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おかしくなっていく
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「オレたちが三鷹を助け出したあと、レステリアの女王にクラスメイトの前で問われたんだ」
なんでも、三鷹から聖女を追い出したのをセレンティア教国はたいへんお怒りになったそうで、どういうことだとレステリア王国に言ってきたんだそうだ。
三鷹が聖女に乗っ取られていたことを知った今川らはどういうことだと逆にセレンティアに申し立てたそうだ。
そして数年間聖女の件でレステリアとセレンティアは言い争いをしていた。そして、ある日誰かが疑問を口にした。
誰がその道具を与えたのか。
オレが倫太郎に道具や手順を教えたことがどこからか漏れてしまった。本当にどこからだよって突っ込みたくなるところだね。
そして、倫太郎は裏切り者と通じていたということで牢獄に入れられてしまったという。
「まず、オレが勇者という輪の中から追い出された」
それが七年前のことだという。
「マオと聞いてボクは倫太郎に興味を持った」
アオイは未だにセルリアンとしての記憶を思い出していないそうだ。
牢獄の倫太郎に会いに行ったアオイは、倫太郎からオレの大体のことを聞いたそうだ。
倫太郎がアオイにオレのことを話したのは、オレがアオイを王宮に戻しに来たときのやり取りを見て、アオイがオレに悪意を持っていないというのがわかったからだと。
人質のはずのアオイと軽口を叩いていたからだって。
倫太郎とアオイは何かがおかしいということに気づいた。
「何者かが魔族を絶対悪にしたい、みたいな」
そして、倫太郎から平井と三鷹のことを聞いたアオイは二人に声をかけた。二人は倫太郎が牢獄に入れられてしまってから、なにかしようと動こうにも、動けなくなってしまった。
王子であるアオイとなら誤魔化すことができる。
「それで、ボクと倫太郎たちで脱獄計画を練ったわけ」
そこ、脱獄につながるんだ……。
「それで?」
「フル装備で今川と王女に魔族と戦わないって宣言した」
いきなりのことだったし、アオイもいたから今川ら勇者には裏切り者として攻撃は受けなかったらしい。
けど、結構な口論になって、最終的には追い出されるような形で王宮を出たのだという。王女にはアオイだけでも王宮に残るように懇願されたがきっぱりと断ったらしい。
「関わらないと約束をした」
口論の最後にお互いに関わらないと約束したんだそうだ。
「だから、オレたちは勇者には関わらず、魔族とは敵対しないでやってきた」
「そっか」
ここで少し気になったことを聞いてみようかな。
「倫太郎はなんとなくわかったけど、平井と三鷹はなんで、勇者をやめたの」
「オレは聖女に乗っ取られた三鷹を助けようとしないことに呆れて、それに帰ってきたら結城がいなくなっていたし」
「私は、乗っ取られていたという話を平井くんから聞いて、なんで二人以外私を助けてくれなかったんだろうって、なんで誰も助かって良かったねって言ってくれないんだろうなって思って」
国や勇者たちに対する不信感からか。
「んで、アオイも良かったの?」
まぁ、アオイはセルリアンの記憶が戻ってないって言うし、あんまり王宮とかに執着とかがなかったのかな。
「うん。ボクはあの人たちが嫌いだ。それに、部屋で日記を見つけたんだ」
「日記?」
「日に日におかしくなっていく王宮についてのセルリアンの考察日記だよ」
へぇ、それは面白そうな日記だな。
「あのときのボクはわかりそうだった。おかしくなっていく原因が」
「でも、わかりそうだったときに交換されたんだな?」
「そう、そこでセルリアンはなくなっちゃってね。あ、日記を読んで大体のことはわかったよ」
「そうなんだ」
「もう王宮に用はない。最後のピースはマオだとボクは思ったから」
オレが最後のピース……?
「三千五百年前の聖女とマオ、それが……」
アオイが言いかけたときだった。
「主様ー!シェーンが、シェーンが!」
テオドールが緊迫した感じでオレのところまでやってきた。
シェーンがどうしたんだ。あいつはクラディアに関わらないっていう約束で、何が起きた。
「シェーンがどうしたんだ」
「クラディアを、みんなを、殺そうとしているんだ!」
「は?なんで」
自分で問いかけて気づいた。あいつはクラディアが交通を断ってしまったら、あいつがやりたいと思っていることができなくなってしまう。
頭がいいあいつなら冷静になれば魔法なんかかけられていないことに気づいてもおかしくない。
「くそっ、あいつ……!あとで説明するから今は聞くなよ⁉」
「え?」
「マオ⁉」
「えぇ?」
「わかった」
オレは四人も一緒にワープをした。四人は突然のことで驚いていたが、シリアスな雰囲気を感じ取ってくれたようで驚き声を上げる以上のアクションはなかった。
『クラディア!』
『マ、アストール……!フィーリアを、先に!』
『フィーリアはどこ、シェーンは!』
急所を刺されているクラディアがフィーリアの下へいけという。クラディアのそばにシェーンがいない。
『フィーリア!』
なんでも、三鷹から聖女を追い出したのをセレンティア教国はたいへんお怒りになったそうで、どういうことだとレステリア王国に言ってきたんだそうだ。
三鷹が聖女に乗っ取られていたことを知った今川らはどういうことだと逆にセレンティアに申し立てたそうだ。
そして数年間聖女の件でレステリアとセレンティアは言い争いをしていた。そして、ある日誰かが疑問を口にした。
誰がその道具を与えたのか。
オレが倫太郎に道具や手順を教えたことがどこからか漏れてしまった。本当にどこからだよって突っ込みたくなるところだね。
そして、倫太郎は裏切り者と通じていたということで牢獄に入れられてしまったという。
「まず、オレが勇者という輪の中から追い出された」
それが七年前のことだという。
「マオと聞いてボクは倫太郎に興味を持った」
アオイは未だにセルリアンとしての記憶を思い出していないそうだ。
牢獄の倫太郎に会いに行ったアオイは、倫太郎からオレの大体のことを聞いたそうだ。
倫太郎がアオイにオレのことを話したのは、オレがアオイを王宮に戻しに来たときのやり取りを見て、アオイがオレに悪意を持っていないというのがわかったからだと。
人質のはずのアオイと軽口を叩いていたからだって。
倫太郎とアオイは何かがおかしいということに気づいた。
「何者かが魔族を絶対悪にしたい、みたいな」
そして、倫太郎から平井と三鷹のことを聞いたアオイは二人に声をかけた。二人は倫太郎が牢獄に入れられてしまってから、なにかしようと動こうにも、動けなくなってしまった。
王子であるアオイとなら誤魔化すことができる。
「それで、ボクと倫太郎たちで脱獄計画を練ったわけ」
そこ、脱獄につながるんだ……。
「それで?」
「フル装備で今川と王女に魔族と戦わないって宣言した」
いきなりのことだったし、アオイもいたから今川ら勇者には裏切り者として攻撃は受けなかったらしい。
けど、結構な口論になって、最終的には追い出されるような形で王宮を出たのだという。王女にはアオイだけでも王宮に残るように懇願されたがきっぱりと断ったらしい。
「関わらないと約束をした」
口論の最後にお互いに関わらないと約束したんだそうだ。
「だから、オレたちは勇者には関わらず、魔族とは敵対しないでやってきた」
「そっか」
ここで少し気になったことを聞いてみようかな。
「倫太郎はなんとなくわかったけど、平井と三鷹はなんで、勇者をやめたの」
「オレは聖女に乗っ取られた三鷹を助けようとしないことに呆れて、それに帰ってきたら結城がいなくなっていたし」
「私は、乗っ取られていたという話を平井くんから聞いて、なんで二人以外私を助けてくれなかったんだろうって、なんで誰も助かって良かったねって言ってくれないんだろうなって思って」
国や勇者たちに対する不信感からか。
「んで、アオイも良かったの?」
まぁ、アオイはセルリアンの記憶が戻ってないって言うし、あんまり王宮とかに執着とかがなかったのかな。
「うん。ボクはあの人たちが嫌いだ。それに、部屋で日記を見つけたんだ」
「日記?」
「日に日におかしくなっていく王宮についてのセルリアンの考察日記だよ」
へぇ、それは面白そうな日記だな。
「あのときのボクはわかりそうだった。おかしくなっていく原因が」
「でも、わかりそうだったときに交換されたんだな?」
「そう、そこでセルリアンはなくなっちゃってね。あ、日記を読んで大体のことはわかったよ」
「そうなんだ」
「もう王宮に用はない。最後のピースはマオだとボクは思ったから」
オレが最後のピース……?
「三千五百年前の聖女とマオ、それが……」
アオイが言いかけたときだった。
「主様ー!シェーンが、シェーンが!」
テオドールが緊迫した感じでオレのところまでやってきた。
シェーンがどうしたんだ。あいつはクラディアに関わらないっていう約束で、何が起きた。
「シェーンがどうしたんだ」
「クラディアを、みんなを、殺そうとしているんだ!」
「は?なんで」
自分で問いかけて気づいた。あいつはクラディアが交通を断ってしまったら、あいつがやりたいと思っていることができなくなってしまう。
頭がいいあいつなら冷静になれば魔法なんかかけられていないことに気づいてもおかしくない。
「くそっ、あいつ……!あとで説明するから今は聞くなよ⁉」
「え?」
「マオ⁉」
「えぇ?」
「わかった」
オレは四人も一緒にワープをした。四人は突然のことで驚いていたが、シリアスな雰囲気を感じ取ってくれたようで驚き声を上げる以上のアクションはなかった。
『クラディア!』
『マ、アストール……!フィーリアを、先に!』
『フィーリアはどこ、シェーンは!』
急所を刺されているクラディアがフィーリアの下へいけという。クラディアのそばにシェーンがいない。
『フィーリア!』
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