徒然草

春秋花壇

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徒然草 第百六段

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徒然草 第百六段

原文

高野山の証空上人が京に上る途中、細い道で馬に乗った女と出会いました。女の馬を引いていた男が不注意に上人の乗っていた馬を堀に落としてしまいます。上人は激怒し、男を厳しく責めました。男は上人の言葉が理解できず、上人はさらに怒りを募らせました。結局、上人は男を罵倒してその場を立ち去りました。

現代語訳

高野山の証空上人が京に上る途中、細い道で馬に乗った女と出会いました。女の馬を引いていた男が不注意に上人の乗っていた馬を堀に落としてしまいます。上人は激怒し、男を厳しく責めました。男は上人の言葉が理解できず、上人はさらに怒りを募らせました。結局、上人は男を罵倒してその場を立ち去りました。

ポイント

怒りは冷静さを失わせ、さらに事態を悪化させる。
相手の立場や理解度を考慮したコミュニケーションが大切である。
言葉遣いに注意する。
解説

この段は、怒りの感情の恐ろしさを描いたものと考えられます。

上人は、男の不注意によって馬を堀に落としてしまったことに腹を立て、冷静さを失ってしまいました。その結果、男を厳しく責め立て、さらに怒りを募らせてしまいました。

怒りは、瞬間的に人を支配し、冷静な判断を妨げてしまうことがあります。怒りに駆られて行動してしまうと、後々後悔するような事態を招いてしまうこともあるでしょう。

この段は、怒りの感情と向き合い、上手にコントロールすることが大切であることを教えてくれます。

また、この段は、コミュニケーションの重要性についても示唆していると言えるでしょう。

上人は、男の立場や理解度を考慮せずに、一方的に自分の意見を押し付けてしまいました。そのため、男は上人の言葉が理解できず、さらに事態が悪化してしまったのです。

コミュニケーションにおいては、相手のことを理解し、相手の立場に立って考えることが大切です。自分の意見ばかりを押し付けるのではなく、相手の意見にも耳を傾け、互いに理解し合えるように努力する必要があります。

さらに、この段は、言葉遣いの大切さも示唆していると言えるでしょう。

上人は、男を罵倒するような言葉遣いを用いました。このような言葉遣いは、相手を傷つけ、関係を悪化させてしまう可能性があります。

言葉遣いは、コミュニケーションにおいて非常に重要です。相手を尊重した丁寧な言葉遣いを心がけることで、円滑なコミュニケーションを図ることができます。

この段は、怒りの感情とコミュニケーションについて、考えさせられる内容となっています。

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