89 / 200
第2章 29 新たな策
しおりを挟む
教授の言うことは尤もだ。
そうだ…彩花は何故か強い運命に引き寄せられるかのように、6月9日に殺されている。彼女が殺される運命を知っているのは俺と、教授だけだ。
だが実際に行動できるのは俺だけ。
「俺が…しっかりしないと…彩花は…」
「そうだ、彼女を何としても助けたいなら、冷静になれ。そうでなければ又同じ失敗を繰り返すことになる」
「…分かりました…冷静になります…」
深呼吸すると教授を見た。
「教授、次のタイムトラベル…明日にでも行きたいのですが」
「明日か…。まぁ今から磁場発生装置を充電しておけば明日にはフルになるだろう。それで今度はどうする?」
教授は腕組みすると俺を見た。
「はい、教授はおっしゃいましたよね?タイムトラベル先で滞在できるのは最大でも2ヶ月程度にしろと」
「ああ、そうだ。あまり長い時間いると、お前というイレギュラーな存在によって
未来が大きく改変されてしまう可能性もあるからな。なるべくお前は南彩花の周辺以外とは関わらないように行動する必要がある」
「…分かりました。そこで無理を承知でお願いします。3月30日にタイムトラベルをさせて下さい」
教授に頭を下げて頼んだ。
「上野…お前、それでは2ヶ月以上滞在することになってしまうぞ?それはあまりに危険だ。認められん」
首を振る教授。
「お願いですっ!そこを何とか…あ、ではこういうのはどうですか?時々、こちらの世界に戻って2ヶ月以上滞在歴を作らないようにするんです。…どうですか?教授」
「うむ…そうなると中々厄介だぞ…戻る座標軸の時間を過去でも設定しなくてはならない…。何故なら同じ時間が流れる過去に戻っていかねばならんのだからな…」
「…難しいでしょうか…?」
すると教授はニヤリと笑った。
「馬鹿を言うな?私は…過去に戻る方法を発見した天才だぞ?見くびってもらっては困る」
「なら…?」
「ああ、何とかやってみよう。よし、それじゃ私は引き続きここで磁場発生装置の調整を行う。今日は終いだ。お前はもう帰れ。帰って…明日の対策でも考えておけ」
「はい、分かりました」
棚の上に置いたリュックを背負うと、教授に声を掛けた。
「では、明日…宜しくお願いします」
「ああ、分かった」
「失礼します」
バタン…
扉を閉めると研究室を後にした。
家に向かいながら、今後の俺の取るべき行動を考えた。
彩花…今度お前に会う時は、俺はお前と恋人同士になって…必ずお前の命を救ってやるからな。
大丈夫、今度こそ成功させて見せる。
この時の俺はまだ何処か楽観視していた。
彩花が逃れられない死の運命という鎖に縛り付けられていたということに―。
そうだ…彩花は何故か強い運命に引き寄せられるかのように、6月9日に殺されている。彼女が殺される運命を知っているのは俺と、教授だけだ。
だが実際に行動できるのは俺だけ。
「俺が…しっかりしないと…彩花は…」
「そうだ、彼女を何としても助けたいなら、冷静になれ。そうでなければ又同じ失敗を繰り返すことになる」
「…分かりました…冷静になります…」
深呼吸すると教授を見た。
「教授、次のタイムトラベル…明日にでも行きたいのですが」
「明日か…。まぁ今から磁場発生装置を充電しておけば明日にはフルになるだろう。それで今度はどうする?」
教授は腕組みすると俺を見た。
「はい、教授はおっしゃいましたよね?タイムトラベル先で滞在できるのは最大でも2ヶ月程度にしろと」
「ああ、そうだ。あまり長い時間いると、お前というイレギュラーな存在によって
未来が大きく改変されてしまう可能性もあるからな。なるべくお前は南彩花の周辺以外とは関わらないように行動する必要がある」
「…分かりました。そこで無理を承知でお願いします。3月30日にタイムトラベルをさせて下さい」
教授に頭を下げて頼んだ。
「上野…お前、それでは2ヶ月以上滞在することになってしまうぞ?それはあまりに危険だ。認められん」
首を振る教授。
「お願いですっ!そこを何とか…あ、ではこういうのはどうですか?時々、こちらの世界に戻って2ヶ月以上滞在歴を作らないようにするんです。…どうですか?教授」
「うむ…そうなると中々厄介だぞ…戻る座標軸の時間を過去でも設定しなくてはならない…。何故なら同じ時間が流れる過去に戻っていかねばならんのだからな…」
「…難しいでしょうか…?」
すると教授はニヤリと笑った。
「馬鹿を言うな?私は…過去に戻る方法を発見した天才だぞ?見くびってもらっては困る」
「なら…?」
「ああ、何とかやってみよう。よし、それじゃ私は引き続きここで磁場発生装置の調整を行う。今日は終いだ。お前はもう帰れ。帰って…明日の対策でも考えておけ」
「はい、分かりました」
棚の上に置いたリュックを背負うと、教授に声を掛けた。
「では、明日…宜しくお願いします」
「ああ、分かった」
「失礼します」
バタン…
扉を閉めると研究室を後にした。
家に向かいながら、今後の俺の取るべき行動を考えた。
彩花…今度お前に会う時は、俺はお前と恋人同士になって…必ずお前の命を救ってやるからな。
大丈夫、今度こそ成功させて見せる。
この時の俺はまだ何処か楽観視していた。
彩花が逃れられない死の運命という鎖に縛り付けられていたということに―。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
71
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる