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7-6 オズワルドの陰謀、再び
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20時―
ゾーイはオズワルドにより、亡きランベールの執務室に呼び出されていた―。
「それで?お前はエルウィン様を怒らせてしまったのか?」
オズワルドは書斎机に向かって座り、イライラした様子で正面に立たせたゾーイを追求している。
「そ、そうですが…で、でも初めからエルウィン様は私に大して非友好的な態度を取られておりました!」
涙目になり、ゾーイは訴えた。
「それはそうだろう?何より、エルウィン様は女を全面的に押し出しているようなタイプは好まないからな…だいたいそれは何だ?その様に香水を振りまきおって…ここにいても匂ってくるぞ」
オズワルドは眉をしかめながらゾーイを見た。
「そ、それは…男性というものは香水の香る女性が好みだと思い…」
するとますますオズワルドは険しい顔つきになった。
「世の男たちが全員香水の香る女性が好みだと思うな!エルウィン様が香水の香りを嫌っていることすらお前は知らなかったのか?!しかもミカエル様とウリエル様の側でその様なきつい香りを振りまきながら接していたとは…」
「そ、そんな…。そ、それではエルウィン様は香水の香りよりも獣臭い匂いの女性の方が好みということですか?!」
涙目になって訴えるゾーイの言葉にオズワルドは反応した。
「何…?今何と申した?獣臭い匂いの女性とはどういう意味だ?」
「はい。あの仕事場には…あの場には似つかわしくない若い女性が働いていました。どうやら越冬期間を城で過ごしていた領民のようでした。2人は知り合いだったようでエルウィン様は彼女のことを『リア』と呼んでいました」
「『リア』…」
(そう言えば、ランベール様があの若造に地下牢へ閉じ込められた原因の発端となったのは仕事場にいた若い女を連れ去ろうとしたのが原因だと報告が入っていたな…。もしやあの若造は密かにその女に入れ込んでいたのか?それで…)
もはやオズワルドは目の前のゾーイの存在を気にもとめず、考えにふけっていた。
「あ、あの…オズワルド様…。私、どうすれば…良いのでしょうか?このままでは…エルウィン様にますます嫌われてしまいます!私…あの方が好きなのです…!」
「チッ!」
オズワルドは自分の考えている最中に声を掛けて妨害してきたゾーイを忌々しげに睨みつけた。
(元々、エルウィンは自分から言い寄ってくる女を酷く毛嫌いしていた…。端からこの女は相手にされるはずなど無かったのだ。全く…使えない女だ)
「オズワルド様…」
ゾーイはどうしてもエルウィンを諦めたくは無かった。
(全く鬱陶しい女だ…こうなったら…)
そこでオズワルドは無責任に言い放った。
「仕方がないな…。ならば今夜エルウィン様の寝所でベッドに潜り込んで待っていると良い。この私がお前の為に特別に手を回しておいてやろう。ベッドの中に女がいれば流石のエルウィン様もお前を相手にするだろう。無事にことを成すことが出来れば責任を取らせるのだ。ああ見えてエルウィン様は責任感の強いお方だ。うまくいけば妻の座を得られるかもしれんぞ?」
「ほ、本当ですか?!」
ゾーイはその話に目を輝かせた。
「ああ、こちらで手筈を整えたらお前に連絡をする。それまで自室で待機しているが良い」
「はい!ありがとうございますっ!」
ゾーイは嬉しそうに頭を下げると、部屋を後にした。
「フン!使えない女だ…それよりも『リア』か…少し調べてみることにしよう」
オズワルドは不敵な笑みを浮かべた―。
ゾーイはオズワルドにより、亡きランベールの執務室に呼び出されていた―。
「それで?お前はエルウィン様を怒らせてしまったのか?」
オズワルドは書斎机に向かって座り、イライラした様子で正面に立たせたゾーイを追求している。
「そ、そうですが…で、でも初めからエルウィン様は私に大して非友好的な態度を取られておりました!」
涙目になり、ゾーイは訴えた。
「それはそうだろう?何より、エルウィン様は女を全面的に押し出しているようなタイプは好まないからな…だいたいそれは何だ?その様に香水を振りまきおって…ここにいても匂ってくるぞ」
オズワルドは眉をしかめながらゾーイを見た。
「そ、それは…男性というものは香水の香る女性が好みだと思い…」
するとますますオズワルドは険しい顔つきになった。
「世の男たちが全員香水の香る女性が好みだと思うな!エルウィン様が香水の香りを嫌っていることすらお前は知らなかったのか?!しかもミカエル様とウリエル様の側でその様なきつい香りを振りまきながら接していたとは…」
「そ、そんな…。そ、それではエルウィン様は香水の香りよりも獣臭い匂いの女性の方が好みということですか?!」
涙目になって訴えるゾーイの言葉にオズワルドは反応した。
「何…?今何と申した?獣臭い匂いの女性とはどういう意味だ?」
「はい。あの仕事場には…あの場には似つかわしくない若い女性が働いていました。どうやら越冬期間を城で過ごしていた領民のようでした。2人は知り合いだったようでエルウィン様は彼女のことを『リア』と呼んでいました」
「『リア』…」
(そう言えば、ランベール様があの若造に地下牢へ閉じ込められた原因の発端となったのは仕事場にいた若い女を連れ去ろうとしたのが原因だと報告が入っていたな…。もしやあの若造は密かにその女に入れ込んでいたのか?それで…)
もはやオズワルドは目の前のゾーイの存在を気にもとめず、考えにふけっていた。
「あ、あの…オズワルド様…。私、どうすれば…良いのでしょうか?このままでは…エルウィン様にますます嫌われてしまいます!私…あの方が好きなのです…!」
「チッ!」
オズワルドは自分の考えている最中に声を掛けて妨害してきたゾーイを忌々しげに睨みつけた。
(元々、エルウィンは自分から言い寄ってくる女を酷く毛嫌いしていた…。端からこの女は相手にされるはずなど無かったのだ。全く…使えない女だ)
「オズワルド様…」
ゾーイはどうしてもエルウィンを諦めたくは無かった。
(全く鬱陶しい女だ…こうなったら…)
そこでオズワルドは無責任に言い放った。
「仕方がないな…。ならば今夜エルウィン様の寝所でベッドに潜り込んで待っていると良い。この私がお前の為に特別に手を回しておいてやろう。ベッドの中に女がいれば流石のエルウィン様もお前を相手にするだろう。無事にことを成すことが出来れば責任を取らせるのだ。ああ見えてエルウィン様は責任感の強いお方だ。うまくいけば妻の座を得られるかもしれんぞ?」
「ほ、本当ですか?!」
ゾーイはその話に目を輝かせた。
「ああ、こちらで手筈を整えたらお前に連絡をする。それまで自室で待機しているが良い」
「はい!ありがとうございますっ!」
ゾーイは嬉しそうに頭を下げると、部屋を後にした。
「フン!使えない女だ…それよりも『リア』か…少し調べてみることにしよう」
オズワルドは不敵な笑みを浮かべた―。
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