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第九部 魔獣と夜空の召喚士編
第九部 第4話 光と影のステータスデータ
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六月初旬の爽やかな早朝、そろそろ梅雨入りも間近なだけあって日差しが貴重に感じる。今日のクエスト受注先は、卒業式以来となる久しぶりのダーツ魔法学園ギルドだ。
「ねぇねぇイクトス。もしかして、卒業式ぶりだよね。学校でのクエストって!」
半透明の涼しげな羽をパタパタとさせながら、ポニーテールを揺らしてオレの周囲で浮遊する小妖精シュシュ。サイズは女の子が好みそうな人形くらいのサイズだが、よく動きよくしゃべる。勇者イクトスの称号を持つ者をサポートする可愛らしい妖精だ。
「ああ、そういうことになるな。今回から難易度がグッと上がるらしいから、サポート頼むよ」
「まっかせて! アイラちゃんたちに会うのも久しぶりだなぁ。楽しみだねイクトス。アイラちゃんって魔法少女に転向するんでしょ?」
「らしいけど……。今回は、アイラの転職ポイントを稼ぐのも目的の一つだからな。実の兄としては、頑張らないと!」
学園内の敷地内には、すでに冒険者や学生の姿が見られる。衣替えのシーズンなこともあり、半袖姿の学生から上着を片手に闊歩する学生まで様々だ。
それぞれの体感温度で、服装を工夫しなくてはいけないのでちょっと面倒だが、それもまた情緒があって良いだろう。
つい数ヶ月前まで衣食住を過ごしていた寄宿舎制の学園を懐かしみながらも、気を引き締めて所属ギルドがある学園内の教会へ。
ステンドグラスから光が差し込む教会の廊下を通り抜け、ミーティングルームの扉を開ける。すでに、ギルドメンバー達が数名集合していた。
「よぉ! イクト、学園ギルドのクエストは卒業以来だよな? 会いに来てくれなかったから、弟がいないみたいで寂しかったぞっ」
姉御肌のエルフ剣士アズサがオレの頭をわさっといじって、再会の挨拶。アズサなりのスキンシップなんだろうけれど、もうオレも中学生じゃないんだし、弟扱いはちょっぴり恥ずかしい。
「わっアズサ。悪かったな、研修が忙しかったんだよ。またそうやって……!」
すると、間髪入れずにオレの元飼い猫で現在はほぼ人間に近い姿となっている猫耳メイドのミーコがメイド特有のお出迎え。
「にゃぁ! イクトお帰りなさいませなのにゃ」
まるで、メイド喫茶に来店してしまったような錯覚をするが、ここはれっきとした所属ギルドのミーティングルームだ。
「ははは。ただいま、ミーコ」
促されて、用意された席に着く。
すでにクエストの資料と朝食が並んでおり、すぐに食事が出来る状態だった。
「おはよう、お兄ちゃん! お兄ちゃんの分の朝食、アイラが作ったんだよっ」
「アイラ、ありがとう。へぇ、今日はスクランブルエッグにベーコンのセット朝食か」
アイラの手作りだというスクランブルエッグとカリッと焼かれたベーコンのセット。
ドリンクはオレンジジュース、アイスカフェラテを用意してくれたようだ。サラダは定番のレタスとトマト。パンはライ麦、バターとジャムをお好みで。大きな三角チーズ付きだ。
この異世界に転移したての頃に食べた朝食メニューと内容や盛り付け方が似ていて、懐かしくも切ない気持ちにさせられる。
あの頃は、まだマリアとアイラしか仲間がいなかった。
気のせいだろうか、それともアイラからの何かのメッセージだろうか……? 考えすぎか。
メンバーが全員席につくまでの間、神官エリスがお約束の占いを開始。
