妻と愛人と家族

金婚式の翌日、妻が出て行ってしまいました。「わたしを探して、もう一度プロポーズして」というのです。

金婚式から始まる、新たな物語

金婚式の会場は、喜びと幸せの雰囲気に包まれていた。会場は華やかな装飾で飾られ、大きなバラの花束がテーブルを飾り、豪華な料理が並ぶ。部屋中には笑顔に包まれ、家族や友人たちがお祝いの言葉を交わしていた。

ゴールドのテーブルクロスが上品に敷かれ、キャンドルの灯りが煌めく中、一つのテーブルには金婚式を祝う特別なケーキが置かれている。その周りには笑顔があふれ、ゲストたちが祝福の乾杯を交わす中、新郎新婦は幸せそうに微笑んでいた。

新郎の小林直人はスマートなスーツを身に纏い、誇らしげに妻の里美と手をつないでいた。里美は白いドレスに身を包み、優雅な笑顔を浮かべていた。

音楽が流れ、新郎新婦はダンスを楽しむ。彼らの周りには愛する家族や友人たちが集まり、温かい雰囲気に包まれていた。笑い声や歓声が会場に響き渡り、幸せなひとときが続いていた。

金婚式の祝福の言葉や贈り物が交わされ、愛と絆を称える瞬間が訪れる。そして、二人の愛はこれからも永遠に続くことを願って、ゲストたちは祝福を捧げた。


金婚式の翌日、妻が出て行ってしまいました。「わたしを探して、もう一度プロポーズして」というのです。

昨日は、金婚式で子供たちや孫たちが集まってお祝いをしてくれた。

妻の里美と、幸せな老後を共に送れるものと思っていた。


金婚式の翌日、小林直人は家の静けさに目を覚ました。寝室に足を踏み入れると、そこには彼の妻である里美の姿はなかった。不安が胸を締め付けた。

「里美？」

呼びかけても返事はなく、部屋中を探し回っても彼女の姿は見当たらない。心臓が慌ただしく鼓動し、不安が募っていく。そして、台所のテーブルの上に一枚の手紙が置かれているのを見つけた。

手紙を開くと、里美からの言葉が書かれていた。

「直人へ、

私はこの家を離れることにしました。これまでの時間、そして金婚式の日を共に過ごしたことに感謝します。しかし、私にはもう一度自分自身を見つめ直す必要があります。どうか理解してください。

私を探して、もう一度プロポーズしてください。私たちの関係をもう一度始めたいのです。

里美より」

里美は、竹に節目があるように、50年を一区切りとして新たなスタートを切りたかった。

老いという重い荷物をしよっていくためにどうしても確認したかったのだ。

直人の心はざわめき、思考が錯綜する。何をいまさらとも思った。しかし、彼はすぐに行動に移った。彼女の手がかりを求めて、家を飛び出し、彼女を探し始めた。

町中を彷徨い、彼女の足取りを追って。心配と期待が胸を揺さぶる。二人でよく行った図書館、近所の公園、コンビニ、スーパー。花火見物の河原。お花見の平和公園。けれど里美はいなかった。

「う～ん、どこだろう?」

いつもの花屋さんの前を通った。するとご主人が、

「さっき、桜のいっぱい植えてあるところに奥さんいらっしゃいましたよ」

と、教えてくれた。

「ありがとう」

小躍りしそうになる。

いい年のおじいさんが、スキップしてしまう。

「えへっ、はずい」

そして、彼女を見つけた時、胸が高鳴った。里美の姿が目に飛び込んできた。

結婚する前、桜の季節になるとよく二人で待ち合わせをしていた桜ばかりが植えてある小さな公園だった。

直人は、里美をないがしろにしたことはない。

だが、50年という年月はあまりにも長くお互いの姿が見えなくなるほど、霧に包まれてしまっていた。

「里美！」

直人は叫び声を上げ、彼女の元へ駆け寄った。彼女の目には涙が浮かんでいたが、その中にも決意が光っていた。

「もう一度、結婚を約束しよう」

「ありがとう、直人。わがままでごめんなさい」

「いや、とっても大切なことだと思うよ。みつかってよかった～♡」

「はい」

「一緒のお墓に入ろうな」

「はい、喜んで。よろしくおねがいします」

「里美は俺のソウルメイト」

直人はそう言った。そして、二人の心は再び一つになり、新たな始まりを迎えたのだった。

「年を取ったら、縁側でお茶を飲もうって約束したんだよな」

「はい、楽しみに待っていました」


夫婦鏡の詩

夫婦鏡に映る二つの顔
違うけれど、愛しさに満ちて

一つの鏡の中に
ふたりの過去が重なる

時の流れを感じながら
手をつなぎ、共に歩んでゆく

笑顔と涙、喜びと悲しみ
共有する喜びがある

夫の強さ、妻の優しさ
互いを補い、支え合う

たとえ時が過ぎても
夫婦鏡の中で、愛は輝く

永遠に続く絆を胸に
ふたりは共に歩むのだ

夫婦鏡の中に映る
愛と幸せの物語


二人が結婚した年のヒット曲を二人だけの詩でつづります。

愛情の温かさが、夫婦の心を包み込みます。喜びや幸せ、そして時には悲しみにも満ちた感情が、二人の心を豊かに彩ります。夫の優しさや妻の理解、それぞれの支え合いが、絆を深めていきます。そして、その絆が深まるにつれて、喜びや幸せがより一層強く感じられるのです。