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番外編1:師匠を探して(4)
しおりを挟む俺は、師匠に甘やかして貰えるのが好きだ。
「シモン!大丈夫か!」
「シモン、怪我したのか?ちょっと見せてみろ」
「シモン!下がれ、後は俺がやる!」
夜中にダンジョンに潜ってモンスターを倒すようになった当初は、師匠から物凄く甘やかして貰えた。特に怪我をすると、師匠が血相を変えて俺の所に来てくれる。その顔を見ると体がゾワゾワして凄く満たされるのだ。
あぁ、凄く。気持ちが良い。
だから、俺は師匠と二人きりになれる“夜”が大好きだった。それなのに――。
「あぁ、うん。最高最高。言う事ないわ」
俺が強くなるにつれ、敵から攻撃を受ける事も減って、もちろん怪我をする事もなくなっていった。それと同時に、師匠が俺を甘やかす機会も減っていく。
だから、たまに師匠にバレないように、わざと自分で体に傷を作るようになっていた。
「シモン、ちょっと腕見せてみろ」
軽く剣に毒なんかを塗っておくと、師匠はもっと心配してくれる。俺を心配そうに見つめる師匠の顔を見ると、俺は心底満たされる。それは、物凄く気持ち良い事だった。
「シモン。俺が毒を吸うから、ちょっと嫌かもしれないけど……我慢しろよ」
師匠の唇が俺の傷口に触れる。生ぬるい舌の感触。肌に触れる師匠の呼吸。
あぁ、全部気持ち良い。最高だ。背筋がピリピリする。体が熱い。頭がぼーっとして何も考えられなくなる。
------シモン。俺には甘えていいからな。
甘えていいって、師匠が言ったんだ。
それなのに、師匠はたまに俺を「弟子」じゃなくしようとしてくる。お前はもう俺より強いから、なんて……そんな事ばかり言って。
「俺が、師匠より強い事は……もう知ってるよ」
そう、随分前からそんな事は分かっていた。
体の大きさも、力の強さも、頑丈さも。いつの間にか、俺は師匠を追い越してしまっていた。多分、今師匠と一騎打ちなんかしたら一瞬で倒せてしまうだろう。
でも、実際の強さがどうかなんて、俺にはどうでも良い事だ。
「ほら、おいで。体が痛いんだろ?撫でてやるよ」
師匠は俺の師匠じゃないとダメなんだ。友達なんて、そんなその辺にゴロゴロ居るようなヤツになんてされたくない。
弟子だったら、俺は師匠に甘やかして貰える。師匠の“一番”で“唯一”でいられる。
強くなって師匠の弟子じゃなくなるくらいなら、俺は強くなんてなりたくない。体もこれ以上デカくならなくていい。大きくなると、師匠に甘やかして貰えなくなるから。
そう、思っていたのに。
「……皆なんか知るかよ。夜は俺と師匠だけの時間じゃん」
「っぅ」
初めて懺悔室で師匠を押し倒した時。
少しも抵抗出来ずに顔を歪める師匠に、俺はいつも以上に体が熱くなるのを止められなかった。
師匠はいつの間に、こんなに小さくなってたんだ。いや、俺がデカくなったのか。まぁ、どっちでもいいけど。
「はぁっ、はぁ」
息が上がる。
いつもみたいに、甘やかしてもらってる時と違ってジワジワと体が熱くなるような感覚ではない。まるで竈の中に放り込まれたような、急激に体が熱くなるような感覚。
俺は師匠に欲情していた。
「っはぁ……師匠、これ。どうしたら、いい?おしえて」
何も知らないフリをして、勃起するペニスを師匠の体に押し付ける。
その頃には、街の女に誘われてセックスをした事もあったし、一人での処理の仕方も、もちろん知っていた。
「あ、えっと……あの、それじゃ、まず。ズ、ズボンを脱いで」
「ししょう、引っかかって脱げないよ……」
「あ、えっと。じゃあ、ちょっと……腰上げろ」
「ん」
顔を真っ赤に染め上げ、一生懸命“師匠”で居続けようとしてくれる師匠に、俺は更に体が熱くなるのを感じた。
俺を何も知らない子供だと思い込んで。俺より弱い師匠が、俺の為に恥ずかしいのを我慢して頑張ってくれている。もう、堪らない。
「まず、手で、あの、上下にこすって」
「……それじゃ、わかんないよ。ねぇ。ししょうが、シて」
「……ぁ、えと。じゃ、見てろ、よ」
もう顔だけじゃなくて耳や首まで真っ赤にしながら、師匠の手が俺の勃起するペニスに触れる。師匠の首に噛みつきたい。そんな獣みたいな衝動を必死に抑え込みながら、俺は師匠の真っ赤な首筋を眺めていた。
「はぁっ、は」
師匠の息も上がってる。なんだか、いつもと違って熱い呼吸音に、師匠も興奮してるんだって分かった。
「師匠、きもち……」
「よ、よかった。じゃあ、ここからは自分で」
師匠の目が、羞恥心で微かに潤んでいる。その顔を見たら、もっと興奮した。
「やだ、分かんない。もっと」
「……っぅう」
女とヤる時は、相手が俺のをシゴいて勃起させる所から始まる。手とか、口とか。なんか色々されてるうちに、いつの間にか勃起して、そしたら女に挿れる。そして、しばらく腰を振ったら終わり。
自分でやる時も同じ。確かに射精した、その瞬間は気持ちが良いけど、なんかソレだけって感じだった。
それなのに、師匠にシて貰った時はそうじゃなかった。真っ赤な顔も、震える手も、緊張して掠れる声も、全部全部全部全部。
最高だった。
「っはぁ……いいッ」
俺のペニスは師匠が触る前から、完勃ちで、師匠に触られるのを喜んでるみたいにフルリと震え、先走りを流す。「痛くないか?」「こうやるの、分かるか?」と、恥ずかしいのを我慢しながら、チラチラと俺の顔を見ながら説明してくる師匠が、なんかもう堪らなく可愛くて。
「イくッ」
「っ!」
程なくして俺はイってしまった。
驚いた。こんなに早くイったのは初めてだったから。あぁ、勿体ない。どうせなら、もっと師匠に触って欲しかった。そう思いながら、師匠の体を見てみると、なにやら面白いモノが目に入った。
「しもん、あの……分かった、か?」
「ねぇ、師匠?」
狭い狭い二人きりの懺悔室。その中で、俺の精液でその手を汚し、顔を火照らせる師匠に俺は言う。
「……師匠のも、苦しそうだね」
「あ、え……いや、これはっ!」
俺のペニスをシゴきながら自分のまで勃起させるなんて、俺の師匠ってどこまで最高なんだろう。俺は壁と足の間に師匠を閉じ込めると、真っ赤に染まる耳に直接口を寄せ、わざと熱い息を吐いた。
「じゃあ、師匠のは俺がやるから。ちゃんと出来てるか……見てて」
「っん、ぁ、う……」
「……はぁ、ししょう」
可愛い。
その晩、俺と師匠は狭い懺悔室で向かい合いながら、たくさん気持ちの良い事をした。
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