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第55話 第三王子は王太子になる!

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両親の優しさに涙する『シュウ』です。


シュウが醜態しゅうたいをさらす! クックククク ワッハハハハ 僕のギャグセンスの才能がおそろしい……

僕は、落ち着きを取り戻し、椅子に座った。

「シュウよ。あと、もう一つ謝らなければならないことがある。お前の留学のことだ。どうしてもお前をフロンシニアスから遠ざけなければならない理由があってな…… すまない。」

「父上が謝ることはありません。始めは出来の悪い僕が追放されたんじゃないかと思いましたが、今では、仲の良い友人たちに囲まれ楽しく学院生活を送っています。そして、何よりエリスに出会えた場所ですから父上には、感謝しても感謝しきれません」

「そうか。そう言ってくれるのであれば私としても助かるが、今のお前だらか言えるが、実はなお前の暗殺計画があったのだ…… だから、お前を護ためにはフロンシニアスから遠ざけなければならなかった……」


「――!? 僕の暗殺?」

「そうだ、お前の暗殺だ……」

「僕を暗殺しようとした者がいると言うことですね? 一体、誰なんですか?」


「…………」


「シュウちゃん、驚かないでね。嘆かわしいことにジェニシスとパリックよ」

「えっ!? 兄上たちがですか?」

「そうだ。裏で何やらお前を排除しようと計画を立てていたらしいが、決定的な証拠もない!」


「…………」


――どれだけ僕は嫌われていたんだろうか?


「シュウよ。これから私の言うことは父親としてではなく、国王の声として良く聞け!」

父上は父親の顔から国王の顔つきに変わった。

「ハイ! 国王陛下」

僕はその場に跪き、

「シュウ。お前を次期国王と定める。まだ、表向きには表明出来ないが、今日からお前が王太子だ! しっかり励めよ!」

「ははっー! 身に余る光栄、民の為、国の為、ハルタンの人々の為に一心に精進して参ります!」

「それでよい」

「母からもお願いがあります」

母上が、急に真面目になった。これがいつもとは違う、王妃の顔だろう。

「ジェニシスとパリックの件です。あの子たちは自分の事しか考えていないわ。そんな子たちだけど、私たちにとってはあなたと変わらない大事な子なの、あまり酷いことはしないで欲しいの」

「セリーナ。お前はまだ、そんなことを言っているのか? 事実、シュウの命が狙われているんだぞ」

「ブルース。それでもです。今はあの子たちはああですが、いつかきっと自分たちの行いを見返ることが出来ると信じています」

「――父上、母上。僕は母上の言葉に従います。そして、僕も兄上たちを信じます。怒りは怒りしか生みません。慈悲の心で兄上たちを改心して見せます」

「シュウ。ありがとう…… ありがとう…… あなたを見ていないうちに立派に成長したのね。母は本当に嬉しいですよ」

「では、シュウ。三年だ! 学院を卒業するまで、心と身体を鍛え、これより先をどう切り開いて行くか考えるのだ!」

「ハイ!」

「どんな困難があろうとも、自分を成長させるための糧だと思って! あと、自分の弱い心に負けないで、負けそうになったらエリスちゃんやハルタンの人々、たまにで良いから私たちの顔を思い出して……」


母上はそう言って、やさしく僕を抱きしめてくれた……


父上が立ち上がり、

「さぁ、話しも終わったし、みんなのところへ戻ろうか?」

「ハイ、父上」

エリスたちが待つ応接室へ戻って来た。お母上様が僕に

「シュウ君。良い顔つきになって戻って来たわね」

「おかげさまで自分がすべき事がわかりましたので、お母上様。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします」

「みんな、あなたに期待しているわ。でも、頑張りすぎてつぶれちゃったらダメよ。その為にエリスがいるんだから」

「ハイ。エリス、これからもよろしくね」

「私はどんな事があっても一緒にいるわ」

「ありがとう。エリス、頼りにしているよ」

「ええ、任せておいて」


その場、良い感じな不父上が不要にな一言を言いはなった。


「いやー、本当に自分の子供たちが結婚するとは思わなかったわ~」

「まだ、結婚しとらんわ! あくまでも婚約だ! 婚約!」

お父上様が狂戦士バーサーカーモードに変わろうとした時、お母上様がお父上様に向かって、

「マルクス! あなたは黙っていなさい! エリスとシュウ君の結婚は私が許可したの! これは決定事項よ! この結婚を邪魔する者は、私が全力を待って対処するわ! わかった。マルクス!」


「は…… い」


お父上様は、しょげた顔でお母上様に返事を返した。さらに父上は、お父上様に向かって余計な一言を言い放った。

「やーい、マルクス! アリエスに怒られてやんの! クッ、クククク」

鬼の形相の母上が父上に、

「ブルース! あなたもよ!」

「お前も怒られてるじゃねーか、ブルース」


お父上様がニヤついた顔で父上を見ていた…… 仲の良い二人だなぁ
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