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川口直人 15
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俺は加藤さんにすみれと別れた経緯を全て話した。加藤さんは神妙そうな面持ちで話を聞いてくれていた。
その時、ある考えが起こった。不思議なことに、何故ここまで加藤さんに強く惹かれてしまうのかは分からないけれど…もっと欲を言えば、ただのご近所さんでは終わりたくない。出来れば友人以上の関係を彼女と築きたい…と。
そこで俺は言った。
「…だからさ、あんな電話気にする事無いんだ。もうすみれとは終わった話だし。未練も何もない。むしろ今俺が気になる女性は…」
すると加藤さんが口を開いた。
「川口さん」
「な、何?」
何故だろう…?何だか嫌な予感がする。
「本当に相手の事が嫌だったらむしろ電話もメールも全て着信拒否するよね?だけど川口さんはそれをしていなかったんだよね?」
「あ…」
加藤さんは痛いところをついてくる。俺が着信拒否にしなかった理由…それはすみれがしつこい性格をしていたからだった。彼女の事だ。きっと俺が連絡手段を断ってしまえば、マンションに押しかけてくるか…最悪、会社に来てしまうかもしれない。それが嫌だったから連絡を絶たなかっただけなのに、加藤さんは逆に勘違いしてしまったのだ。ひょっとすると俺がまだ未練が残っているのではないかと…。
「もう一度だけすみれさんと会って話をしてみたらどうかな?そうすればお互いの気持ちが、はっきり分かるんじゃないの?余計なお世話かもしれないけど…」
そんな…すみれと会って話をする?俺は微塵もすみれに未練が残っていないのに…?けれどもこの際、すみれに連絡を入れて、完全に終わらるという方法もありかもしれない。だけど、その前に俺はどうしても加藤さんに尋ねたいことがあった。
「加藤さんはどうなの?」
「え?」
「好きなんじゃないの?あの幼馴染の事」
…どうか、出来れば否定して欲しい。
「うん、でも私はいいの。だって亮平はお姉ちゃんの彼氏で亮平はお姉ちゃんにしか興味が無いから。私はこの先もずっと亮平に告白するつもりは無いし、私の物になることは永遠に来ないって事は分かってるから…。このままでいいの」
分かってはいたけれど…いざ、本当に彼女の口から聞かされるとショックが大きい。
「何だ。否定はしないのかぁ…でも幼馴染は本当にそう思ってるのかな…」
少なくとも俺の目にはあの男は加藤さんに気がある用に思えてならなかった。
「何?」
「いや、本当に彼は加藤さんの事を何とも思っていないのかなって…」
「勿論…当然だよ…」
いい淀む加藤さん。相当自分に自信がないのだろうか?何故なんだ?彼女は…誰もが振り返るほどに綺麗な女性なのに。
「そう…でも分かったよ」
心のなかでため息を付きながら俺は言った。
「え?」
「すみれと…もう一度会って話してみるよ」
「うん。そうだね。うまくいくといいね」
そう言って加藤さんは笑った。…きっと彼女の中では俺がすみれとよりを戻す為に連絡を入れると思い込んでいるのだろう。
「あ~あ。そこまではっきり言われると…脈なしかぁ…」
酷く落ち込んだ気分になってくる。
「え?」
加藤さんは訳がわからないと言う感じで首を傾げた。この分だと…本当に俺の気持ちに気付いていないのだろうな…。
「ハハハ…何でもない。ごめんね。引き留めて。それじゃそろそろ帰ろうか?」
「うん、そうだね」
そうして俺と加藤さんはカフェを出た。
外はすっかり夕方になっていた―。
その時、ある考えが起こった。不思議なことに、何故ここまで加藤さんに強く惹かれてしまうのかは分からないけれど…もっと欲を言えば、ただのご近所さんでは終わりたくない。出来れば友人以上の関係を彼女と築きたい…と。
そこで俺は言った。
「…だからさ、あんな電話気にする事無いんだ。もうすみれとは終わった話だし。未練も何もない。むしろ今俺が気になる女性は…」
すると加藤さんが口を開いた。
「川口さん」
「な、何?」
何故だろう…?何だか嫌な予感がする。
「本当に相手の事が嫌だったらむしろ電話もメールも全て着信拒否するよね?だけど川口さんはそれをしていなかったんだよね?」
「あ…」
加藤さんは痛いところをついてくる。俺が着信拒否にしなかった理由…それはすみれがしつこい性格をしていたからだった。彼女の事だ。きっと俺が連絡手段を断ってしまえば、マンションに押しかけてくるか…最悪、会社に来てしまうかもしれない。それが嫌だったから連絡を絶たなかっただけなのに、加藤さんは逆に勘違いしてしまったのだ。ひょっとすると俺がまだ未練が残っているのではないかと…。
「もう一度だけすみれさんと会って話をしてみたらどうかな?そうすればお互いの気持ちが、はっきり分かるんじゃないの?余計なお世話かもしれないけど…」
そんな…すみれと会って話をする?俺は微塵もすみれに未練が残っていないのに…?けれどもこの際、すみれに連絡を入れて、完全に終わらるという方法もありかもしれない。だけど、その前に俺はどうしても加藤さんに尋ねたいことがあった。
「加藤さんはどうなの?」
「え?」
「好きなんじゃないの?あの幼馴染の事」
…どうか、出来れば否定して欲しい。
「うん、でも私はいいの。だって亮平はお姉ちゃんの彼氏で亮平はお姉ちゃんにしか興味が無いから。私はこの先もずっと亮平に告白するつもりは無いし、私の物になることは永遠に来ないって事は分かってるから…。このままでいいの」
分かってはいたけれど…いざ、本当に彼女の口から聞かされるとショックが大きい。
「何だ。否定はしないのかぁ…でも幼馴染は本当にそう思ってるのかな…」
少なくとも俺の目にはあの男は加藤さんに気がある用に思えてならなかった。
「何?」
「いや、本当に彼は加藤さんの事を何とも思っていないのかなって…」
「勿論…当然だよ…」
いい淀む加藤さん。相当自分に自信がないのだろうか?何故なんだ?彼女は…誰もが振り返るほどに綺麗な女性なのに。
「そう…でも分かったよ」
心のなかでため息を付きながら俺は言った。
「え?」
「すみれと…もう一度会って話してみるよ」
「うん。そうだね。うまくいくといいね」
そう言って加藤さんは笑った。…きっと彼女の中では俺がすみれとよりを戻す為に連絡を入れると思い込んでいるのだろう。
「あ~あ。そこまではっきり言われると…脈なしかぁ…」
酷く落ち込んだ気分になってくる。
「え?」
加藤さんは訳がわからないと言う感じで首を傾げた。この分だと…本当に俺の気持ちに気付いていないのだろうな…。
「ハハハ…何でもない。ごめんね。引き留めて。それじゃそろそろ帰ろうか?」
「うん、そうだね」
そうして俺と加藤さんはカフェを出た。
外はすっかり夕方になっていた―。
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