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亮平 35
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鈴音は俺の目の前で気絶してしまった。まさか鈴音が気を失ってしまうとは思いもしなかった俺はパニックになった。
「鈴音!鈴音!」
揺さぶっても無反応だ。
「くそっ!」
鈴音を支えたまま川口の部屋の鍵をしめると俺は鈴音を抱き抱えた。
軽い…。なんて軽いんだ。ただでさえ痩せていたのに、川口と連絡が取れなくなってしまったことで鈴音は更に痩せてしまっていた。許せない…!鈴音をこんな目に遭わせた川口を…!
鈴音を抱き抱え、マンションに向かいながら俺は川口に対する怒りを募らせた―。
****
「う…」
気を失った鈴音を部屋に連れ帰り、ベッドに寝かせて様子を見ていると鈴音が小さなうめき声を上げた。
「鈴音、気がついたのか?!」
「え…?亮平…?」
鈴音がぼんやりと目を開けて俺を見た。
「良かった…突然川口の部屋で気を失ったから驚いてお前のマンションへ連れてきたんだよ」
「あ…」
すると再び、鈴音が顔を覆って声を殺しながら泣く。頼む…鈴音。頼むからそんな悲しげに泣かないでくれ。お前がそんな泣き方をしているのを見ると俺まで悲しくなってしまう。
「鈴音…無理するな。泣きたいなら…思い切り声を上げて泣いたほうがいい」
しかし、それでも鈴音は声を殺して泣き続けた―。
結局その後、俺は鈴音が心配だったけどマンションを出ることにした。何故なら鈴音が意識を失っている間にホテルに宿泊の予約を入れていたからだ。鈴音はこの部屋に泊まっていけばいいと言ったけど…。
もう俺は鈴音と一晩一緒に過ごして、冷静でいられる自身が無かった。いくら鈴音が失恋して心に傷を負っている今でも、俺は鈴音に対する気持ちが押さえられない。
無理矢理にでも傷心の鈴音を奪ってしまうかもしれない。そんな事だけは絶対にしたくはなかったからだ。
俺は部屋を出る時に鈴音に言った。取り敢えず川口に連絡を入れるようにと。それなのに…。
「い、嫌…」
鈴音は頭を振った。
「え?何が嫌なんだ?お前このままにしておくつもりなのか?」
「だ、だけど…連絡が取れても取れなくても…辛いもの…」
その言葉に俺は一瞬頭に血が登ってしまった。
「鈴音!お前…本当にそれでいいのかよっ?!言っておくが俺はこんな終わり方は納得しないからな?!でなきゃ俺は一体何の為に…!」
「え?亮平…今何言いかけたの?」
鈴音が不思議そうに首を傾げる。しまった…余計なことまで口に出してしまった。俺はそのことには答えずに、俺に任せろと言って部屋を出た。
そうだ、きっと鈴音のことだ。川口と連絡を取ることは無いだろう。だから俺が連絡を入れる。
****
ビジネスホテルに到着した俺は早速川口のスマホに電話を入れた。時刻はもうすぐ日付が変わる時間だったが、そんな事構ってられるか。第一…連絡が取れるとも思えなかった。
ピッ…
俺は川口の番号をタップした
すると…。
トゥルルルルル…
電話の呼び出し音が鳴った。回線は繋がった!だが…川口が出るかどうかが問題だった。
しかし、3コール目で応答があった。
「もしもし…」
川口の声だ。
「お前…鈴音に何てことしてくれたんだよっ!」
川口が電話に出るや否や…俺はアイツを怒鳴りつけていた。
『ごめん…分かっている。だけど、電話くれて良かった…。実は待っていたんだよ』
「え…?」
川口は自分の身に何が起こったか静かに語り始めた。
そして、この日の夜から…俺が鈴音に嘘を付く日々が始まった。
鈴音、これからお前に嘘をつくことを許してくれ…。
だけど、全て…お前の為なんだ。
俺は心の中で鈴音に謝罪した―。
「鈴音!鈴音!」
揺さぶっても無反応だ。
「くそっ!」
鈴音を支えたまま川口の部屋の鍵をしめると俺は鈴音を抱き抱えた。
軽い…。なんて軽いんだ。ただでさえ痩せていたのに、川口と連絡が取れなくなってしまったことで鈴音は更に痩せてしまっていた。許せない…!鈴音をこんな目に遭わせた川口を…!
鈴音を抱き抱え、マンションに向かいながら俺は川口に対する怒りを募らせた―。
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「う…」
気を失った鈴音を部屋に連れ帰り、ベッドに寝かせて様子を見ていると鈴音が小さなうめき声を上げた。
「鈴音、気がついたのか?!」
「え…?亮平…?」
鈴音がぼんやりと目を開けて俺を見た。
「良かった…突然川口の部屋で気を失ったから驚いてお前のマンションへ連れてきたんだよ」
「あ…」
すると再び、鈴音が顔を覆って声を殺しながら泣く。頼む…鈴音。頼むからそんな悲しげに泣かないでくれ。お前がそんな泣き方をしているのを見ると俺まで悲しくなってしまう。
「鈴音…無理するな。泣きたいなら…思い切り声を上げて泣いたほうがいい」
しかし、それでも鈴音は声を殺して泣き続けた―。
結局その後、俺は鈴音が心配だったけどマンションを出ることにした。何故なら鈴音が意識を失っている間にホテルに宿泊の予約を入れていたからだ。鈴音はこの部屋に泊まっていけばいいと言ったけど…。
もう俺は鈴音と一晩一緒に過ごして、冷静でいられる自身が無かった。いくら鈴音が失恋して心に傷を負っている今でも、俺は鈴音に対する気持ちが押さえられない。
無理矢理にでも傷心の鈴音を奪ってしまうかもしれない。そんな事だけは絶対にしたくはなかったからだ。
俺は部屋を出る時に鈴音に言った。取り敢えず川口に連絡を入れるようにと。それなのに…。
「い、嫌…」
鈴音は頭を振った。
「え?何が嫌なんだ?お前このままにしておくつもりなのか?」
「だ、だけど…連絡が取れても取れなくても…辛いもの…」
その言葉に俺は一瞬頭に血が登ってしまった。
「鈴音!お前…本当にそれでいいのかよっ?!言っておくが俺はこんな終わり方は納得しないからな?!でなきゃ俺は一体何の為に…!」
「え?亮平…今何言いかけたの?」
鈴音が不思議そうに首を傾げる。しまった…余計なことまで口に出してしまった。俺はそのことには答えずに、俺に任せろと言って部屋を出た。
そうだ、きっと鈴音のことだ。川口と連絡を取ることは無いだろう。だから俺が連絡を入れる。
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ビジネスホテルに到着した俺は早速川口のスマホに電話を入れた。時刻はもうすぐ日付が変わる時間だったが、そんな事構ってられるか。第一…連絡が取れるとも思えなかった。
ピッ…
俺は川口の番号をタップした
すると…。
トゥルルルルル…
電話の呼び出し音が鳴った。回線は繋がった!だが…川口が出るかどうかが問題だった。
しかし、3コール目で応答があった。
「もしもし…」
川口の声だ。
「お前…鈴音に何てことしてくれたんだよっ!」
川口が電話に出るや否や…俺はアイツを怒鳴りつけていた。
『ごめん…分かっている。だけど、電話くれて良かった…。実は待っていたんだよ』
「え…?」
川口は自分の身に何が起こったか静かに語り始めた。
そして、この日の夜から…俺が鈴音に嘘を付く日々が始まった。
鈴音、これからお前に嘘をつくことを許してくれ…。
だけど、全て…お前の為なんだ。
俺は心の中で鈴音に謝罪した―。
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