「おはようございます、イクト様。今日のラッキーカラーは紺色。クエストの運気は……レアモンスターに縁あり。あら、新しい装備のマント……紺色系ですわね、お似合いですわよ」
「おはよう、エリス。このマント、クオリアのオリジナルなんだ。それにしても相変わらず手早く占いできるな」
「ええ、最近はタロットを中心に勉強していますの。そのうち、もっと本格的に占えるようになりますわ」
卒業後、初めてとなるダーツ魔法学園ギルドのミーティングルーム。しばらくぶりだが、いつもの調子で安心する。
「あとは、ミンティアとマリアだけか……2人が来たら食事しながらミーティングだな」
「マリアは教会の手伝いが終わり次第すぐに来るぜ。ミンティアは、召喚契約のお祈りしているみたいだけど……」
アズサから召喚契約と聴いて、一瞬なぜか天体観測で伝承を学んだ夜空の召喚士ミンティアラのことが思い浮かんだ。
「おまたせっ! あっイクト君、おはよう。ごめんね、契約精霊を増やしたから時間がかかっちゃったの」
「いや、いいよ……マリアが来たら、食事しながらアプリでクエストについて分析しよう」
ミンティアの姿が、一瞬夜空の召喚士と被って感じたが気のせいだろうか。
まさか、新しい契約って夜空の召喚士と……? だが、爽やかなミンティアからは、後ろめたさのようなものは感じられず、むしろ控えめながらも自信がついたように見えた。
「おはようございます、教会のお仕事が長引いてしまって……あら、私が最後ですね」
「いいよ、マリア。じゃあ始めようか!」
* * *
食事をしながら、攻略予定ダンジョンのモンスター情報を分析。
最新のアプリを使用して、参加メンバーのデータを取得。ステータスは以下の通り。
【メンバー:1】
勇者イクト 職業:転生勇者 称号:ハーレム勇者
レベル:58
HP:2980
MP:272
特殊チートスキル:モテチート
攻撃武器種:棍・剣・槍
メイン装備武器:輪廻の棍
サブ装備武器:ロングソード改
装備防具:蒼穹のマント・転生の胸当て・ギルド勇者のズボン
装飾品:虹鉱石のペンダント(MP回復効果あり)・呪い除けのチャーム・ハーレム勇者認定の証
呪文:中回復魔法、攻撃魔法
メイン所属ギルド:転生者ギルドクオリア・ダーツ魔法学園ギルド
サブ所属ギルド:地下迷宮ギルド連盟・合戦場攻略連盟
ゲスト登録ギルド:聖女館
(備考)
新装備である輪廻の棍は、犬耳錬金術士ココアの新作だ。輪廻の棍を道具として使用すると防御力アップの効果あり。使い勝手の良いサブ武器は、学生時代からのものを継続して使用。
蒼穹のマントと転生の胸当ては、ギルドクオリアのオリジナル装備。ギルド勇者のズボンは、研修終了後に支給された勇者の定番装備。
勇者には珍しく棍装備をメインとしており、打撃攻撃が得意。回復魔法や攻撃魔法をそつなくこなす、いわゆるオールマイティーな勇者だ。女アレルギーさえ発症しなければ、トップレベルの活躍が出来る。
特殊チートスキルモテチートは、女性にモテるだけのスキルと呼ばれているが使用方法によってはバトル時にかなり有効活用できるらしい。
契約により、小妖精シュシュの加護効果あり。
【メンバー:2】
聖女ミンティア 職業:聖女(サブ職業召喚士)
レベル57
HP:2300
MP:400
特殊チートスキル:聖女の癒し
攻撃武器種:召喚用ショートダガー・護身用鞭
メイン装備武器:月灯りのショートダガー
サブ装備武器:ミステリアスウィップ
装備防具:聖女の正装セットアップ・鉄壁のブーツ
装飾品:流星のピアス・聖女の証(毎ターンHP・MP回復)・虹鉱石のチャーム
呪文:状態異常回復魔法、召喚魔法、その他補助呪文
メイン所属ギルド:聖女館・ダーツ魔法学園ギルド
サブ所属ギルド:地下迷宮ギルド連盟・合戦場攻略連盟
