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第2章 71 彩花からの申し出

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 2人でその後も公園で話をしていると、不意に俺のスマホが鳴り響いた。

「あ、すみません。ちょっと出ますね」

「はい、どうぞ」

彩花に断りを入れながら、内心緊張していた。
この時代の俺のスマホの番号を知っているのは警察くらいだ。
着信相手を見ると、当然知らない番号で末尾が0110になっている。

末尾が0110ということは…やはり警察からに違いない。
何かあったのだろうか……?

緊張する面持ちでスマホをタップすると電話に出た。

ピッ

「はい、もしもし……」

受話器越しから聞こえてきた電話は‥‥…やはり予想通り警察からの電話だった―。


**

「はい、分かりました。いえ、大丈夫です。どうもありがとうございます。失礼致します……」

ピッ

電話を切るとため息が漏れてしまった。

「ふぅ……」

すると、彩花が心配そうに声を掛けてきた。

「あの…上条さん、どうかしましたか?」

「いえ、今の電話警察からだったのですが…1時間程前に卓也が児童相談所に引き取られていったそうです。」

「そうだったのですか?」

「ええ。あの、卓也のことが心配なので今電話を掛けてもいいですか?」

「はい、どうぞ」

彩花の許可を貰ったので、早速スマホで番号を検索すると、電話を掛けた。


トゥルルルルル‥‥
トゥルルルルル‥‥

何回目かのコール音で電話が繋がった。

『はい、児童養護施設こども園です』

男性職員の声が受話器越しから聞こえて来た。

「すみません。警察から連絡があったと思うのですが、僕は上条拓也と言う者です。今回上野卓也君の件で警察に通報した者です。先ほど、卓也君がそちらに引き取られていったと連絡を頂いたので、電話を掛けさせていただきました」

『はい、警察からはお話を伺っております。それで、卓也君が貴方にお礼を言いたいそうなのですが……」

「そうですか?なら今から伺ってもいいでしょうか?」

『え?ええ…‥こちらは構いませんが、宜しいのですか?』

「はい、大丈夫です。直接顔を見て話がしたいので。今から伺います。恐らく1時間以内には行けると思います」

『はい、ではお待ちしております』

俺は電話を切ると彩花を見た。

「すみません、南さん。俺は今から児童相談所に行ってきます」

本当はもっと彩花と話がしたかったけれども、俺は自分自身のことも気がかりだった。やはり電話越しではなく、きちんと顔を見て話がしたかった。

「ええ。電話の内容で何となくそんな気がしていました。それで‥‥」

すると、彩花の口から意外な台詞が飛び出した。

「あの、私も一緒について行ってもいいでしょうか?どうしてもたっくんのことが気になって……ご迷惑でなければですが…‥」

「な、何言ってるんですか?迷惑なんてとんでも無いですよ。きっと卓也も喜ぶと思います。それでは今からでも大丈夫でしょうか?」

「ええ、大丈夫です」

「良かった……それじゃ今から行きましょう」

彩花ともっと一緒にいられる……そう思うと顔が緩みそうになってしまう。
でも駄目だ、もっと緊張感のある顔つきをしないと。

俺は自分自身に心の中で言い聞かせた――。

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