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第2章 90 2人で初めて飲むビール
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風呂から上がると彩花はスマホを眺めていた。
気のせいだろうか?何故か彩花の顔色は青ざめて見えた。
「彩花」
「え?あ!」
声を掛けると、彩花は驚いた様子で顔を上げた。
「どうかしたのか?」
「ううん、何でも無いよ。お風呂あがったんだね?」
何故か彩花はスマホを隠すように足元に置いた。
「ああ、たった今あがったよ。そうだ、彩花はお酒飲んだりするのか?」
すると彩花は俺の言葉に少し小首を傾けた。
「う~ん……。たまには飲むかな?」
そうか、彩花はお酒を飲むのか。これは良い情報だ。
「なら、ビールは飲めるか?丁度缶ビールが2缶冷えてるんだ」
「ビール?美味しそうだね。頂いていいのかな?」
「勿論だ。いつもは1人で飲んでるけど、たまには誰かと飲みたいって思っていたんだ」
さりげなく、特に親しい者はいないことをアピールする。そうすれば俺にとって自分は貴重な存在なのだと彩花が意識してくれないだろうか?
「そうなの?それじゃ私は拓哉さんの数少ない知り合いってことになるね?」
案の定、彩花は俺の思っていた通りのことを考えてくれていた。
子供の頃から大人の顔色を窺って暮らす日常を送っていた為、お陰でどんな言葉を掛ければ相手が喜んでくれるかは分かるようになっていたのだ。
「よし、それじゃ待っててくれ。今持っていくから」
「うん」
彩花の返事を聞くと、狭いキッチンから備え付けの小さな冷蔵庫から缶ビールを取り出し、部屋へ運んだ。
「はい、どうぞ」
トンと彩花の前に缶ビールを置く。
「ありがとう、うわ~本物の生ビールだ。発泡酒じゃないんだね?」
「そうだけど?何?あまり彩花はビールは飲まないのか?」
「う、うん。大体飲むときは安い発泡酒ばかりだよ。ごめんね、貧乏くさい話して」
彩花は恥ずかしそうに笑った。
「そんなことあるものか。彩花は節約しながら毎日頑張っているんだろう。別に貧乏くさい話だからって恥じることは無いさ」
「拓也さん……」
「よし、それじゃ2人で乾杯しよう」
プシュッとプルタブを開けながら声を掛けた。
「うん」
彩花もプルタブを開けると、嬉しそうに笑った。
「「乾杯」」
そして2人で缶ビールをカツンと鳴らし、この夜初めて一緒にビールを飲んだ。
「おいし~。やっぱり生ビールは美味しいね」
ビールを口にした彩花が話しかけて来た。
「そうだろう?うまいよな?けど、ごめん。つまみが何もなくて……」
「そんなこと気にしないでよ。だって夜ご飯はもう食べてるんだから」
「そうか?何か悪いな?」
「大丈夫だってば」
笑いながら返事をする彩花はもう酔ってきたのか、頬に赤みが差し、スウェットから覗くうなじも薄っすら赤くなっている。
もしかして…もう酔ってきたのか?今なら‥‥さっき、スマホで何を見ていたか尋ねたら教えてくれるだろうか?
「彩花。少し聞きたいことがあるんだけど……」
「何?」
「さっき、スマホで何見ていたんだ?」
すると、途端に彩花の顔が曇り‥‥無言で足元に置いておいたスマホを俺の前に置いた。それはまるで俺に見て貰いたいと言っているように感じた。
「見ても…いいのか?」
「うん…」
小さく頷く彩花。
そこで彩花のスマホを手に取り、タップすると……そこには椎名からのメッセージ画面が表示されていた――。
気のせいだろうか?何故か彩花の顔色は青ざめて見えた。
「彩花」
「え?あ!」
声を掛けると、彩花は驚いた様子で顔を上げた。
「どうかしたのか?」
「ううん、何でも無いよ。お風呂あがったんだね?」
何故か彩花はスマホを隠すように足元に置いた。
「ああ、たった今あがったよ。そうだ、彩花はお酒飲んだりするのか?」
すると彩花は俺の言葉に少し小首を傾けた。
「う~ん……。たまには飲むかな?」
そうか、彩花はお酒を飲むのか。これは良い情報だ。
「なら、ビールは飲めるか?丁度缶ビールが2缶冷えてるんだ」
「ビール?美味しそうだね。頂いていいのかな?」
「勿論だ。いつもは1人で飲んでるけど、たまには誰かと飲みたいって思っていたんだ」
さりげなく、特に親しい者はいないことをアピールする。そうすれば俺にとって自分は貴重な存在なのだと彩花が意識してくれないだろうか?
「そうなの?それじゃ私は拓哉さんの数少ない知り合いってことになるね?」
案の定、彩花は俺の思っていた通りのことを考えてくれていた。
子供の頃から大人の顔色を窺って暮らす日常を送っていた為、お陰でどんな言葉を掛ければ相手が喜んでくれるかは分かるようになっていたのだ。
「よし、それじゃ待っててくれ。今持っていくから」
「うん」
彩花の返事を聞くと、狭いキッチンから備え付けの小さな冷蔵庫から缶ビールを取り出し、部屋へ運んだ。
「はい、どうぞ」
トンと彩花の前に缶ビールを置く。
「ありがとう、うわ~本物の生ビールだ。発泡酒じゃないんだね?」
「そうだけど?何?あまり彩花はビールは飲まないのか?」
「う、うん。大体飲むときは安い発泡酒ばかりだよ。ごめんね、貧乏くさい話して」
彩花は恥ずかしそうに笑った。
「そんなことあるものか。彩花は節約しながら毎日頑張っているんだろう。別に貧乏くさい話だからって恥じることは無いさ」
「拓也さん……」
「よし、それじゃ2人で乾杯しよう」
プシュッとプルタブを開けながら声を掛けた。
「うん」
彩花もプルタブを開けると、嬉しそうに笑った。
「「乾杯」」
そして2人で缶ビールをカツンと鳴らし、この夜初めて一緒にビールを飲んだ。
「おいし~。やっぱり生ビールは美味しいね」
ビールを口にした彩花が話しかけて来た。
「そうだろう?うまいよな?けど、ごめん。つまみが何もなくて……」
「そんなこと気にしないでよ。だって夜ご飯はもう食べてるんだから」
「そうか?何か悪いな?」
「大丈夫だってば」
笑いながら返事をする彩花はもう酔ってきたのか、頬に赤みが差し、スウェットから覗くうなじも薄っすら赤くなっている。
もしかして…もう酔ってきたのか?今なら‥‥さっき、スマホで何を見ていたか尋ねたら教えてくれるだろうか?
「彩花。少し聞きたいことがあるんだけど……」
「何?」
「さっき、スマホで何見ていたんだ?」
すると、途端に彩花の顔が曇り‥‥無言で足元に置いておいたスマホを俺の前に置いた。それはまるで俺に見て貰いたいと言っているように感じた。
「見ても…いいのか?」
「うん…」
小さく頷く彩花。
そこで彩花のスマホを手に取り、タップすると……そこには椎名からのメッセージ画面が表示されていた――。
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