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後編
しおりを挟む「そうね」
「いいだろ?」
「……破棄したら、仕事、もう手伝えなくなるわよ?」
「いいさ。愛する人となら魔法なんてなくてもやっていける」
「そう、分かったわ……じゃ、そういうことにしましょう」
もうかつてのモッツァリオではない。
私が知る彼は消えたのだ。
良きパートナーであった頃の彼はいなくなってしまった。
少し寂しいけれど。
「ありがとう!」
モッツァリオは嬉しそうだった。
◆
あの後、モッツァリオは愛する女性と一緒になれたが、私を失ったことで仕事が上手くいかなくなったそうだ。で、少し運が悪いだけなどと言って気軽に借金を重ね、その結果借金まみれになってしまって。そして、お金がなくなった途端、女性にも逃げられてしまったそうで。一人借金取りから隠れる日々に突入することとなってしまったそうだ。
彼は今、死を望んでいるという。
けれども死ぬほどの勇気はなく。
しかし生きていても地獄で。
彼はもうどちらにも行けない状態となり苦しみ続けているようだ。
ちなみに私はというと、モッツァリオとの婚約が壊れたことを知るや否や複数人から婚約の申し込みを受けた。
そして私は選んだ。
富豪の子息のおっとりした青年を。
裕福な家の出だと高圧的だったり問題児だったりすることもあるのだが、彼の場合はそんなことはなかった。少々おっとりしているというところが人と違うくらいのもので、彼にはそこまで目立つ悪いところはない。
だから結婚してもきっと上手くやっていけるはず。
今はそう信じている。
◆終わり◆
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