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8-10 不機嫌なスティーブ
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シュミットは上機嫌でエルウィンの執務室に向かって廊下を歩いていた。
(それにしてもエルウィン様も大分大人になられたようだ。ミカエル様とウリエル様の歓迎会を開かれるなど…それにアリアドネ様も招かれるとは。…そう言えばあの方と一緒に食事なんて初めてのことだ…)
そのことを思うと、ますますシュミットの心は浮き立った。
そして廊下の曲がり角に差し掛かった時、前方からスティーブがこちらに向かって歩いてくる姿が目に入った。
大股でこちらへ向かって歩いてくるスティーブは遠目からでも機嫌の悪さが見て取れた。あまりにも機嫌が悪いのか、シュミットの姿にも気付いていないようだった。
声を掛けると、ようやくスティーブはシュミットに気付いたのか立ち止まり、顔を上げた。
「何だ…シュミットか…」
不機嫌な様子でスティーブはシュミットを見た。
「一体どうしたんだ?アリアドネ様をミカエル様たちの部屋へ案内するときにはあんなに機嫌が良かったのに、何故今はそんなに不機嫌なんだ?」
「ああ、そんなの当然だろう?聞いてくれっ!アリアドネをミカエル様とウリエル様の部屋へ連れて行ったら…誰がいたと思う?!」
「そんなことを言われても…さっぱり分からないな…あ?もしかするとオズワルド様か?」
「違うっ!あいつじゃないっ!ロイだよっ!」
「何?ロイだって?あのオズワルド様の腹心の?」
シュミットは素早くロイのことを頭に浮かべた。
プラチナブロンドの巻毛に青い瞳のまるで少女のようにも見える美しい少年でメイドたちから絶大な人気を誇っている。
しかし美しい外見とは裏腹に、冷たい表情に感情も欠落していた。
そこでメイドたちは彼のことをこう、呼んだ。
『氷の貴公子』
と―。
「まさか…あのロイが…。でも何故彼がミカエル様たちの護衛騎士になったのだ?」
シュミットは首を傾げた。
「オズワルドが勝手にロイをあの3人の護衛騎士に任命したそうだっ!くそっ…あんな何を考えているか分からないような奴をつけるなんて…!あいつはなぁ、オズワルドの命令なら何だって聞くんだよっ!例え仲間だろうとオズワルドが相手を斬れと命じれば、躊躇わずに実行する…そういう危険な男なんだっ!」
スティーブの興奮は止まらない。
隊は違えど、同じ騎士仲間なのでスティーブはロイのことは良く知っていたのだ。
「スティーブ…。このことはエルウィン様は知ってるのか?」
「まさか!知るはずないだろうっ?!だから今から報告に行くんだよっ!」
「まぁ、そんなにカッカッするな。きっと、エルウィン様は認めないに決まっている。ちょうど今からエルウィン様の元へ戻るつもりだったから一緒に行こう」
シュミットはスティーブを宥めるように声を掛けた。
「あ、ああ…そうだな。大将が認めるはずはないよな?よし、それじゃすぐに大将のところへ行こうっ!」
「ああ。そうしよう」
すぐに2人は急ぎ足でエルウィンの元へと向かった。
シュミットの前を歩くスティーブは、余程気が急いているのか大股で歩いている。
(スティーブがあれほどまでにロイが護衛騎士に任命されたのを反対するなんて…。恐らくミカエル様たちのことで反対しているのではないだろう。きっとアリアドネ様が絡んでいるからなのだろうな…)
その後姿を見ながらシュミットは複雑な感情を抱くのだった―。
(それにしてもエルウィン様も大分大人になられたようだ。ミカエル様とウリエル様の歓迎会を開かれるなど…それにアリアドネ様も招かれるとは。…そう言えばあの方と一緒に食事なんて初めてのことだ…)
そのことを思うと、ますますシュミットの心は浮き立った。
そして廊下の曲がり角に差し掛かった時、前方からスティーブがこちらに向かって歩いてくる姿が目に入った。
大股でこちらへ向かって歩いてくるスティーブは遠目からでも機嫌の悪さが見て取れた。あまりにも機嫌が悪いのか、シュミットの姿にも気付いていないようだった。
声を掛けると、ようやくスティーブはシュミットに気付いたのか立ち止まり、顔を上げた。
「何だ…シュミットか…」
不機嫌な様子でスティーブはシュミットを見た。
「一体どうしたんだ?アリアドネ様をミカエル様たちの部屋へ案内するときにはあんなに機嫌が良かったのに、何故今はそんなに不機嫌なんだ?」
「ああ、そんなの当然だろう?聞いてくれっ!アリアドネをミカエル様とウリエル様の部屋へ連れて行ったら…誰がいたと思う?!」
「そんなことを言われても…さっぱり分からないな…あ?もしかするとオズワルド様か?」
「違うっ!あいつじゃないっ!ロイだよっ!」
「何?ロイだって?あのオズワルド様の腹心の?」
シュミットは素早くロイのことを頭に浮かべた。
プラチナブロンドの巻毛に青い瞳のまるで少女のようにも見える美しい少年でメイドたちから絶大な人気を誇っている。
しかし美しい外見とは裏腹に、冷たい表情に感情も欠落していた。
そこでメイドたちは彼のことをこう、呼んだ。
『氷の貴公子』
と―。
「まさか…あのロイが…。でも何故彼がミカエル様たちの護衛騎士になったのだ?」
シュミットは首を傾げた。
「オズワルドが勝手にロイをあの3人の護衛騎士に任命したそうだっ!くそっ…あんな何を考えているか分からないような奴をつけるなんて…!あいつはなぁ、オズワルドの命令なら何だって聞くんだよっ!例え仲間だろうとオズワルドが相手を斬れと命じれば、躊躇わずに実行する…そういう危険な男なんだっ!」
スティーブの興奮は止まらない。
隊は違えど、同じ騎士仲間なのでスティーブはロイのことは良く知っていたのだ。
「スティーブ…。このことはエルウィン様は知ってるのか?」
「まさか!知るはずないだろうっ?!だから今から報告に行くんだよっ!」
「まぁ、そんなにカッカッするな。きっと、エルウィン様は認めないに決まっている。ちょうど今からエルウィン様の元へ戻るつもりだったから一緒に行こう」
シュミットはスティーブを宥めるように声を掛けた。
「あ、ああ…そうだな。大将が認めるはずはないよな?よし、それじゃすぐに大将のところへ行こうっ!」
「ああ。そうしよう」
すぐに2人は急ぎ足でエルウィンの元へと向かった。
シュミットの前を歩くスティーブは、余程気が急いているのか大股で歩いている。
(スティーブがあれほどまでにロイが護衛騎士に任命されたのを反対するなんて…。恐らくミカエル様たちのことで反対しているのではないだろう。きっとアリアドネ様が絡んでいるからなのだろうな…)
その後姿を見ながらシュミットは複雑な感情を抱くのだった―。
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