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第2章 17 仮住まい
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濃い霧が立ち込める中、鳥居をくぐり抜けて外に出ると…そこは15年前の世界だった。
「また…ここに戻ってきたな…。彩花…今度こそお前を助けてやるからな…」
リュックサックを背負い直すと、すぐに俺は不動産会社を目指した。
まずはマンスリーマンションを賃貸契約する為に―。
「ありがとうございました」
不動産の店員に見送られ、店を出た。
ポケットの中には先程借りてきたばかりのマンションの鍵が入っている。
俺が借りたマンスリーマンションは彩花と子供時代の俺が短い期間暮らしていたあの古ぼけたアパートの目と鼻の先にあった。
「ここだな…」
マンションに辿り着いた俺は鍵を握りしめながらその建物を見上げた。
鉄筋コンクリートの5階建てのマンション。そこの1階を借りたのだ。
道路を挟んだ斜め向かい側…空き地のような駐車場の奥にはあのアパートが建っている。
「よし、ここならあのアパートから近いな。何かあってもすぐに駆けつけることが出来る」
そうだ、今度のタイムトラベルで俺は彩花を救い…彼女と恋人関係になるのだ。前回のタイムトラベルでは期間がたった2日ということと、自分に対するおごりがあったのだ。
だから…失敗してしまった。
彩花の信頼を得るどころか怖がらせてしまい、近づくことすら出来なかった。
俺は…もうこの間の二の舞いは踏むものか。
「16時半か…」
腕時計を確認すると彩花が仕事から帰宅するまでにはまだ最低でも2時間はある。
「よし、取り敢えずマンションに入って荷造りをするか」
俺は早速自分の仮住まいである部屋…103号室を目指した―。
****
「へぇ~中々良いマンションじゃないか」
間取りは偶然にも現在俺が暮らしているマンションによく似ていた。ロフトがついた1Kのマンション。家具も家電も全て揃っており、1ヶ月の家賃は12万5千円。
少々割高ではあるが、この際文句は言えない。
何しろ仮住まいで、しかも彩花の住むアパートの目と鼻の先に等しいのだから。
早速持ってきた衣類を備え付けのクローゼットにしまいながら今後の予定を考えた。
この頃、彩花と俺はすでに食事をごちそうになっている間柄だった。それにあいつは丁度工事現場で日雇いの仕事をしていたから朝まで帰って来ることは無かった。
「思えば…彩花と過ごした中で一番幸せな時期だったかもしれないな…。そうだ、俺の様子でも見に行ってみるか」
自分で自分の様子を見に行く…と言うのも妙な話だが、ひょっとすると先に子供時代の俺を手なずけて?おいたほうがいいかもしれない。
「よし、作戦変更だ。まずは俺の所へ行ってみよう」
そして俺は玄関へ向かった―。
「また…ここに戻ってきたな…。彩花…今度こそお前を助けてやるからな…」
リュックサックを背負い直すと、すぐに俺は不動産会社を目指した。
まずはマンスリーマンションを賃貸契約する為に―。
「ありがとうございました」
不動産の店員に見送られ、店を出た。
ポケットの中には先程借りてきたばかりのマンションの鍵が入っている。
俺が借りたマンスリーマンションは彩花と子供時代の俺が短い期間暮らしていたあの古ぼけたアパートの目と鼻の先にあった。
「ここだな…」
マンションに辿り着いた俺は鍵を握りしめながらその建物を見上げた。
鉄筋コンクリートの5階建てのマンション。そこの1階を借りたのだ。
道路を挟んだ斜め向かい側…空き地のような駐車場の奥にはあのアパートが建っている。
「よし、ここならあのアパートから近いな。何かあってもすぐに駆けつけることが出来る」
そうだ、今度のタイムトラベルで俺は彩花を救い…彼女と恋人関係になるのだ。前回のタイムトラベルでは期間がたった2日ということと、自分に対するおごりがあったのだ。
だから…失敗してしまった。
彩花の信頼を得るどころか怖がらせてしまい、近づくことすら出来なかった。
俺は…もうこの間の二の舞いは踏むものか。
「16時半か…」
腕時計を確認すると彩花が仕事から帰宅するまでにはまだ最低でも2時間はある。
「よし、取り敢えずマンションに入って荷造りをするか」
俺は早速自分の仮住まいである部屋…103号室を目指した―。
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「へぇ~中々良いマンションじゃないか」
間取りは偶然にも現在俺が暮らしているマンションによく似ていた。ロフトがついた1Kのマンション。家具も家電も全て揃っており、1ヶ月の家賃は12万5千円。
少々割高ではあるが、この際文句は言えない。
何しろ仮住まいで、しかも彩花の住むアパートの目と鼻の先に等しいのだから。
早速持ってきた衣類を備え付けのクローゼットにしまいながら今後の予定を考えた。
この頃、彩花と俺はすでに食事をごちそうになっている間柄だった。それにあいつは丁度工事現場で日雇いの仕事をしていたから朝まで帰って来ることは無かった。
「思えば…彩花と過ごした中で一番幸せな時期だったかもしれないな…。そうだ、俺の様子でも見に行ってみるか」
自分で自分の様子を見に行く…と言うのも妙な話だが、ひょっとすると先に子供時代の俺を手なずけて?おいたほうがいいかもしれない。
「よし、作戦変更だ。まずは俺の所へ行ってみよう」
そして俺は玄関へ向かった―。
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