ゲスト登録ギルド:転生者ギルドクオリア
(備考)
ダーツ魔法学園を卒業しプロの聖女として認められたため、護身用の武器を装備出来るようになった。積極的には攻撃出来ないが、身を守る力は上がったといえる。サブ武器の鞭は、相手の敵意を失せさせたり追い払う役割が主なようだ。
勇者イクトの女アレルギーの呪いを聖女のチートスキルで緩和出来る。そのため、常時MPを消費し続けるためMP回復の装飾品は外さないように注意が必要。
また、聖女館御用達のハイクラス装備に武器防具を一新したため、攻撃力・守備力ともに上昇。バトルクエストのメインメンバーとして、フル活動が可能となった。
一回のバトルにつき召喚できる精霊の数は、現時点で2体が限界。状況に応じた精霊を召喚するように心がけよう。新契約の召喚精霊も増えて、ますます活躍が期待される。
【メンバー3】
賢者マリア 職業:ギルド賢者(元・白魔法使い) サブ職業:未定
レベル47
HP:2100
MP:380
攻撃武器種:杖・鞭
メイン装備武器:馬蹄と魔法陣の杖
サブ装備武器:幸運の鞭
装備防具:賢者のローブ・清廉のマント・柔らかなブーツ
装飾品:琥珀の髪飾り・虹鉱石のチャーム(MP回復効果あり)・馬蹄のチャーム(幸運度アップ)
呪文:回復魔法大・攻撃魔法各種・補助呪文各種
メイン所属ギルド:ダーツ魔法学園ギルド
サブ所属ギルド:地下迷宮ギルド連盟
ゲスト登録:転生者ギルドクオリア
(備考)
元白魔法使いからの転職賢者であるため、回復呪文が得意。バトルでは、全体攻撃呪文を駆使して雑魚モンスターを一掃できる。だが、ボス戦では回復魔法大のスキルを優先して、攻撃魔法は控えるのがベターだろう。
ある程度の物理攻撃も行えるため、ダンジョン攻略からボス戦まであらゆるシーンで活躍できるマルチな賢者だ。
サブ職業取得可能だが現在空白となっている。新たなサブ職業を検討するとスキルの幅がさらに広がりそうだ。
【メンバー:4】
格闘家アイラ 職業:学園格闘家(星5ランク最大到達済み) サブ職業:魔法少女(研修中)
レベル:50(初期職業最大レベル上限到達)
HP:1700
MP:150
装備可能武器種:ナックル・杖・飛び道具各種
メイン装備武器:疾風のナックル
サブ装備武器:マジカルシャボン
装備防具:アクティブシリーズセットアップ(ミニワンピ)・修練のブーツ
装飾品:虹鉱石のチャーム(MP回復効果あり)・魔法少女の契約ペンダント
スキル:爆裂旋風拳、シャボンマジック、アイラの歌
メイン所属ギルド:ダーツ魔法学園ギルド・魔法少女ギルド
サブ所属ギルド:転生者ギルドクオリア・地下迷宮ギルド連盟
(備考)
勇者イクトの実の妹で、現役中学1年生と若年ながら格闘家として活躍中。所属年齢最年少から学園ギルドに所属していたため、すでに学園格闘家としての職業レベルは最大ランクを迎えてしまっている。今後は、レベルアップのために転職が必須だ。
前世に魔法少女として活動していた影響がじわじわときているようで、いつの間にか魔法少女研究会に所属する流れになっていた。研修期間が終了したら、正式に魔法少女に転職するそうだ。
魔法少女としての転職が無事に成功すれば、物理攻撃と魔法攻撃を両方使いこなせる攻撃エキスパートとしての活躍が期待できる。
また、固有のスキルであるアイラの歌は、美しい歌声でモンスターの戦闘意欲を削ぐことが可能。バトルを避けたいときには、是非使用することをオススメする。
【メンバー:5】
神官エリス 職業:ギルド神官 サブ職業:転職専門士
レベル:51
HP:2000
MP:500
攻撃武器種:杖・水晶玉・タロットカード
メイン装備武器:お告げのタロット
サブ装備武器:天の水晶玉・クリスタルの杖
装備防具:神聖ローブセット・清らかな靴
装飾品:虹鉱石のチャーム(MP回復効果あり)・神官の証(MP増幅効果あり)・天然石のブレスレット
呪文:回復呪文大、補助呪文各種
特殊スキル:転職許可の儀式・占い
メイン所属ギルド:ハロー神殿神官部・ダーツ魔法学園ギルド
サブ所属ギルド:地下迷宮ギルド連盟・転生者ギルドクオリア
(備考)
伝統ある転職の聖地ハロー神殿の神官一族の末裔、さらに伝説の転生者勇者の血を引く。転生者の子孫であるため、転生者ギルドクオリアにも正式所属している。
回復と補助がメインとなるため、後方で支援を行うのがベストな配置。バトル終了後の回復役としても活躍できる。
これまでメイン武器として使用していたクリスタルの杖はサブ武器として継続。新たにメイン武器としてタロットを導入しているが、バトル時の効果はまだ未知数だ。MPが極めて高いが、ほとんどのスキルがMP依存であるため使いすぎには注意したい。
今後のクエスト多様化を考慮すると特殊スキル転職許可の儀式を活用して、仲間メンバーの職業充実を目指したい。
* * *
アプリに搭載されているアドバイスシステムを参考に組まれた今回のメンバー構成。攻撃スキルの高いアズサとサポート兼ハンターのミーコが待機となったが、モンスターとの相性や武器種の関係で構成を決めたようだ。
さっそく、このメンバーでギルドゲートへ。ふと、ゲートの手前で足を止めてオレの目をまっすぐと見つめるミンティア。
「新しいチカラで……イクト君の、みんなの役に立つから! 必ず、イクト君にとって必要とされる召喚士になれるように……」
「えっ……ああ、頼りにしているよ。ミンティア」
改めて決意を表するミンティアの目は光で溢れ、迷いがない。さすが、最近になって目覚ましくステータスデータが上がっただけの事はある。
だが、光の裏には必ず影が出来るものだ。
ミンティアを光指す向こうに現れるその影が……【夜空の召喚士】の星座図と同じ形になっていることには気づかなかった。
「ねぇねぇイクトス。もしかして、卒業式ぶりだよね。学校でのクエストって!」
半透明の涼しげな羽をパタパタとさせながら、ポニーテールを揺らしてオレの周囲で浮遊する小妖精シュシュ。サイズは女の子が好みそうな人形くらいのサイズだが、よく動きよくしゃべる。勇者イクトスの称号を持つ者をサポートする可愛らしい妖精だ。
「ああ、そういうことになるな。今回から難易度がグッと上がるらしいから、サポート頼むよ」
「まっかせて! アイラちゃんたちに会うのも久しぶりだなぁ。楽しみだねイクトス。アイラちゃんって魔法少女に転向するんでしょ?」
「らしいけど……。今回は、アイラの転職ポイントを稼ぐのも目的の一つだからな。実の兄としては、頑張らないと!」
学園内の敷地内には、すでに冒険者や学生の姿が見られる。衣替えのシーズンなこともあり、半袖姿の学生から上着を片手に闊歩する学生まで様々だ。
それぞれの体感温度で、服装を工夫しなくてはいけないのでちょっと面倒だが、それもまた情緒があって良いだろう。
つい数ヶ月前まで衣食住を過ごしていた寄宿舎制の学園を懐かしみながらも、気を引き締めて所属ギルドがある学園内の教会へ。
ステンドグラスから光が差し込む教会の廊下を通り抜け、ミーティングルームの扉を開ける。すでに、ギルドメンバー達が数名集合していた。
「よぉ! イクト、学園ギルドのクエストは卒業以来だよな? 会いに来てくれなかったから、弟がいないみたいで寂しかったぞっ」
姉御肌のエルフ剣士アズサがオレの頭をわさっといじって、再会の挨拶。アズサなりのスキンシップなんだろうけれど、もうオレも中学生じゃないんだし、弟扱いはちょっぴり恥ずかしい。
