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第2章 16  磁場発生装置第2弾

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 最初のタイムトラベルから半月程の時間が流れた。
教授はあれからずっと大学の講義の合間を縫って、磁場発生装置の改良を行っていた。
そして俺は教授のアシスタントをしながら、次のタイムトラベルの時に自分がどのような行動を取ればよいか、計画を立てていた。


 そんなある日―。

「おはようございます」

いつものように出勤し、研究室のドアを開けた瞬間教授の歓喜の声が上がった。

「上野っ!聞いて喜べっ!ついに磁場発生装置第2弾が完成したぞっ!」

「ええっ?!ほ、本当ですかっ?!」

慌てて椅子に座ってこちらを向いている教授のもとへ駆け寄った。

「ああ。そうだ。これが品質改良を行った磁場発生装置第2弾だっ!」

教授の机の上には以前よりも小型化した、まるで腕時計のようなものが置かれている。

「教授、これが新しい磁場発生装置ですか?」

「ああ、そうだ。どうだ?今度は以前よりもずっと小型になり、しかも見た目は液晶腕時計にしか見えないだろう?しかし今度の磁場発生装置第2弾は格段に性能が違うぞ?かなり元の世界とのずれが生じたとしても、必ず戻ってくるときにはこの世界に戻って来れる。座標がずれないように設定出来るのだ」

教授は自慢げに言う。

「そうですか。ネーミングのセンスは置いておいて、とりあえずこの間使用した磁場発生装置よりはもっと性能がパワーアップしたということでうね?」

興奮気味に俺は尋ねた。

「ああ、そうだ。早速明日からでも使えるぞ?」

「なら、今日…今日早速タイムトラベルをさせて下さいっ!」



教授が俺の言葉に目を見開いたのは…いうまでも無かった―。



****


 それから3時間後―

俺は1人、『時巡り神社』にやってきていた。
教授は本日は午前も午後も講義の時間が入っているので大学を留守にすることが出来なかったからだ。

「ふぅ…」

緊張をほぐす為にため息をついた。

俺の背中には大きなリュックが背負われている。このリュックの中には15年前の世界に戻った際に、生活していく上での必要なものが全て入っているのだ。

とりあえず、今度のタイムトラベルは1カ月。本当はもっと長い時間滞在したかったが、教授に固く止められている。

俺はあの事件発生前の1カ月前に遡り…まずは何としてでも彩花と親しい関係になる。
本当は恋人同士になりたいのが理想ではあったが、幾ら何でもたったの1カ月では恋人関係になるには難しいだろう。

何…。

別に焦って恋人関係にまで至らなくてもいい。
一番大事なのは6月9日に起こる惨劇を食い止めることが肝心なのだ。
彩花と恋人同士になるには…6月9日を無事に終えることが出来た後で十分なのだから。


「よし…では行くか。15年前の5月9日へ…」

そして俺は腕にはめた『磁場発生装置』を15年前の5月9日に合せると、スイッチを入れた。

途端に周囲に立ち込める霧…。

彩花、待っていてくれ。

今度は必ずお前を助けるから…。


そして俺は鳥居を潜り抜け…15年前の世界へと還っていった―。
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