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前編
しおりを挟む「あんたにはねぇ、結婚なんて無理だよ。だからずっとここにいるしかないんだ。置いておいてやるからさ、ここでいつまでも働きな」
継母はいつもそんなことを言っていた。
彼女は夫の前妻の子である私を良く思っていない。しかしだからといって追い出すことはしないのがまた悪質だ。彼女は私を追い出そうとは考えておらず、むしろ、家に置いておいていつまでも奴隷のようにこき使おうと考えているのである。
そんな継母は、これまで、数回にわたって私の婚約をぶち壊してきた。
ある時は勝手に婚約破棄を告げて。
ある時は私の悪口を、それも真っ赤な嘘を、婚約者に吹き込んで。
そうやって私が誰とも結ばれられないようにしてきた継母である。
そんな私は、ある夏の日、王子ドゥエフェルより婚約希望を出された。で、私はそれを受け入れた。なぜって、早く家から出たいからである。あまり知らない人が相手だとしてもそれでもいい、とにかく継母の支配から逃れたかったのだ。
「これから、よろしくお願いしますね」
「ありがとうございます……! 殿下」
ドゥエフェルが婚約希望を出してきたのは、あるパーティーにて私を見かけ一目惚れしたからなのだそうだ。
でも、いざ会ってみると、想像していたより気が合いそうで。
「よければドゥエフェルと呼んでください。貴女は特別な人となる予定の方なのですから、その方が良いでしょう」
「ええと……呼び捨ては、申し訳ないですし無礼です」
「では」
「ドゥエフェル様、とお呼びしても……?」
「ええ、それで構いませんよ」
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