「わっアズサ。悪かったな、研修が忙しかったんだよ。またそうやって……!」
すると、間髪入れずにオレの元飼い猫で現在はほぼ人間に近い姿となっている猫耳メイドのミーコがメイド特有のお出迎え。
「にゃぁ! イクトお帰りなさいませなのにゃ」
まるで、メイド喫茶に来店してしまったような錯覚をするが、ここはれっきとした所属ギルドのミーティングルームだ。
「ははは。ただいま、ミーコ」
促されて、用意された席に着く。
すでにクエストの資料と朝食が並んでおり、すぐに食事が出来る状態だった。
「おはよう、お兄ちゃん! お兄ちゃんの分の朝食、アイラが作ったんだよっ」
「アイラ、ありがとう。へぇ、今日はスクランブルエッグにベーコンのセット朝食か」
アイラの手作りだというスクランブルエッグとカリッと焼かれたベーコンのセット。
ドリンクはオレンジジュース、アイスカフェラテを用意してくれたようだ。サラダは定番のレタスとトマト。パンはライ麦、バターとジャムをお好みで。大きな三角チーズ付きだ。
この異世界に転移したての頃に食べた朝食メニューと内容や盛り付け方が似ていて、懐かしくも切ない気持ちにさせられる。
あの頃は、まだマリアとアイラしか仲間がいなかった。
気のせいだろうか、それともアイラからの何かのメッセージだろうか……? 考えすぎか。
メンバーが全員席につくまでの間、神官エリスがお約束の占いを開始。
「おはようございます、イクト様。今日のラッキーカラーは紺色。クエストの運気は……レアモンスターに縁あり。あら、新しい装備のマント……紺色系ですわね、お似合いですわよ」
「おはよう、エリス。このマント、クオリアのオリジナルなんだ。それにしても相変わらず手早く占いできるな」
「ええ、最近はタロットを中心に勉強していますの。そのうち、もっと本格的に占えるようになりますわ」
卒業後、初めてとなるダーツ魔法学園ギルドのミーティングルーム。しばらくぶりだが、いつもの調子で安心する。
「あとは、ミンティアとマリアだけか……2人が来たら食事しながらミーティングだな」
「マリアは教会の手伝いが終わり次第すぐに来るぜ。ミンティアは、召喚契約のお祈りしているみたいだけど……」
アズサから召喚契約と聴いて、一瞬なぜか天体観測で伝承を学んだ夜空の召喚士ミンティアラのことが思い浮かんだ。
「おまたせっ! あっイクト君、おはよう。ごめんね、契約精霊を増やしたから時間がかかっちゃったの」
「いや、いいよ……マリアが来たら、食事しながらアプリでクエストについて分析しよう」
ミンティアの姿が、一瞬夜空の召喚士と被って感じたが気のせいだろうか。
まさか、新しい契約って夜空の召喚士と……? だが、爽やかなミンティアからは、後ろめたさのようなものは感じられず、むしろ控えめながらも自信がついたように見えた。
「おはようございます、教会のお仕事が長引いてしまって……あら、私が最後ですね」
「いいよ、マリア。じゃあ始めようか!」
* * *
食事をしながら、攻略予定ダンジョンのモンスター情報を分析。
最新のアプリを使用して、参加メンバーのデータを取得。ステータスは以下の通り。
【メンバー:1】
勇者イクト 職業:転生勇者 称号:ハーレム勇者
レベル:58
HP:2980
MP:272
特殊チートスキル:モテチート
攻撃武器種:棍・剣・槍
メイン装備武器:輪廻の棍
サブ装備武器:ロングソード改
装備防具:蒼穹のマント・転生の胸当て・ギルド勇者のズボン
装飾品:虹鉱石のペンダント(MP回復効果あり)・呪い除けのチャーム・ハーレム勇者認定の証
呪文:中回復魔法、攻撃魔法
メイン所属ギルド:転生者ギルドクオリア・ダーツ魔法学園ギルド
