64 / 200
第2章 4 宮田教授との出会い 2
しおりを挟む
宮田教授の話に感動してしまった。
時を超えるなんて話は夢物語、SFの世界でしかありえないと笑い飛ばされるかと思っていたのに、共感してもらえるとは夢にも思わなかった。
「とても嬉しいです…ありがとうございます…」
お礼を述べると、宮田教授はじっとこちらを見つめながら尋ねてきた。
「ところで…上野君。普通の人ならば、まず時を超えたいなんて考える人は滅多にいないだろう。そんなのは不可能だと初めから分り切っているからね。だが…君はそうではない。ひょっとすると…時を超える糸口でも見つけているんじゃないのかい?」
いきなり核心をついた話をしてきた。
「え?そ、それは…」
まさか…宮田教授もアレを知っているのだろうか?背中から冷や汗が流れ出る。
「君のその様子…やっぱり、知っているんだね?あの神社の話を…」
「!」
やはり…宮田教授は秘密に気付いていたのだ。
『時巡神社』には時間の空間を歪めることが出来ると言う事実を―。
****
この町には、人々からまるで忘れられてしまったかのように存在している小さな神社がある。宮司は駐在しておらず、誰が管理しているかも全く不明だ。
ここで暮らす人々の中では、ひょっとするとこの場所に神社があることすら気付いていない人もいるかもしれない。
『時巡神社』
それがこの神社の名前だった―。
「宮田教授も…ご存じだったのですね…?」
「ああ、まぁね…。それでどうだろう?今からその神社に行ってみないか?」
「え?今からですか?」
「そうだよ。神社に行く道すがら…色々話をしようじゃないか?」
「…はい」
こうして俺は宮田教授と一緒に『時巡神社』へ行くことになった―。
****
「中野君、ところで君は何故あの神社の秘密を知ったんだい?」
宮田教授が助手席に座る俺に声を掛けてきた。
「はい。俺はコンビニでバイトをしているんですけど、以前あの神社の近くに配達を頼まれて行ったことがあるんですよ。そうしたら、この辺りでは珍しい林を見つけました」
「そうだね。あの付近は開発が遅れているのかは知らないが、何故かいまだに自然が多く残されているね」
ハンドルを握りながら宮田教授が頷いた。
「それで不思議に思って林の奥を覗いてみると、奥へ続く石畳を目にしたので何故かその先へ行ってみたくなったんですよ」
「ふむ…それはひょっとすると何かに呼ばれたのかもしれないな」
「ええ、俺も今ではそう思っています。そして少し進んでいくと…赤い大きな鳥居があるのを見て驚きました。まさか神社があるとは思いもしていませんでしたから。そして神社の入り口に古びた木の看板を見つけました。看板には『時巡神社』と書かれていました。そこで思ったんです。ひょっとするとこの神社は…時を司る神様が祭られているんじゃないかと」
そう、そこで俺は…ほんの一瞬ではあったが、不思議な体験をした。
その体験がきっかけで、俺は時を超える方法を本格的に探すことに決めたのだから。
茜色に染まりかけた空を車の窓から俺はじっと見つめ、その時の記憶を思い出していた―。
時を超えるなんて話は夢物語、SFの世界でしかありえないと笑い飛ばされるかと思っていたのに、共感してもらえるとは夢にも思わなかった。
「とても嬉しいです…ありがとうございます…」
お礼を述べると、宮田教授はじっとこちらを見つめながら尋ねてきた。
「ところで…上野君。普通の人ならば、まず時を超えたいなんて考える人は滅多にいないだろう。そんなのは不可能だと初めから分り切っているからね。だが…君はそうではない。ひょっとすると…時を超える糸口でも見つけているんじゃないのかい?」
いきなり核心をついた話をしてきた。
「え?そ、それは…」
まさか…宮田教授もアレを知っているのだろうか?背中から冷や汗が流れ出る。
「君のその様子…やっぱり、知っているんだね?あの神社の話を…」
「!」
やはり…宮田教授は秘密に気付いていたのだ。
『時巡神社』には時間の空間を歪めることが出来ると言う事実を―。
****
この町には、人々からまるで忘れられてしまったかのように存在している小さな神社がある。宮司は駐在しておらず、誰が管理しているかも全く不明だ。
ここで暮らす人々の中では、ひょっとするとこの場所に神社があることすら気付いていない人もいるかもしれない。
『時巡神社』
それがこの神社の名前だった―。
「宮田教授も…ご存じだったのですね…?」
「ああ、まぁね…。それでどうだろう?今からその神社に行ってみないか?」
「え?今からですか?」
「そうだよ。神社に行く道すがら…色々話をしようじゃないか?」
「…はい」
こうして俺は宮田教授と一緒に『時巡神社』へ行くことになった―。
****
「中野君、ところで君は何故あの神社の秘密を知ったんだい?」
宮田教授が助手席に座る俺に声を掛けてきた。
「はい。俺はコンビニでバイトをしているんですけど、以前あの神社の近くに配達を頼まれて行ったことがあるんですよ。そうしたら、この辺りでは珍しい林を見つけました」
「そうだね。あの付近は開発が遅れているのかは知らないが、何故かいまだに自然が多く残されているね」
ハンドルを握りながら宮田教授が頷いた。
「それで不思議に思って林の奥を覗いてみると、奥へ続く石畳を目にしたので何故かその先へ行ってみたくなったんですよ」
「ふむ…それはひょっとすると何かに呼ばれたのかもしれないな」
「ええ、俺も今ではそう思っています。そして少し進んでいくと…赤い大きな鳥居があるのを見て驚きました。まさか神社があるとは思いもしていませんでしたから。そして神社の入り口に古びた木の看板を見つけました。看板には『時巡神社』と書かれていました。そこで思ったんです。ひょっとするとこの神社は…時を司る神様が祭られているんじゃないかと」
そう、そこで俺は…ほんの一瞬ではあったが、不思議な体験をした。
その体験がきっかけで、俺は時を超える方法を本格的に探すことに決めたのだから。
茜色に染まりかけた空を車の窓から俺はじっと見つめ、その時の記憶を思い出していた―。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
71
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる