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第2章 89 忘れられなかった初恋
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彩花が風呂に入っている間に、地場発生装置とPCを繋いで現況確認をすることにした。
「今進んでいるルートが6月9日の彩花の死のラインに繋がっていなければいいんだけどな……」
ブツブツ呟きながら、マウスをカチカチと操作しながらPC画面のラインを追った。
すると今の段階では今までとは全く違ったラインが光って伸びている。
「これは…‥今までにないパターンだ。ひょっとすると、この世界で最も俺が彩花と親しくなれているからか……?」
このまま彩花の死のラインに向かっていかなければ、きっと彩花の死は免れるかもしれない。
俺は密かな希望を抱いた。
そうだ、きっと‥‥今度こそうまくいくはず……!
その時‥‥。
「拓也さん」
不意に声を掛けられ、顔を上げるとピンク色のスウェット姿の彩花が髪をタオルで拭きながら立っていた。
お風呂上がりの彩花‥‥始めて見る姿だ。
ピンク色のスウェットは小柄な彼女に良く似合っていた。とても可愛らしく……思わず凝視してしまった。
すると、顔を赤らめた彩花が視線をそらせながら話しかけて来た。
「あ、あの……お風呂ありがとう。拓哉さんもどうぞ」
「ああ、その前に……」
立ち上がると彩花に近付き、濡れた髪にそっと触れた。
「彩花……」
「な、何っ?!」
彩花が上ずった声で返事をする。
「髪、濡れたままだと風邪ひくかもしれない。ドライヤー使うといい」
「あ、あははは……。ド、ドライヤーだね?う、うん。借りようかなぁ……」
「ならもう一度風呂場に来いよ」
「うん」
俺は彩花を連れて風呂場に戻ると、脱衣所の棚からドライヤーを取り出すと手渡した。
「ほら、これ使って。コンセントは洗面台についてるから」
洗面台を指さした。
「あ、ありがとう。それじゃ借りるね」
顔を赤らめながら返事をする彩花。
「ああ、それじゃ俺は戻るから」
そして彩花を風呂場に残し、再び俺は部屋に戻った。
それから約10分後――
彩花が風呂場から戻って来た。
「お待たせ、拓哉さん」
今度の彩花はきちんと髪を乾かしていた。
「うん、ちゃんと乾いてるな。よし、それじゃ入って来るか。あ、そうだ。もし眠かったらベッドで寝ていてもいいからな?」
「そ、そんな……ベッドで寝ていてもいいって……」
彩花は顔を真っ赤にしている。
「大丈夫だって、彩花はそのベッドを使えばいい。俺はロフトの上で寝袋で寝るからさ」
天井を指さしながら説明した。
「あ、そっか‥‥。この部屋ってロフトがついているんだよね?おしゃれな部屋で素敵だね」
「そうか?さて、それじゃ俺も入って来るか」
立ち上がると、彩花を部屋に残して風呂場へと向かった――。
****
「ふ~……」
湯船につかり、濡れタオルを頭に乗せると風呂場の天井を眺めた。
過去に何人かの女性と交際したことはあった。
けれど、一度も自分の部屋に上げたことは無かった。大抵は外で会っていたか、女性の部屋にお邪魔していたかのどちらかだった。
それはやはり何処かで彩花のことが忘れられず、相手の女性に完全に心を許していなかったのかもしれない。
だから今まで女性と長く続かなかったのだろう。
「まさか、付き合ってもいない女性を部屋に上げるとはな……」
やっぱり、俺は彩花じゃないとダメなんだ。
15年たった今も‥‥初恋を引きずっていたんだ。
そして今、彼女と同じ年齢になった自分が同じ時間で生きているのだ。
俺には‥‥いや、俺達にはあまり時間は残されていない。最悪、6月9日で終わりを迎えてしまうかもしれない…まさに綱渡り状態なのだ。
「もっと彩花と親しい関係を築けるうようにしないとな……」
ザバッ!
お湯の音を立てながら風呂から上がると、ため息をついた――。
「今進んでいるルートが6月9日の彩花の死のラインに繋がっていなければいいんだけどな……」
ブツブツ呟きながら、マウスをカチカチと操作しながらPC画面のラインを追った。
すると今の段階では今までとは全く違ったラインが光って伸びている。
「これは…‥今までにないパターンだ。ひょっとすると、この世界で最も俺が彩花と親しくなれているからか……?」
このまま彩花の死のラインに向かっていかなければ、きっと彩花の死は免れるかもしれない。
俺は密かな希望を抱いた。
そうだ、きっと‥‥今度こそうまくいくはず……!
その時‥‥。
「拓也さん」
不意に声を掛けられ、顔を上げるとピンク色のスウェット姿の彩花が髪をタオルで拭きながら立っていた。
お風呂上がりの彩花‥‥始めて見る姿だ。
ピンク色のスウェットは小柄な彼女に良く似合っていた。とても可愛らしく……思わず凝視してしまった。
すると、顔を赤らめた彩花が視線をそらせながら話しかけて来た。
「あ、あの……お風呂ありがとう。拓哉さんもどうぞ」
「ああ、その前に……」
立ち上がると彩花に近付き、濡れた髪にそっと触れた。
「彩花……」
「な、何っ?!」
彩花が上ずった声で返事をする。
「髪、濡れたままだと風邪ひくかもしれない。ドライヤー使うといい」
「あ、あははは……。ド、ドライヤーだね?う、うん。借りようかなぁ……」
「ならもう一度風呂場に来いよ」
「うん」
俺は彩花を連れて風呂場に戻ると、脱衣所の棚からドライヤーを取り出すと手渡した。
「ほら、これ使って。コンセントは洗面台についてるから」
洗面台を指さした。
「あ、ありがとう。それじゃ借りるね」
顔を赤らめながら返事をする彩花。
「ああ、それじゃ俺は戻るから」
そして彩花を風呂場に残し、再び俺は部屋に戻った。
それから約10分後――
彩花が風呂場から戻って来た。
「お待たせ、拓哉さん」
今度の彩花はきちんと髪を乾かしていた。
「うん、ちゃんと乾いてるな。よし、それじゃ入って来るか。あ、そうだ。もし眠かったらベッドで寝ていてもいいからな?」
「そ、そんな……ベッドで寝ていてもいいって……」
彩花は顔を真っ赤にしている。
「大丈夫だって、彩花はそのベッドを使えばいい。俺はロフトの上で寝袋で寝るからさ」
天井を指さしながら説明した。
「あ、そっか‥‥。この部屋ってロフトがついているんだよね?おしゃれな部屋で素敵だね」
「そうか?さて、それじゃ俺も入って来るか」
立ち上がると、彩花を部屋に残して風呂場へと向かった――。
****
「ふ~……」
湯船につかり、濡れタオルを頭に乗せると風呂場の天井を眺めた。
過去に何人かの女性と交際したことはあった。
けれど、一度も自分の部屋に上げたことは無かった。大抵は外で会っていたか、女性の部屋にお邪魔していたかのどちらかだった。
それはやはり何処かで彩花のことが忘れられず、相手の女性に完全に心を許していなかったのかもしれない。
だから今まで女性と長く続かなかったのだろう。
「まさか、付き合ってもいない女性を部屋に上げるとはな……」
やっぱり、俺は彩花じゃないとダメなんだ。
15年たった今も‥‥初恋を引きずっていたんだ。
そして今、彼女と同じ年齢になった自分が同じ時間で生きているのだ。
俺には‥‥いや、俺達にはあまり時間は残されていない。最悪、6月9日で終わりを迎えてしまうかもしれない…まさに綱渡り状態なのだ。
「もっと彩花と親しい関係を築けるうようにしないとな……」
ザバッ!
お湯の音を立てながら風呂から上がると、ため息をついた――。
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