サブ所属ギルド:地下迷宮ギルド連盟・合戦場攻略連盟
ゲスト登録ギルド:聖女館
(備考)
新装備である輪廻の棍は、犬耳錬金術士ココアの新作だ。輪廻の棍を道具として使用すると防御力アップの効果あり。使い勝手の良いサブ武器は、学生時代からのものを継続して使用。
蒼穹のマントと転生の胸当ては、ギルドクオリアのオリジナル装備。ギルド勇者のズボンは、研修終了後に支給された勇者の定番装備。
勇者には珍しく棍装備をメインとしており、打撃攻撃が得意。回復魔法や攻撃魔法をそつなくこなす、いわゆるオールマイティーな勇者だ。女アレルギーさえ発症しなければ、トップレベルの活躍が出来る。
特殊チートスキルモテチートは、女性にモテるだけのスキルと呼ばれているが使用方法によってはバトル時にかなり有効活用できるらしい。
契約により、小妖精シュシュの加護効果あり。
【メンバー:2】
聖女ミンティア 職業:聖女(サブ職業召喚士)
レベル57
HP:2300
MP:400
特殊チートスキル:聖女の癒し
攻撃武器種:召喚用ショートダガー・護身用鞭
メイン装備武器:月灯りのショートダガー
サブ装備武器:ミステリアスウィップ
装備防具:聖女の正装セットアップ・鉄壁のブーツ
装飾品:流星のピアス・聖女の証(毎ターンHP・MP回復)・虹鉱石のチャーム
呪文:状態異常回復魔法、召喚魔法、その他補助呪文
メイン所属ギルド:聖女館・ダーツ魔法学園ギルド
サブ所属ギルド:地下迷宮ギルド連盟・合戦場攻略連盟
ゲスト登録ギルド:転生者ギルドクオリア
(備考)
ダーツ魔法学園を卒業しプロの聖女として認められたため、護身用の武器を装備出来るようになった。積極的には攻撃出来ないが、身を守る力は上がったといえる。サブ武器の鞭は、相手の敵意を失せさせたり追い払う役割が主なようだ。
勇者イクトの女アレルギーの呪いを聖女のチートスキルで緩和出来る。そのため、常時MPを消費し続けるためMP回復の装飾品は外さないように注意が必要。
また、聖女館御用達のハイクラス装備に武器防具を一新したため、攻撃力・守備力ともに上昇。バトルクエストのメインメンバーとして、フル活動が可能となった。
一回のバトルにつき召喚できる精霊の数は、現時点で2体が限界。状況に応じた精霊を召喚するように心がけよう。新契約の召喚精霊も増えて、ますます活躍が期待される。
【メンバー3】
賢者マリア 職業:ギルド賢者(元・白魔法使い) サブ職業:未定
レベル47
HP:2100
MP:380
攻撃武器種:杖・鞭
メイン装備武器:馬蹄と魔法陣の杖
サブ装備武器:幸運の鞭
装備防具:賢者のローブ・清廉のマント・柔らかなブーツ
装飾品:琥珀の髪飾り・虹鉱石のチャーム(MP回復効果あり)・馬蹄のチャーム(幸運度アップ)
呪文:回復魔法大・攻撃魔法各種・補助呪文各種
メイン所属ギルド:ダーツ魔法学園ギルド
サブ所属ギルド:地下迷宮ギルド連盟
ゲスト登録:転生者ギルドクオリア
(備考)
元白魔法使いからの転職賢者であるため、回復呪文が得意。バトルでは、全体攻撃呪文を駆使して雑魚モンスターを一掃できる。だが、ボス戦では回復魔法大のスキルを優先して、攻撃魔法は控えるのがベターだろう。
ある程度の物理攻撃も行えるため、ダンジョン攻略からボス戦まであらゆるシーンで活躍できるマルチな賢者だ。
サブ職業取得可能だが現在空白となっている。新たなサブ職業を検討するとスキルの幅がさらに広がりそうだ。
【メンバー:4】
格闘家アイラ 職業:学園格闘家(星5ランク最大到達済み) サブ職業:魔法少女(研修中)
レベル:50(初期職業最大レベル上限到達)
HP:1700
MP:150
装備可能武器種:ナックル・杖・飛び道具各種
メイン装備武器:疾風のナックル
サブ装備武器:マジカルシャボン
装備防具:アクティブシリーズセットアップ(ミニワンピ)・修練のブーツ
装飾品:虹鉱石のチャーム(MP回復効果あり)・魔法少女の契約ペンダント
スキル:爆裂旋風拳、シャボンマジック、アイラの歌
メイン所属ギルド:ダーツ魔法学園ギルド・魔法少女ギルド
サブ所属ギルド:転生者ギルドクオリア・地下迷宮ギルド連盟
(備考)
勇者イクトの実の妹で、現役中学1年生と若年ながら格闘家として活躍中。所属年齢最年少から学園ギルドに所属していたため、すでに学園格闘家としての職業レベルは最大ランクを迎えてしまっている。今後は、レベルアップのために転職が必須だ。
前世に魔法少女として活動していた影響がじわじわときているようで、いつの間にか魔法少女研究会に所属する流れになっていた。研修期間が終了したら、正式に魔法少女に転職するそうだ。
魔法少女としての転職が無事に成功すれば、物理攻撃と魔法攻撃を両方使いこなせる攻撃エキスパートとしての活躍が期待できる。
また、固有のスキルであるアイラの歌は、美しい歌声でモンスターの戦闘意欲を削ぐことが可能。バトルを避けたいときには、是非使用することをオススメする。
【メンバー:5】
神官エリス 職業:ギルド神官 サブ職業:転職専門士
レベル:51
HP:2000
MP:500
攻撃武器種:杖・水晶玉・タロットカード
メイン装備武器:お告げのタロット
サブ装備武器:天の水晶玉・クリスタルの杖
装備防具:神聖ローブセット・清らかな靴
装飾品:虹鉱石のチャーム(MP回復効果あり)・神官の証(MP増幅効果あり)・天然石のブレスレット
呪文:回復呪文大、補助呪文各種
特殊スキル:転職許可の儀式・占い
メイン所属ギルド:ハロー神殿神官部・ダーツ魔法学園ギルド
サブ所属ギルド:地下迷宮ギルド連盟・転生者ギルドクオリア
(備考)
伝統ある転職の聖地ハロー神殿の神官一族の末裔、さらに伝説の転生者勇者の血を引く。転生者の子孫であるため、転生者ギルドクオリアにも正式所属している。
回復と補助がメインとなるため、後方で支援を行うのがベストな配置。バトル終了後の回復役としても活躍できる。
これまでメイン武器として使用していたクリスタルの杖はサブ武器として継続。新たにメイン武器としてタロットを導入しているが、バトル時の効果はまだ未知数だ。MPが極めて高いが、ほとんどのスキルがMP依存であるため使いすぎには注意したい。
今後のクエスト多様化を考慮すると特殊スキル転職許可の儀式を活用して、仲間メンバーの職業充実を目指したい。
* * *
アプリに搭載されているアドバイスシステムを参考に組まれた今回のメンバー構成。攻撃スキルの高いアズサとサポート兼ハンターのミーコが待機となったが、モンスターとの相性や武器種の関係で構成を決めたようだ。
さっそく、このメンバーでギルドゲートへ。ふと、ゲートの手前で足を止めてオレの目をまっすぐと見つめるミンティア。
「新しいチカラで……イクト君の、みんなの役に立つから! 必ず、イクト君にとって必要とされる召喚士になれるように……」
「えっ……ああ、頼りにしているよ。ミンティア」
改めて決意を表するミンティアの目は光で溢れ、迷いがない。さすが、最近になって目覚ましくステータスデータが上がっただけの事はある。
だが、光の裏には必ず影が出来るものだ。
ミンティアを光指す向こうに現れるその影が……【夜空の召喚士】の星座図と同じ形になっていることには気づかなかった。
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