きやすいように下地を作る為でもあるけど。
貴族派の妨害を潰す為でもあるとロミオ様から聞かされている。
「バハムートの領主は中々懐が深くてな。彼ほどの器のある男はそういない」
「情厚く、力もある。まぁ、気品はないが」
「そんなもの、俺がなんとかしてやる。馬鹿親父を早々に引退させる為にも必要だ」
既に、国王陛下を追い出す気か!
いいのだろうか?
簡単にこんな計画を企てても。
「既にエリーゼの資質を見抜けなかったのだからな。世代交代は早まるだろう」
「元老院に賄賂を贈ってあるから問題ない」
既に先手を打っている。
なんて恐ろしい二人なの!
でも、スザンナ様は信頼した人間には優しいけど。
一度でも敵と判断した人間には恐ろしい程冷酷だった。
だから忘れていた。
「陛下を失脚させた後にあの女の処遇も決まるだろう」
「あの女?」
「君を長きに渡り苦しめたあの女、マリアンヌだ」
二人がマリアンヌを敵視していた事を。
「ロベルト様…」
「この期に及んで庇う等と馬鹿な事を言うなよ。いくら君の頼みでも既にあの女は罪を重ね過ぎた」
「エリーゼ、君の優しさは美徳であるが、時に相手を破滅に導く」
スザンナ様の厳しい言葉に私は何も言えなかった。
「おい!」
「ロミオ、お前も甘やかすのは止めろ。エリーゼ自身も厳しい決断をしなければないんだ…マリアンヌの為にどれだけの人が傷ついた?あの事件に関しても、エリーゼがあのまま死んでいたら公爵家はどうなっていた?」
「それは…」
「お前の母君はあのまま死んでいたかもしれないし、侍女の伯爵家を乗っ取られていた可能性だってある。サーシャは王族の庇護下に置かれて世間の笑い者にされていたかもしれないんだぞ」
ゲーム上で結ばれていたとしても現実では王族の庇護下に置かれて、彼等を誘惑した女と見られていたのかもしれない。
でも今は違う。
サーシャは自分の足で立ち、周りから認められ。
王族の誰とも恋に落ちる事はなかったので、行き過ぎた噂は無くなった。
私も彼女をサーシャとして見ているから、別として考えている。
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